2022.07.19
研究開発

OPDIVO®点滴静注、台湾においてオプジーボとヤーボイの併用療法およびオプジーボと化学療法の併用療法による「進行または転移性食道扁平上皮がん」のファーストライン治療に対する効能又は効果の追加承認を取得

 小野薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:相良 暁、以下、当社)は、台湾の現地法人である台灣小野藥品工業股份有限公司(以下、台湾小野)が、ヒト型抗ヒトPD-1モノクローナル抗体、OPDIVO®(一般名:ニボルマブ)点滴静注(以下、オプジーボ)について、2022年7月15日に以下の2つの併用療法による「進行または転移性食道扁平上皮がん」のファーストライン治療に対する効能又は効果の追加承認を台湾食品薬物管理局(TFDA)から取得しましたので、お知らせします。

  • オプジーボとヤーボイ∗1(一般名:イピリムマブ)点滴静注液との併用療法
  • オプジーボとフルオロピリミジン系およびプラチナ系薬剤を含む化学療法との併用療法
    ∗1 ヤーボイ:ヒト 型抗ヒトCTLA-4モノクローナル抗体

 今回の承認は、治療歴のない切除不能な進行性、再発または転移性の食道扁平上皮がん患者を対象に、オプジーボとヤーボイの併用療法およびオプジーボと化学療法*2の併用療法を化学療法∗2と比較評価した多施設国際共同無作為化非盲検第Ⅲ相試験であるCheckMate -648試験(ONO-4538-50/CA209648)の結果に基づいています。本試験において、予め計画された中間解析で、オプジーボによる上記 2 種類の併用療法が、化学療法と比較して、PD-L1 発現率が 1%以上の患者および全無作為化患者集団において統計学的に有意かつ臨床的に意義のある全生存期間の延長を示しました。本試験におけるオプジーボとヤーボイの併用療法およびオプジーボと化学療法の併用療法の安全性プロファイルは、これまでに報告されている各薬剤のものと一貫していました。
  ∗2 化学療法:フルオロウラシルおよびシスプラチンの併用療法(FP療法)

CheckMate -648試験(ONO-4538-50/CA209648)について

 CheckMate-648 試験は、治療歴のない切除不能な進行性、再発または転移性の食道扁平上皮がん患者を対象に、オプジーボとヤーボイの併用療法およびオプジーボと化学療法(フルオロウラシルおよびシスプラチンの併用療法)の併用療法を、化学療法(フルオロウラシルおよびシスプラチンの併用療法)と比較評価した多施設国際共同無作為化非盲検第Ⅲ相試験です。本試験の主要評価項目は、PD-L1発現率が 1%以上の患者において、オプジーボによる 2種類の併用療法を化学療法と比較した全生存期間(OS)および盲検下独立中央評価委員会(BICR)の評価による無増悪生存期間(PFS)です。副次評価項目は、全無作為化患者集団におけるOSおよびBICRの評価によるPFSです。
 オプジーボとヤーボイの併用療法群では、オプジーボ 3 mg/kgを 2 週間間隔およびヤーボイ1 mg/kgを 6 週間間隔で最長 24 カ月間とし、病勢進行または忍容できない毒性が認められるまで投与を継続しました。オプジーボと化学療法の併用療法群では、4 週間を 1 サイクルとして、オプジーボ240 mgを 2 週間間隔、フルオロウラシル800 mg/m²/dayを各サイクルの1日目から5日目まで(5日間)、並びにシスプラチン80 mg/m²を各サイクルの1日目に投与しました。オプジーボの投与は、最長 24 カ月間とし、病勢進行または忍容できない毒性が認められるまで投与を継続しました。化学療法は、病勢進行または忍容できない毒性が認められるまで継続しました。

食道がんについて

 食道がんは、食道の内面を覆っている粘膜から発生する悪性腫瘍で、大きくなると深層(外側)に向かって増殖します。食道がんは主に扁平上皮がんと腺がんの二つの組織型に分類され、台湾では、扁平上皮がんが約 90%を占めています。台湾では、年間約 2,830人が新たに食道がんと診断され、年間約 1,980人の死亡が報告されています。

 ∗: 中華民國 108年(2019年) 癌症登記報告

オプジーボについて

 オプジーボは、programmed cell death-1(PD-1)とPD-1リガンドの経路を阻害することで身体の免疫系を利用して抗腫瘍免疫応答を再活性化するPD-1免疫チェックポイント阻害薬です。がんを攻撃するために身体の免疫系を利用するオプジーボは、日本で2014年7月に悪性黒色腫で承認を取得以降、複数のがん腫において重要な治療選択肢となっています。現在、日本、台湾、韓国、中国、米国およびEUを含む65カ国以上で承認されています。
 日本では、当社が2014年9月に「根治切除不能な悪性黒色腫」の治療薬として発売しました。その後、2015年12月に「切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」、2016年8月に「根治切除不能又は転移性の腎細胞癌」、2016年12月に「再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫」、2017年3月に「再発又は遠隔転移を有する頭頸部癌」、2017年9月に「がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の胃癌」、2018年8月に「がん化学療法後に増悪した切除不能な進行・再発の悪性胸膜中皮腫」、2020年2月に「がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する結腸・直腸癌」と「がん化学療法後に増悪した根治切除不能な進行・再発の食道癌」、2021年12月に「原発不明癌」、および2022年3月に「尿路上皮癌における術後補助療法」の効能又は効果の追加承認を取得しました。
 また、肝細胞がん、卵巣がん、膀胱がん、前立腺がん、膵がん等を対象とした臨床試験を実施中です。

小野薬品工業株式会社とブリストル マイヤーズ スクイブの提携について

 2011年、当社は、ブリストル マイヤーズ スクイブ(BMS)と締結した提携契約により、当時、当社がオプジーボに関するすべての権利を保有していた北米以外の地域のうち、日本、韓国、台湾を除く世界各国におけるオプジーボの開発・商業化に関する権利を供与しました。2014年7月、当社とBMSは、この戦略的提携契約をさらに拡張し、日本、韓国、台湾のがん患者さん向けに複数の免疫療法薬を単独療法および併用療法として共同開発・商業化することを合意しました。

台灣小野藥品工業股份有限公司について

 台灣小野藥品工業股份有限公司(所在地:台湾・台北市、台湾小野)は、2014年12月に設立された小野薬品工業株式会社の100%出資の現地法人です。台湾小野は、台湾での自社販売体制を構築し、2016年から抗PD-1抗体/抗悪性腫瘍剤、オプジーボを自社販売しています。また、台湾の患者さんにアンメット・メディカルニーズを満たすさらなる革新的な新製品を一日も早くお届けするように取り組んでいます。