Opdivo®点滴静注、台湾においてヤーボイとの併用療法で「ソラフェニブによる治療歴を有する肝細胞がん」に対する効能又は効果の追加承認を取得
小野薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:相良 暁、以下「当社」)は、台湾の現地法人である台灣小野藥品工業股份有限公司が、ヒト型抗ヒトPD-1モノクローナル抗体、Opdivo®(一般名:ニボルマブ)点滴静注(以下、オプジーボ)について、2023年3月21日にヤーボイ(一般名:イピリムマブ)との併用療法で「ソラフェニブによる治療歴を有する肝細胞がん」に対する効能又は効果の追加承認を台湾食品薬物管理局(TFDA)から取得しましたので、お知らせします。
今回の承認は、ソラフェニブによる治療歴を有する進行肝細胞がん(HCC)患者を対象に実施した第Ⅰ/Ⅱ相CheckMate-040試験のオプジーボとヤーボイの併用療法のコホートより得られた結果に基づいています。本結果において、オプジーボとヤーボイの併用療法で、固形がんの治療効果判定のためのガイドライン(RECIST v1.1)を用いた盲検下独立中央評価委員会(BICR)の評価による奏効率(ORR)は33%(49例中16例)でした。そのうち、完全奏効(CR)は8%(4 例)、部分奏効(PR)は24%(12 例)でした。奏効期間(DOR)は 4.6~30.5 カ月以上を示し、患者の 88%で 6 カ月以上、56%で 12 カ月以上、31%で 24 カ月以上継続しました 。本試験におけるオプジーボとヤーボイの併用療法は忍容性可能な安全性プロファイルを示し、新たな安全性シグナルは認められませんでした。
CheckMate-040 試験について
CheckMate-040試験は、ソラフェニブによる治療中に病勢進行した、またはソラフェニブに不耐のHCC患者を対象にオプジーボとヤーボイの併用療法を受けたコホートを含む非盲検第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験です。本試験にはPD-L1陽性患者および陰性患者が含まれました。主要な適格基準には、組織学的に診断されたHCCであり、Child-Pugh分類Aの肝硬変の状態が含まれました。追加の適格基準には、活動性のC型肝炎ウイルス(HCV)または活動性のB型肝炎ウイルス(HBV)の感染患者および非感染患者が含まれました。活動性自己免疫疾患、脳転移、肝性脳症の病歴、臨床的に顕著な腹水を有する患者、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染患者、活動性のHBV/HCVまたはHBV/デルタ肝炎ウイルス(HDV)に同時感染した患者は、本試験の対象から除外されました。Fibrolamellar HCC、肉腫様HCC、HCCと肝内胆管がんの混合型患者も除外されました。患者は、オプジーボ1mg/kgとヤーボイ3mg/kgを3週間間隔で4回点滴静注後、オプジーボ240 mgを2週間間隔で点滴静注を受けました。患者への投与は、病勢進行または忍容できない毒性が認められるまで継続されました。主な有効性の指標は、RECIST v1.1およびmRECISTを用いたBICRの評価によるORRでした。奏効期間も評価されました。
肝細胞がんについて
肝がんは、世界のがんによる死因で2 番目に多く、肝がんの新規罹患者数は、2020年に世界で約90万5千人以上と推定され、83万人以上が亡くなっていると推定されています 1) 。肝細胞がんは、肝がんの最も一般的な型であり、原発性肝がんの9割を占めるとされています 2) 。台湾における肝細胞がんの年間発症患者数は約10,980人、年間死亡者数は約7,770人(肝および肝内胆管がん死亡数含む)と推定されています 3) 。
- Globocan 2020: World. World Health Organization. Available at:
https://gco.iarc.fr/today/data/factsheets/populations/900-world-fact-sheets.pdf - Eunsun K., et al. Hepatocellular carcinoma: old friends and new tricks. Experimental & Molecular Medicine Cancer. 2020. Dec;52(12):1898-1907.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8080814/ - 台湾癌症登記報告、中華民国109年、2020
オプジーボについて
オプジーボは、programmed cell death-1(PD-1)とPD-1リガンドの経路を阻害することで身体の免疫系を利用して抗腫瘍免疫応答を再活性化するPD-1免疫チェックポイント阻害薬です。がんを攻撃するために身体の免疫系を利用するオプジーボは、日本で2014年7月に悪性黒色腫で承認を取得以降、複数のがん腫において重要な治療選択肢となっています。現在、日本、台湾、韓国、中国、米国およびEUを含む65カ国以上で承認されています。
日本では、当社が2014年9月に「根治切除不能な悪性黒色腫」の治療薬として発売しました。その後、2015年12月に「切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」、2016年8月に「根治切除不能又は転移性の腎細胞癌」、2016年12月に「再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫」、2017年3月に「再発又は遠隔転移を有する頭頸部癌」、2017年9月に「がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の胃癌」、2018年8月に「がん化学療法後に増悪した切除不能な進行・再発の悪性胸膜中皮腫」、2020年2月に「がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する結腸・直腸癌」と「がん化学療法後に増悪した根治切除不能な進行・再発の食道癌」、2021年12月に「原発不明癌」、および2022年3月に「尿路上皮癌における術後補助療法」の効能又は効果の追加承認を取得しました。
また、肝細胞がん、卵巣がん、前立腺がん等を対象とした臨床試験も実施中です。
小野薬品工業株式会社とブリストル マイヤーズ スクイブの提携について
2011年、当社は、ブリストル マイヤーズ スクイブ(BMS)と締結した提携契約により、当時、当社がオプジーボに関するすべての権利を保有していた北米以外の地域のうち、日本、韓国、台湾を除く世界各国におけるオプジーボの開発・商業化に関する権利を供与しました。2014年7月、当社とBMSは、この戦略的提携契約をさらに拡張し、日本、韓国、台湾のがん患者さん向けに複数の免疫療法薬を単独療法および併用療法として共同開発・商業化することを合意しました。
台灣小野藥品工業股份有限公司について
台灣小野藥品工業股份有限公司(所在地:台湾・台北市、台湾小野)は、2014年12月に設立された小野薬品工業株式会社の100%出資の現地法人です。台湾小野は、台湾で2016年から抗PD-1抗体/抗悪性腫瘍剤、オプジーボを自社販売しています。また、台湾の患者さんにアンメット・メディカルニーズを満たすさらなる革新的な新製品を一日も早くお届けするように取り組んでいます。