コーポレートレポート 2023
 オンライン版

DE&I
(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)
座談会

DE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)座談会 DE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)座談会
奥野 明子

奥野 明子
社外取締役
甲南大学経営学部教授

近藤 真紀

近藤 真紀
オンコロジー早期臨床開発
企画二部 部長

畑 知里

畑 知里
人事企画室
(DE&I 担当)

関 大輔

関 大輔
人事企画室
室長

「異なり」×「一体感」で、
持続的な成長へ 当社は、持続的な成長に向けて「人が集まる魅力的な組織」を目指し、DE&Iを推進しています。
DE&Iの知見を持つ社外取締役と、産休・育休を経験した女性管理職、人事企画室の社員2名が、
女性活躍推進や多様性の尊重について語り合いました。

ダイバーシティの現状と課題

当社のDE&Iのコンセプトは「異なり」×「一体感」です。異なるバックグラウンドや考え方を持つ人財が一緒に働くことで新たな気づき、アイディアを生みだしていく。そんな姿を目指しています。DE&I推進のなかでも大きな課題であり、最も注力しているのが、女性活躍推進への取り組みです。2022年度の女性管理職比率は4.1%にとどまるものの、新卒社員における女性比率は38.2%に達しています。また、女性が長く働き、活躍できるよう、仕事と育児の両立をサポートする制度を整備した結果、ほぼすべての社員が育休から復職しています。

奥野

近藤さんは産休・育休を経て復職した後、30代で管理職となり、女性活躍推進におけるロールモデルを担っています。現状について、どう感じていますか。

近藤

ここ10年で女性が長く働ける環境になってきましたが、自ら管理職へと手を挙げる女性社員はまだ少ないです。管理職候補となる30代の女性は、産休・育休から復職して働く人が多いため、「自分に管理職は務まらない」という意識があるように思います。

奥野

管理職になったとき、メンターとなる先輩がサポートするような制度があれば、女性も安心して手を挙げられるのかもしれません。新たに制度を拡充するなど、一つひとつステップを踏んでいくことが大切ですね。

わたしは男性の育児休業取得率を向上させることが、一つのステップになると考えています。部署によって異なりますが、2022年度の男性育児休業取得率は65.2%でした。社会全体で女性が活躍できるよう貢献することが、回りまわって当社のDE&I推進にもつながっていくと考えています。

奥野 明子、近藤 真紀

産休・育休からの復職時、どう工夫したか

産休・育休からの復職後、誰もが仕事と育児の両立に悩むと思うのですが、近藤さんの場合はどうでしたか。

近藤

人それぞれだと思うのですが、私は夫と育児を分担し、またベビーシッターや家事代行などのサービスも活用して仕事の時間を捻出しました。子どもが小さいうちは急に会社を休まなければならないなど大変なこともありますが、一人ですべてを抱え込まないようにしたことで、日常生活が回っていったと思います。

奥野

復職後は、時間制限があるなかで働くことになります。仕事面で心がけていたことはありますか。

近藤

限られた時間を効率的に使うよう、常に意識していました。工夫次第で、限られた時間で最大限のパフォーマンスを発揮できるのだと学べたことは、大きな収穫でした。

奥野

効率的に仕事をしようと工夫する人がいると、周囲にも良い影響を与え、生産性が上がるでしょうね。

今はプライベートの充実も重視する時代です。だからこそ時間の制約がある人が管理職になると、働き方に対する考え方が変わるなど、組織に大きな波及効果が生まれると考えています。

管理職の女性は、仕事とプライベートを両立できるパーフェクトな人だというイメージがあります。それに対して、自分は頑張っても両立できないと多くの人が悩んでいると思うのですが、何かアドバイスをお願いします。

近藤

私はパーフェクトに両立してきたわけではないのですが、社内には仕事も育児も完璧にこなそうと頑張っている女性が多いと感じます。育児に限りませんが、仕事をするうえではライフイベントに沿って、時短勤務や在宅勤務、フレックスタイムなど会社の制度を最大限に活用していってほしいと思います。

畑 知里、関 大輔

「会社の文化を変える」ことが必要

奥野

社会全体においても、DE&Iへの取り組みが重視されています。そんななか、会社の文化を変え、制度を整備していくような動きができれば、企業としての持続的な成長はもちろん、社会に価値を創造していくことができます。

近藤

管理職候補の研修には、性別に関係なく実力のある人が参加するのが理想ですよね。そのためにも、例えば家庭の事情などで参加しづらい人向けに研修のプログラムを配慮したり、制度設計したりすることが必要なのではないでしょうか。

奥野

「女性」と一括りにされるのを嫌がる方もいますが、女性向けの研修を実施する企業も多いです。

そうですね。女性社員の皆さんに自ら手を挙げてもらえるようになるまで、会社がもっと働きかけをしていく必要がありますね。

広い視野を持つ多様な人財を

近藤

男性社員に多いのですが、小さな子どもがいる人には仕事を切り上げ、早く帰るように声をかけることもあります。最近は夫婦共働きが多いので、家事や育児の大半をパートナーに任せてしまうと、相手の会社に勤務上の負担をかけていることになります。当社はもちろん、社会全体で重要な課題として捉えていく必要があると感じています。

奥野

お互いに補い合ってこそ、社会全体での女性活躍が実現しますよね。「早く帰りなさい」というのは、いち個人への言葉ではなく、もっと広い視点で「社会の問題」を捉えて言っているのだと伝えることができたら素晴らしいと思います。

近藤

わたしも、そう伝えられるように頑張ります。

奥野

会社が目先の利益を追求するのではなく、長期的、継続的に成長を実現するには、広い視野を持った人財の活躍が欠かせません。だからこそ、育児経験のある社員はもちろん、国籍や障がいの有無に関わらず多様な人財が活躍できるよう、一体感を持って環境を作っていく必要があります。

当社は、DE&Iに関するさまざまな支援制度を整備していますが、それをもっと積極的に使ってもらえるように啓発や教育にも力を入れていきたいと思います。

奥野

本日の対談では、長期的な希望を見出すことができてよかったです。当社が持続的に成長できる存在となるために、力を合わせてDE&Iに取り組んでいきましょう。