2022.10.28
研究開発

OPDIVO®点滴静注、韓国において、「化学療法との併用療法による切除可能な非小細胞肺がんの術前補助療法」に対する効能又は効果の追加承認を取得

 小野薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:相良 暁、以下、当社)は、韓国現地法人である韓国小野薬品工業株式会社(以下、韓国小野)が、ヒト型抗ヒトPD-1モノクローナル抗体、OPDIVO® (一般名:ニボルマブ)点滴静注(以下、オプジーボ)について、10月26日に「プラチナ製剤を含む化学療法2剤との併用療法による切除可能(腫瘍4cm以上もしくはリンパ節転移陽性)な非小細胞肺がんの成人患者の術前補助療法」に対する効能又は効果の追加承認を韓国食品医薬品安全処(MFDS)から取得しましたので、お知らせします。

 今回の承認は、切除可能な非小細胞肺がん(NSCLC)患者の術前補助療法として、オプジーボと化学療法の併用療法を化学療法単独と比較評価した多施設国際共同無作為化非盲検第Ⅲ相試験であるCheckMate -816試験(ONO-4538-55)の結果に基づいています。本試験においてオプジーボと化学療法との併用療法の3回投与は、化学療法単独と比較して、本試験の主要評価項目である盲検下独立中央評価委員会(BICR)の評価による無イベント生存期間(EFS)および盲検下独立病理判定(BIPR)の評価による病理学的完全奏効(pCR)で統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示しました。本試験におけるオプジーボと化学療法の併用療法の安全性プロファイルは、NSCLC患者を対象とした試験でこれまでに報告されているものと一貫していました。

 CheckMate -816 試験は、PD-L1 発現レベルにかかわらず、切除可能なステージⅠB~ⅢA の非小細胞肺がん(米国がん合同委員会/国際対がん連合病期分類第7 版による)患者の術前補助療法として、オプジーボと化学療法の併用療法を化学療法単独と比較評価した多施設国際共同無作為化非盲検第Ⅲ相試験です。オプジーボと化学療法の併用療法群では、オプジーボ360 mg と組織型に基づくプラチナ製剤を含む化学療法2剤との併用療法を3週間間隔で3回投与し、その後手術が施行されました。また、化学療法単独群では、プラチナ製剤を含む化学療法2剤を3週間間隔で3回投与し、その後、手術が施行されました。本試験の主要評価項目は、BICRの評価によるEFSおよびBIPRの評価によるpCRでした。副次評価項目は、全生存期間(OS)、Major Pathological Response(MPR)および死亡または遠隔転移までの期間等でした。

 また、今回、既承認の効能又は効果である「イピリムマブとの併用療法によるPD-L1発現率が1%以上で、EGFRまたはALK遺伝子変異陰性の進行・再発の非小細胞肺がんのファーストライン治療」に対する用法用量に関して、現在承認されている「オプジーボ3 mg/kgを2週間間隔で点滴静注する」に加えて、「オプジーボ360 mgを3週間間隔で点滴静注する」の用法用量もMFDSにより追加承認されました。

肺がんについて

 肺がんは、気管、気管支および肺胞の細胞が悪性化した腫瘍であると考えられています。肺がんは、組織型によって小細胞肺がんと非小細胞肺がん(NSCLC)の2種類に分類されます。NSCLCは、肺がんの中で最も一般的な型の一つであり、肺がんの約80 - 85%を占めています1)。さらに、NSCLCは腺がん(肺がんの40%)、扁平上皮がん(同25%)、大細胞がん(同10%)等に分類されます2)。韓国では、年間で約2.9万人が新たに肺がんと診断され、肺がんによる死亡者数は、年間で約2万人と推定されており、がんによる死亡原因の第1位となっています3)。治癒を目的とした外科手術が、NSCLCのステージⅠ~ⅢAおよびⅢBの一部の患者に実施されています。しかしながら、手術を行った場合でも、NSCLCの患者の30 - 55%が再発し、この疾患で亡くなられています4)。生存率は、診断された際の進行度(ステージ)とがんの種類によって異なります。

  1. American Cancer Society; What Is Non-Small Cell Lung Cancer?:
    https://www.cancer.org/content/cancer/en/cancer/lung-cancer/about/what-is.html
  2. Non-Small Cell Lung Cancer Treatment (PDQ®)–Health Professional Version, National Cancer Institute:
    https://www.cancer.gov/types/lung/hp/non-small-cell-lung-treatment-pdq#_12_toc
  3. Globocan 2020; Patient Fact Sheets, Korea, Republic of. World Health Organization:
    https://gco.iarc.fr/today/data/factsheets/populations/410-korea-republic-of-fact-sheets.pdf
  4. Uramoto H, Tanaka F. Recurrence after surgery in patients with NSCLC. Transl Lung Cancer Res. 2014;3:242-9.

オプジーボについて

 オプジーボは、programmed cell death-1(PD-1)とPD-1リガンドの経路を阻害することで身体の免疫系を利用して抗腫瘍免疫応答を再活性化するPD-1免疫チェックポイント阻害薬です。がんを攻撃するために身体の免疫系を利用するオプジーボは、日本で2014年7月に悪性黒色腫で承認を取得以降、複数のがん腫において重要な治療選択肢となっています。現在、日本、韓国、台湾、中国、米国およびEUを含む65カ国以上で承認されています。
 日本では、当社が2014年9月に「根治切除不能な悪性黒色腫」の治療薬として発売しました。その後、2015年12月に「切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」、2016年8月に「根治切除不能又は転移性の腎細胞癌」、2016年12月に「再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫」、2017年3月に「再発又は遠隔転移を有する頭頸部癌」、2017年9月に「がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の胃癌」、2018年8月に「がん化学療法後に増悪した切除不能な進行・再発の悪性胸膜中皮腫」、2020年2月に「がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する結腸・直腸癌」と「がん化学療法後に増悪した根治切除不能な進行・再発の食道癌」、2021年12月に「原発不明癌」、および2022年3月に「尿路上皮癌における術後補助療法」の効能又は効果の追加承認を取得しました。
 また、肝細胞がん、卵巣がん、膀胱がん、前立腺がん、膵がん、胆道がん等を対象とした臨床試験も実施中です。

小野薬品工業とブリストル マイヤーズ スクイブの提携について

 2011年、当社は、ブリストル マイヤーズ スクイブ(BMS)と締結した提携契約により、当時、当社がオプジーボに関するすべての権利を保有していた北米以外の地域のうち、日本、韓国、台湾を除く世界各国におけるオプジーボの開発・商業化に関する権利を供与しました。2014年7月、当社とBMSは、この戦略的提携契約をさらに拡張し、日本、韓国、台湾のがん患者さん向けに複数の免疫療法薬を単独療法および併用療法として共同開発・商業化することを合意しました。

韓国小野薬品工業株式会社について

 韓国小野薬品工業株式会社(所在地:韓国・ソウル特別市、以下、韓国小野)は、2013年12月に設立された小野薬品工業株式会社の100%出資の現地法人です。韓国小野は、韓国での自販体制を構築し、2015年から抗 PD-1 抗体/抗悪性腫瘍剤、オプジーボ等の自社販売を行っています。韓国の患者さんにアンメット・メディカルニーズを満たすさらなる革新的な医薬品を一日も早くお届けするよう、新規医薬品の開発、販売に取り組んでいます。