2023.02.22
研究開発

OPDIVO®点滴静注、台湾において「化学療法との併用療法による切除可能な非小細胞肺がんの術前補助療法」に対する効能又は効果の追加承認を取得

 小野薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:相良 暁、以下「当社」)は、台湾の現地法人である台灣小野藥品工業股份有限公司が、ヒト型抗ヒトPD-1モノクローナル抗体、OPDIVO®(一般名:ニボルマブ)点滴静注(以下、オプジーボ)について、2023年2月21日に「プラチナ製剤を含む化学療法2剤との併用療法による切除可能(腫瘍4cm以上もしくはリンパ節転移陽性)なEGFRまたはALK遺伝子変異陰性の非小細胞肺がんの成人患者の術前補助療法」に対する効能又は効果の追加承認を台湾食品薬物管理局(TFDA)から取得しましたので、お知らせします。

 今回の承認は、切除可能な非小細胞肺がん(NSCLC)患者の術前補助療法として、オプジーボと化学療法の併用療法を化学療法単独と比較評価した多施設国際共同無作為化非盲検第Ⅲ相試験であるCheckMate -816試験(ONO-4538-55)の結果に基づいています。本試験では、オプジーボと化学療法による3回の併用療法は、化学療法単独と比較して、本試験の主要評価項目である盲検下独立中央評価委員会(BICR)の評価による無イベント生存期間(EFS)および盲検下独立病理判定(BIPR)の評価による病理学的完全奏効(pCR)で統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示しました。本試験におけるオプジーボと化学療法との併用療法の安全性プロファイルは、これまでにNSCLC患者を対象とした試験で報告されているものと一貫していました。

CheckMate -816 試験(ONO-4538-55)について

 CheckMate -816 試験は、PD-L1 発現レベルにかかわらず、切除可能なステージⅠB~ⅢA の非小細胞肺がん(米国がん合同委員会/国際対がん連合病期分類第7 版による)患者の術前補助療法として、オプジーボと化学療法の併用療法を化学療法単独と比較評価した多施設国際共同無作為化非盲検第Ⅲ相試験です。オプジーボと化学療法の併用療法群では、オプジーボ360 mg と組織型に基づくプラチナ製剤を含む化学療法2剤との併用療法を3週間間隔で3回行い、その後手術が施行されました。また、化学療法単独群では、プラチナ製剤を含む化学療法2剤を3週間間隔で3回投与し、その後、手術が施行されました。本試験の主要評価項目は、BICRの評価によるEFSおよびBIPRの評価によるpCRでした。副次評価項目は、全生存期間(OS)、Major Pathological Response(MPR)および死亡または遠隔転移までの期間等でした。

肺がんについて

 肺がんは、気管、気管支および肺胞等の細胞に発生する悪性化した腫瘍で、世界でがんによる死亡原因の第1位となっています。肺がんは、組織型によって小細胞肺がんと非小細胞肺がん(NSCLC)の 2 種類に分類されます。 NSCLCは、肺がんの中で最も一般的な型の一つであり、肺がんの約80 - 85%を占めています1)。さらに、NSCLCは腺がん(肺がんの40%)、扁平上皮がん(同25%)、大細胞がん(同10%)等に分類されます2)。台湾では、年間で約1.6万人3)が新たに肺がんと診断され、肺がんによる死亡者数は、年間で約1万人3)と 推定されており、がんによる死亡原因の第1位となっています 。治癒を目的とした外科手術が、NSCLCのステージⅠ~ⅢAおよびⅢBの一部の患者に実施されています。しかしながら、手術を行った場合でも、NSCLCの患者の30 - 55%が再発し、この疾患で亡くなられています4)。生存率は、診断された際の進行度(ステージ)とがんの種類によって異なります。

オプジーボについて

 オプジーボは、programmed cell death-1(PD-1)とPD-1リガンドの経路を阻害することで身体の免疫系を利用して抗腫瘍免疫応答を再活性化するPD-1免疫チェックポイント阻害薬です。がんを攻撃するために身体の免疫系を利用するオプジーボは、日本で2014年7月に悪性黒色腫で承認を取得以降、複数のがん腫において重要な治療選択肢となっています。現在、日本、台湾、韓国、中国、米国およびEUを含む65カ国以上で承認されています。
 日本では、当社が2014年9月に「根治切除不能な悪性黒色腫」の治療薬として発売しました。その後、2015年12月に「切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」、2016年8月に「根治切除不能又は転移性の腎細胞癌」、2016年12月に「再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫」、2017年3月に「再発又は遠隔転移を有する頭頸部癌」、2017年9月に「がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の胃癌」、2018年8月に「がん化学療法後に増悪した切除不能な進行・再発の悪性胸膜中皮腫」、2020年2月に「がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する結腸・直腸癌」と「がん化学療法後に増悪した根治切除不能な進行・再発の食道癌」、2021年12月に「原発不明癌」、および2022年3月に「尿路上皮癌における術後補助療法」の効能又は効果の追加承認を取得しました。
 また、肝細胞がん、卵巣がん、前立腺がん等を対象とした臨床試験も実施中です。

小野薬品工業株式会社とブリストル マイヤーズ スクイブの提携について

 2011年、当社は、ブリストル マイヤーズ スクイブ(BMS)と締結した提携契約により、当時、当社がオプジーボに関するすべての権利を保有していた北米以外の地域のうち、日本、韓国、台湾を除く世界各国におけるオプジーボの開発・商業化に関する権利を供与しました。2014年7月、当社とBMSは、この戦略的提携契約をさらに拡張し、日本、韓国、台湾のがん患者さん向けに複数の免疫療法薬を単独療法および併用療法として共同開発・商業化することを合意しました。

台灣小野藥品工業股份有限公司について

 台灣小野藥品工業股份有限公司(所在地:台湾・台北市、台湾小野)は、2014年12月に設立された小野薬品工業株式会社の100%出資の現地法人です。台湾小野は、台湾で2016年から抗PD-1抗体/抗悪性腫瘍剤、オプジーボを自社販売しています。また、台湾の患者さんにアンメット・メディカルニーズを満たすさらなる革新的な新製品を一日も早くお届けするように取り組んでいます。