2023.07.04
研究開発

ブリストル マイヤーズ スクイブ、欧州委員会より、PD-L1発現レベルが1%以上で再発リスクが高い切除可能な非小細胞肺がん患者の術前補助療法として、オプジーボと化学療法の併用療法の承認を取得

 本資料は、小野薬品工業と戦略的提携契約を締結しているブリストル マイヤーズ スクイブが2023年6月29日(米国現地時間)に発表した英語原文のプレスリリースを和文抄訳として提供するものです。和文抄訳の内容につきましては、英語原文が優先されます。
 英語原文のプレスリリースは、https://www.bms.com/media/press-releases.html をご覧ください。


本資料は、ブリストル マイヤーズ スクイブが2023年6月29日に発表しましたプレスリリースの和文抄訳であり、内容につきましては英語原文が優先されます。

ブリストル マイヤーズ スクイブ、欧州委員会より、PD-L1発現レベルが1%以上で再発リスクが高い切除可能な非小細胞肺がん患者の術前補助療法として、オプジーボと化学療法の併用療法の承認を取得

  • この承認は、オプジーボと化学療法の併用療法による術前補助療法が、化学療法単独と比較して、無イベント生存期間および病理学的完全奏効の改善を示した第Ⅲ相CheckMate -816試験の結果に基づいています。
  • オプジーボと化学療法の併用療法は、欧州連合において非小細胞肺がん患者に対する術前補助療法として承認された最初でかつ唯一の免疫療法薬をベースとした治療選択肢です。
  • 今回の承認により、悪性黒色種、食道/胃食道接合部がん、および尿路上皮がんに次いで、欧州連合において早期ステージのがんを対象に承認されたオプジーボの4つ目のがん腫となります。

 (ニュージャージー州プリンストン、2023年6月29日)-ブリストル マイヤーズ スクイブ(NYSE:BMY/本社:米国ニューヨーク/CEO:ジョバンニ・カフォリオ)は、本日、欧州委員会(EC)が、PD-L1発現レベルが1%以上で再発リスクが高い切除可能な非小細胞肺がん(NSCLC)の成人患者の術前補助療法として、オプジーボ(一般名:ニボルマブ)とプラチナ製剤を含む化学療法の併用療法を承認したことを発表しました。今回のECの承認により、オプジーボと化学療法の併用療法は、この設定における欧州連合(EU)の患者に対する術前補助療法として承認された最初の免疫療法薬による治療選択肢になります。
 このECの承認は、オプジーボと化学療法の併用療法の3回投与による術前補助療法が、化学療法単独と比較して、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある無イベント生存期間(EFS)および病理学的完全奏効(pCR)の改善を示した第Ⅲ相CheckMate -816試験の結果に基づいています。オプジーボと化学療法の併用療法の安全性プロファイルは、これまでに報告されたNSCLCにおける試験のものと一貫していました。
 フランス、パリにあるInstitut Curie and Paris Saclay大学、胸部腫瘍科教授であるNicolas Girard(M.D.)は、次のように述べています。「切除可能なNSCLC患者さんの中には手術で治癒できる方もいますが、約 30~ 55%の患者さんが手術後に再発を経験し、最終的にはこの疾患で亡くなられるため、再発を予防するのに役立つ手術以外の治療選択肢が強く求められています。EUで非転移性NSCLCの特定の患者さんの治療にオプジーボと化学療法の併用療法が承認されたことの重要性は、強調してもしすぎることはなく、がんの治療方法を変える機会を提供し、手術後のがん再発リスクを低下させる解決策を提供します。」
 ECの承認により、EUの27加盟国をはじめ、アイスランド、リヒテンシュタインおよびノルウェーにおいて、PD-L1発現レベルが1%以上で再発リスクが高い切除可能なNSCLCの成人患者の術前補助療法として、オプジーボとプラチナ製剤を含む化学療法の併用療法が使用できるようになります。また、オプジーボと化学療法の併用療法は、PD-L1発現レベルにかかわらず、切除可能なNSCLC患者の術前補助療法として、米国、日本および中国を含む21カ国で承認されており、現在、世界各国の保健当局によって承認申請の審査が進められています。CheckMate -816試験のpCR、EFSおよび全生存期間(OS)の予備データの主要解析は、以前に学会で発表され、ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン誌に掲載されました。本併用療法による持続的な臨床ベネフィットを示す3年間の追跡データは 2023年欧州肺がん学会 で発表されました。
 Lung Cancer Europeの会長兼患者支援者であるAnne-Marie Bairdは、次のように述べています。「早期ステージのNSCLCの治療は進歩してきましたが、まだ多くの患者さんが予後不良に直面しています。NSCLC患者さんの最大50%の方が切除可能であり、これは腫瘍は外科的に切除することができることを意味しますが、がんの再発を阻止するには手術だけでは必ずしも十分ではありません。早期ステージのNSCLCの分野に新たな選択肢を提供するこの免疫療法薬ベースの併用療法による術前補助療法が欧州医薬品庁(EMA)により承認されたことをうれしく思います。」
 ブリストル マイヤーズ スクイブのバイスプレジデント兼胸部がん領域開発担当であるAbderrahim Oukessou(M.D.)は、次のように述べています。「オプジーボと化学療法の併用療法は、EUにおいてNSCLCに対する術前補助療法が承認された最初でかつ唯一の免疫療法薬をベースとした治療選択肢になり、欧州の特定の患者さんに、疾患の再発、病勢進行および死亡のリスク低減に役立つソリューションを提供できるものと期待しています。今回の承認は、がんの早期ステージにおける免疫療法の研究を通じて治療パラダイムを前進させるという当社の取り組みによるものあり、オプジーボをベースとした治療選択肢がさまざまな治療設定および疾患ステージにわたってNSCLC患者さんの予後を変えうるという可能性を裏付けるものです。この承認を可能にするためにご尽力いただいた患者さん、治験担当医師およびスタッフの皆様に心から感謝の意を表明します。」
 オプジーボをベースとした治療選択肢は、現在、EU において NSCLC(CheckMate -816)、尿路上皮がん(CheckMate -274)、食道/胃食道接合部がん(CheckMate -577)および悪性黒色腫(CheckMate -238)の4 つの異なるがん腫の術前補助療法または術後補助療法として承認されています。また、早期ステージのがんを対象とした広範な開発プログラムを複数の異なるがん腫で実施しています。

CheckMate -816試験における有効性および安全性の結果

 PD-L1発現レベルまたは病期にかかわらず無作為化された全患者を対象に、最短21カ月間の追跡期間でのCheckMate -816試験の結果は以下の通りです。

  • EFS(主要評価項目):術前投与した場合のEFS中央値は、オプジーボと化学療法の併用療法群で31.6カ月、化学療法単独群で20.8カ月でした(HR 0.63; 97.38% CI: 0.43 to 0.91; p=0.0052)。
  • pCR(主要評価項目):pCRは、オプジーボと化学療法の併用療法群で24%で、化学療法単独群で2.2%でした(HR 13.9, 99% CI: 3.49 to 55.75; p<0.0001)。pCRとは、盲検下独立病理判定の評価による切除した組織にがん細胞が認められないことと定義しています。
  • OS(副次評価項目):オプジーボと化学療法の併用療法群は、化学療法単独群と比較して、死亡リスクを43%低減しました(HR 0.57, 99.67% CI: 0.30 to 1.07)。
  • 安全性:がん腫にかかわらずオプジーボの統合データセット(1268例)において、胃、胃食道接合部または食道腺がん、食道扁平上皮がんに対する最短12.1カ月~20カ月間の追跡調査期間、あるいは切除可能なNSCLCに対する3サイクルの治療後に頻繁に(10%以上)認められた副作用は、悪心(51%)、末梢性ニューロパチー(39%)、疲労(39%)、下痢(33%)、食欲減退(33%)、便秘(31%)、嘔吐(27%)、口内炎(22%)、腹痛(21%)、発疹(18%)、発熱(17%)、筋骨格痛(16%)、咳嗽(13%)、浮腫(末梢性浮腫を含む)(12%)および低アルブミン血症(11%)でした。

CheckMate -816試験について

 CheckMate -816試験は、切除可能なステージⅠB~ⅢAの非小細胞肺がん(米国がん合同委員会/国際対がん連合病期分類第7版による)患者の術前補助療法として、オプジーボと化学療法の併用療法を化学療法単独と比較評価した多施設共同無作為化非盲検第Ⅲ相試験です。主要解析には、患者358例がオプジーボ360 mgと組織型に基づくプラチナ製剤を含む化学療法2剤との併用療法を3週間間隔で3回投与する群、またはプラチナ製剤を含む化学療法2剤を3週間間隔で3回投与する群のいずれかに無作為に割り付けられ、その後、手術が施行されました。本試験の主要評価項目は、PD-L1 の発現を問わない無イベント生存期間(EFS)および病理学的完全奏効(pCR)でした。副次評価項目は、全生存期間(OS)、Major Pathological Response(MPR)および死亡または遠隔転移までの期間(TTDM)等でした。

肺がんについて

 肺がんは、全世界でがんによる死因の第1位となっています。非小細胞肺がん(NSCLC)は、肺がんの中で最も一般的な型の一つであり、診断の最大84%を占めています。NSCLCと診断された患者の過半数が非転移性疾患であり(約60%、そのうち最大半数が切除可能)、今後がん検診プログラムが強化されるにつれて、さらに大きな割合を占めるようになると予測されています。非転移性NSCLC患者の多くが手術で完治するものの、切除したにもかかわらず30%~55%が再発し、がんで亡くなられます。長期的なアウトカムを改善するために、手術前に投与(術前補助療法)および/または手術後に投与(術後補助療法)する治療選択肢が必要とされています。

ブリストル マイヤーズ スクイブ:がん患者さんのためのより良い未来を目指して

 ブリストル マイヤーズ スクイブは、「サイエンスを通じて、患者さんの人生に違いをもたらす」というビジョンを掲げています。がん研究で私たちが目指すのは、より良い健やかな日々をもたらす医薬品を患者さんにお届けすること、そして、がんの治癒を可能にすることです。私たちはこれまでも、さまざまながん腫において生存期間を改善してきました。その実績を足掛かりに、ブリストル マイヤーズ スクイブの研究者は、患者さん一人ひとりに合わせた個別化医療の新たな地平を拓くとともに、革新的なデジタルプラットフォームによって得たデータをインサイトに変え、研究の着眼点を明らかにしています。卓越した科学的知見、最先端の技術および創薬プラットフォームにより、私たちは、あらゆる角度からがん治療にアプローチします。がんは、患者さんの人生のさまざまな場面に深刻な影響を及ぼします。ブリストル マイヤーズ スクイブは、診断からサバイバーシップまで、がん治療のすべての側面に違いをもたらすべく尽力しています。がん治療のリーダーである私たちは、がんと闘うすべての人々の力となり、より良い未来を築くべく取り組んでいます。

オプジーボについて

 オプジーボは、身体の免疫系を利用して抗腫瘍免疫応答を再活性化するPD-1免疫チェックポイント阻害薬です。がんを攻撃するために身体の免疫系を利用するオプジーボは、複数のがん腫において重要な治療選択肢となっています。
 業界をリードするオプジーボのグローバル開発プログラムは、ブリストル マイヤーズ スクイブのがん免疫療法における科学的知見に基づいており、さまざまながん腫を対象に、第Ⅲ相試験を含む全段階において広範な臨床試験が実施されています。今日に至るまで、オプジーボの臨床試験プログラムには、35,000人以上の患者さんが参加しています。オプジーボの臨床試験は、治療におけるバイオマーカーの役割、特に、一連のPD-L1の発現状況においてオプジーボが患者さんにどのようなベネフィットをもたらすかについて理解を深めることに役立っています。
 オプジーボは、2014年7月に承認を取得した世界初のPD-1免疫チェックポイント阻害薬となり、現在、米国、欧州、日本および中国を含む65カ国以上で承認されています。2015年10月、ブリストル マイヤーズ スクイブは、オプジーボとヤーボイの併用療法において転移性悪性黒色腫の適応でがん免疫療法薬の併用療法として初めて承認を取得し、現在、米国と欧州を含む50カ国以上で承認されています。

オプジーボの適応症および安全性情報について

 米国でのオプジーボの適応症および安全性情報については、原文リリースをご参照ください。

ブリストル マイヤーズ スクイブと小野薬品工業の提携について

 2011年、ブリストル マイヤーズ スクイブは、小野薬品工業と締結した提携契約により、当時、小野薬品工業がすべての権利を保有していた北米以外の地域のうち、日本、韓国、台湾を除く世界各国におけるオプジーボの開発・商業化に関する権利を獲得しました。2014年7月23日、ブリストル マイヤーズ スクイブと小野薬品工業は、この戦略的提携契約をさらに拡張し、日本、韓国、台湾のがん患者さん向けに複数の免疫療法薬を単剤療法および併用療法として共同開発・商業化することを合意しました。

ブリストル マイヤーズ スクイブについて

 ブリストル マイヤーズ スクイブは、深刻な病気を抱える患者さんを助けるための革新的な医薬品を開発し、提供することを使命とするグローバルなバイオファーマ製薬企業です。ブリストル マイヤーズ スクイブに関する詳細については、BMS.com をご覧くださるか、LinkedIn 、Twitter 、YouTube 、Facebook および Instagram をご覧ください。

将来予測等に関する記述の注意事項

 本プレスリリースは、特に医薬品の研究、開発および商業化について、1995年民間有価証券訴訟改正法の趣旨の範疇に含まれる「将来予測に関する記述」を含んでいます。歴史的事実ではないすべての記述は、将来予測であるか、将来予測であると見なされるものです。そうした将来予測に関する記述は過去の実績ならびに将来の業績、目標、計画および目的に関する現在の予想および予測に基づくものであり、今後数年間で予測が困難あるいは当社の支配下にない遅延、転換または変更を来たす内的または外的要因を含む内在的リスク、仮定および不確実性を伴い、将来の業績、目標、計画および目的が、本文書で記述または示唆されている内容と大きく異なる結果となる可能性があります。これらのリスク、仮定、不確実性およびその他の要因には、特に、欧州各国における価格設定および保険償還に関する交渉に起因して、本プレスリリースに記載された適応症でのオプジーボ(ニボルマブ)と化学療法の併用療法の商業化が遅延するまたは制限される可能性、販売承認が得られた場合にその使用が著しく制限される可能性、本プレスリリースに記載された適応症でのそのような併用療法の承認の継続が検証試験における臨床的有用性の証明および記載を条件とする可能性、また承認された場合でも、そのような併用療法が本プレスリリースに記載された追加の適応症で商業的に成功するかどうかは不明であるという点が含まれています。将来予測に関するいかなる記述も保証されるものではありません。本プレスリリースの将来予測に関する記述は、ブリストル マイヤーズ スクイブの事業と市場に影響を与える多くのリスクおよび不確定要素、特にブリストル マイヤーズ スクイブの2022年12月31日に終了した事業年度通期報告書(Form 10-K)、その後の四半期報告書(Form 10-Q)および当期報告書(Form 8-K)など、当社が証券取引委員会に提出した報告書にリスク要因として記されている不確定要素と共に評価されるべきです。本プレスリリースに記載された将来予測等に関する記述は、本プレスリリースの発表日時点での予測であり、準拠法で特段の定めのない限り、ブリストル マイヤーズ スクイブは、新たな知見、今後の出来事等に因るか否かを問わず、一切の将来予測等に関する記述について、公に更新または修正する義務を負うものではありません。