オプジーボ®点滴静注、二つの効能又は効果並びに用法及び用量の追加に係る国内製造販売承認事項一部変更承認を取得
- 化学療法との併用療法による「治癒切除不能な進行・再発の胃癌」
- 「食道癌における術後補助療法」
小野薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:相良 暁、以下、小野薬品)とブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:ジャン=クリストフ・バルラン)は、本日、小野薬品が、ヒト型抗ヒトPD-1モノクローナル抗体、オプジーボ®(一般名:ニボルマブ)点滴静注(以下、オプジーボ)について、化学療法との併用療法による「治癒切除不能な進行・再発の胃癌」、および「食道癌の術後補助療法」に対する二つの効能又は効果並びに用法及び用量の追加に係る国内製造販売承認事項一部変更承認を取得しましたので、お知らせします。
<治癒切除不能な進行・再発の胃癌の適応に関する承認について>
今回の承認は、以下の2つの臨床試験のデータに基づいています。
- CheckMate -649試験(ONO-4538-44):日本、韓国および台湾を含む世界規模で、未治療のヒト上皮細胞増殖因子受容体2型(HER2)陽性以外の治癒切除不能な進行・再発の胃がん、胃食道接合部がん又は食道腺がんの患者を対象に、オプジーボと化学療法の併用療法又はオプジーボとヤーボイの併用療法を化学療法単独と比較評価した多施設国際共同無作為化非盲検第Ⅲ相臨床試験
本試験では、オプジーボと化学療法の併用療法群が、化学療法単独群と比較して、本試験に割り付けられた全ての患者および主要評価項目の1つであるcombined positive score(CPS)が5以上のPD-L1陽性患者における全生存期間(OS)で統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示しました。また、オプジーボと化学療法の併用療法群は、化学療法単独群と比較して、もう一つの主要評価項目であるCPSが5以上のPD-L1陽性患者における無増悪生存期間(PFS)で統計学的に有意な延長を示しました。本試験におけるオプジーボと化学療法の併用療法の安全性プロファイルは、これまでに報告された個々の治療のものと一貫していました。
- ATTRACTION-4試験(ONO-4538-37):日本、韓国および台湾で、未治療のHER2陰性の治癒切除不能な進行・再発の胃がん又は胃食道接合部がんを対象に、オプジーボと化学療法の併用療法をプラセボと化学療法の併用療法と比較評価した多施設共同無作為化第Ⅱ/Ⅲ相臨床試験
本試験では、オプジーボと化学療法の併用療法群は、プラセボと化学療法の併用療法群と比較して、主要評価項目の一つであるPFSで統計学的に有意な延長を示しました。また、もう一つの主要評価項目であるOSでは統計学的に有意な延長を示しませんでした。本試験におけるオプジーボと化学療法の併用療法の安全性プロファイルは、これまでに報告された個々の治療のものと一貫していました。
CheckMate-649試験(ONO-4538-44)について
CheckMate-649試験は、未治療のHER2陽性以外の治癒切除不能な進行・再発の胃がん、胃食道接合部がん又は食道腺がんの患者を対象に、オプジーボと化学療法の併用療法又はオプジーボとヤーボイの併用療法を化学療法と比較評価した多施設共同無作為化非盲検第Ⅲ相臨床試験です。オプジーボと化学療法の併用療法群の患者は、オプジーボ240 mgとフルオロウラシル、ホリナートカルシウムおよびオキサリプラチン(FOLFOX)を2週間間隔で、又はオプジーボ360 mgとカペシタビンおよびオキサリプラチン(CapeOX)を3週間間隔で投与を受けました。化学療法群の患者は、FOLFOXを2週間間隔で、又はCapeOXを3週間間隔で投与を受けました。投与は、病勢進行もしくは忍容できない毒性が認められるまで、又は患者が同意を撤回するまで、最大2年間継続されました。本試験の主要評価項目は、オプジーボと化学療法の併用療法を受けたcombined positive score(CPS)が5以上のPD-L1陽性患者における全生存期間(OS)、および無増悪生存期間(PFS)です。主な副次評価項目は、オプジーボと化学療法の併用療法を受けたCPSが1以上および割り付けられた全ての患者におけるOSです。
ATTRACTION-4試験(ONO-4538-37)について
ATTRACTION-4試験は、未治療のHER2陰性の治癒切除不能な進行・再発の胃がん又は胃食道接合部がんを対象に、オプジーボと化学療法(オキサリプラチンおよびS-1又はカペシタビン)の併用療法群とプラセボと化学療法の併用療法群を比較評価した多施設共同無作為化第Ⅱ/Ⅲ相臨床試験です。本試験では、オプジーボ(360 mg)又はプラセボを3週間間隔で化学療法と併用投与し、病勢進行又は許容できない毒性が発現するまで継続投与されました。主要評価項目は、無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)です。
胃がんについて
胃がんは、日本では年間約13.8万人 1)(世界全体で約108.9万人 2))が新たに診断されています。胃がんによる死亡者数は、日本では年間約4.6万人 1)(全世界で約76.8万人 2))と推定されており、日本ではいずれも肺がんに次いで2番目に多いがん腫です。HER2陰性の治癒切除不能な進行・再発の胃がんに対する一次化学療法の標準治療は過去10年間ほとんど進展がなく、本疾患の患者さんに新しい治療選択肢が必要とされています。
- Globocan 2020: Stomach Cancer, Japan, World Health Organization Available at:
https://gco.iarc.fr/today/data/factsheets/populations/392-japan-fact-sheets.pdf - Globocan 2020: Stomach Cancer, World, World Health Organization Available at:
https://gco.iarc.fr/today/data/factsheets/populations/900-world-fact-sheets.pdf
<食道癌における術後補助療法の適応に関する承認について>
今回の承認は、食道がんまたは食道胃接合部がん切除後患者の術後補助療法として、オプジーボ単剤療法をプラセボと比較評価した多施設国際共同無作為化二重盲検第Ⅲ相試験であるCheckMate-577試験(ONO-4538-43)の結果に基づいています。
本試験において、オプジーボ単剤療法群は、プラセボ群と比較して、主要評価項目である無病生存期間(DFS)で統計学的に有意な延長を示しました。本試験におけるオプジーボ単剤療法の安全性プロファイルは、オプジーボ単剤療法でこれまでに認められているものと一貫していました。
CheckMate-577試験(ONO-4538-43)について
CheckMate-577試験(ONO-4538-43)は、術前補助化学放射線療法(CRT)を受け、病理学的に完全奏効が得られなかった食道がんまたは食道胃接合部がん切除後患者の術後補助療法として、オプジーボ単剤療法を評価した多施設国際共同無作為化二重盲検第Ⅲ相試験です。術前補助CRTおよび外科的完全腫瘍切除(トリモダリティ治療)後に、オプジーボ単剤療法群またはプラセボ群のいずれかに無作為に割り付けられました。オプジーボ単剤療法群では、オプジーボ240 mgを2週間間隔で16週間、その後オプジーボ480 mgを4週間間隔で投与しました。投与は、再発または忍容できない毒性が認められるまで、あるいは患者が同意を撤回するまで、最長1年の治療期間にわたり継続されました。本試験の主要評価項目は無病生存期間(DFS)であり、副次評価項目はOSです。
食道がんについて
食道がんは、食道の内面を覆っている粘膜から発生する悪性腫瘍で、大きくなると深層(外側)に向かって増殖します。食道がんは主に扁平上皮がんと腺がんの二つの組織型に分類され、日本では、扁平上皮がんが約90%を占めています。日本では、年間約2.6万人 1)(全世界では約60.4万人 2))が新たに食道がんと診断され、年間約1.2万人 1)(全世界では約54.4万人 2))の死亡が報告されています。日本では、遠隔転移を有さない切除可能な局所進行食道がんに対する治療として、術前補助療法に続く根治切除が行われますが、根治切除後の28~47%に再発が認められています。また、食道がん根治切除後の再発例の予後は極めて不良であること 3)から、再発抑制を目的とした術後補助療法への医療ニーズは高いと考えられています。
- Globocan 2020: Esophageal Cancer, Japan, World Health Organization Available at:
https://gco.iarc.fr/today/data/factsheets/populations/392-japan-fact-sheets.pdf - Globocan 2020: Esophageal Cancer, World, World Health Organization Available at:
https://gco.iarc.fr/today/data/factsheets/populations/900-world-fact-sheets.pdf - 特定非営利活動法人 日本食道学会、食道癌診療ガイドライン 2017 年版
オプジーボ®点滴静注の概要
製品名 | オプジーボ®点滴静注 20mg、同100mg、同120mg、同240mg |
一般名(JAN) | ニボルマブ(遺伝子組換え) |
効能又は効果 |
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用法及び用量 | 〈悪性黒色腫〉 通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔又は1回480mgを4週間間隔で点滴静注する。ただし、悪性黒色腫における術後補助療法の場合は、投与期間は12ヵ月間までとする。 根治切除不能な悪性黒色腫に対してイピリムマブ(遺伝子組換え)と併用する場合は、通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回80mgを3週間間隔で4回点滴静注する。その後、ニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔又は1回480mgを4週間間隔で点滴静注する。 〈切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌、 通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔又は1回480mgを4週間間隔で点滴静注する。 他の抗悪性腫瘍剤と併用する場合は、通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔又は1回360mgを3週間間隔で点滴静注する。 〈根治切除不能又は転移性の腎細胞癌〉 通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔又は1回480mgを4週間間隔で点滴静注する。 カボザンチニブと併用する場合は、通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1 回240mgを2 週間間隔又は1 回480mg を4 週間間隔で点滴静注する。 化学療法未治療の根治切除不能又は転移性の腎細胞癌に対してイピリムマブ(遺伝子組換え)と併用する場合は、通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを3週間間隔で4回点滴静注する。その後、ニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔又は1回480mgを4週間間隔で点滴静注する。 〈再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫〉 通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔又は1回480mgを4週間間隔で点滴静注する。 通常、小児にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回3mg/kg(体重)を2週間間隔で点滴静注する。なお、体重40kg以上の小児には、ニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔又は1回480mgを4週間間隔で点滴静注することもできる。 〈再発又は遠隔転移を有する頭頸部癌〉 通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔又は1回480mgを4週間間隔で点滴静注する。 〈切除不能な進行・再発の悪性胸膜中皮腫〉 通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔又は1回480mgを4週間間隔で点滴静注する。 イピリムマブ(遺伝子組換え)と併用する場合は、通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔又は1回360mgを3週間間隔で点滴静注する。 〈がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する結腸・直腸癌〉 通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔又は1回480mgを4週間間隔で点滴静注する。 イピリムマブ(遺伝子組換え)と併用する場合は、通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを3週間間隔で4回点滴静注する。その後、ニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔又は1回480mgを4週間間隔で点滴静注する。 〈がん化学療法後に増悪した根治切除不能な進行・再発の食道癌、食道癌における術後補助療法〉 通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔又は1回480mgを4週間間隔で点滴静注する。ただし、食道癌における術後補助療法の場合は、投与期間は12カ月間までとする。 〈 |
製造販売 | 小野薬品工業株式会社 |
プロモーション提携 | ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社 |
※今回の承認による改訂箇所は下線で表示
オプジーボについて
オプジーボは、programmed death-1(PD-1)とPD-1リガンドの経路を阻害することで身体の免疫系を利用して抗腫瘍免疫応答を再活性化するPD-1 免疫チェックポイント阻害薬です。がんを攻撃するために身体の免疫系を利用するオプジーボは、日本で2014年7月に悪性黒色腫で承認を取得以降、複数のがん腫において重要な治療選択肢となっています。現在、日本、韓国、台湾、中国、米国およびEUを含む65カ国以上で承認されています。
日本では、小野薬品が2014年9月に「根治切除不能な悪性黒色腫」の治療薬として発売しました。その後、2015年12月に「切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」、2016年8月に「根治切除不能又は転移性の腎細胞癌」、2016年12月に「再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫」、2017年3月に「再発又は遠隔転移を有する頭頸部癌」、2017年9月に「がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の胃癌」、2018年8月に「がん化学療法後に増悪した切除不能な進行・再発の悪性胸膜中皮腫」、および2020年2月に「がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する結腸・直腸癌」と「がん化学療法後に増悪した根治切除不能な進行・再発の食道癌」の承認を取得しました。
また、尿路上皮がんおよび原発不明がんについて、効能又は効果の追加の承認申請をしており、肝細胞がん、卵巣がん、膀胱がん、前立腺がん、膵がん、胆道がん等を対象とした臨床試験も実施中です。
小野薬品工業株式会社とブリストル マイヤーズ スクイブの提携について
2011年、小野薬品は、ブリストル マイヤーズ スクイブ(BMS)と締結した提携契約により、当時、小野薬品がオプジーボに関するすべての権利を保有していた北米以外の地域のうち、日本、韓国、台湾を除く世界各国におけるオプジーボの開発・商業化に関する権利を供与しました。2014年7月、小野薬品とBMSは、この戦略的提携契約をさらに拡張し、日本、韓国、台湾のがん患者さん向けに複数の免疫療法薬を単剤療法および併用療法として共同開発・商業化することを合意しました。