2023.12.20
ライセンス

英国UK Dementia Research Institute と認知症領域における共同研究契約を締結

 小野薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:相良 暁、以下「当社」)は、本日、認知症等の神経変性疾患の研究を行う英国の国立認知症研究機構UK Dementia Research Institute(英国ロンドン、以下「UK DRI」)と認知症領域における新規治療標的分子の同定を目的とする共同研究契約を締結しましたので、お知らせします。

 今回の提携では、当社のオープンイノベーション推進の一環として、認知症の診断、予防および治療に係る新規標的分子を同定するために、複数年にわたる共同研究を開始します。当社は、UK DRIに所属する研究者に対して、当社の注目研究領域であるグリア細胞が関与する疾患や神経炎症領域などを中心に研究テーマを募集します。その中で優れた研究テーマを採択し、認知症治療薬の新規標的を同定する共同研究に資金を提供します。本共同研究期間中は、当社の神経領域におけるノウハウや知見を活用しながら共同研究を推進します。本共同研究を通じて、多様なタイプの認知症の新しい治療標的分子を同定するとともに、これらのメカニズムの解明に向けた探索研究を行います。
 本共同研究から同定された新規治療標的分子については、当社でその標的分子に対する医薬品候補化合物を創製し、新たな認知症治療薬の開発、商業化に向けて取り組んでまいります。

 当社は、がん、免疫、神経領域を創薬の重点領域として、アンメットメディカルニーズを満たす革新的な医薬品の創製に取り組んでいます。当社は、「オープンイノベーション」を積極的に推進することにより、数々の革新的な医薬品を創出してきました。今後も、オープンイノベーションによる独自の創薬アプローチをベースにグローバルスペシャリティファーマを目指して、革新的な医薬品の創製に取り組んでまいります。

 UK DRIは、英国内の6つの著名な大学から世界の認知症研究をリードする研究者を集め、アルツハイマー型認知症をはじめとした種々の認知症の治療法の提供を目指す国立研究機関です。750 名以上の研究者が所属し、マルチオミクス(遺伝子、蛋白質、代謝物などの複合解析手法)、iPS細胞やデータサイエンスなどの最先端の技術を使って認知症の発症機構の解明や治療法の開発を行っています。

 当社の取締役 専務執行役員 研究本部長である滝野十一は、次のように述べています。「世界最先端の研究能力および研究連携体制を持つUK DRIと協働できることをうれしく思います。今回のパートナーシップにより、認知症の新たな創薬標的の同定に繋がることを期待しています。」

 UK DRIのInnovation&Business部門のディレクターであるKay Penicud博士は、次のように述べています。「認知症に対する革新的な新薬の研究開発に取り組む小野薬品と提携できることをうれしく思います。今回の戦略的提携は両者の創薬研究および医薬品開発におけるお互いの能力を補完するものであり、新たな研究の臨床応用を加速し、認知症患者さんが切望している治療に近づけるものと期待しています。」

UK DRIについて

 UK DRIは、Medical Research Council(英医学研究会議)、Alzheimer's Society(英アルツハイマー協会)、Alzheimer's Research UK(アルツハイマー・リサーチUK)の出資のもと、認知症研究における世界的リーダーらにより運営されている国立研究機構です。UK DRIは、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン 、ケンブリッジ大学、カーディフ大学、エジンバラ大学、インペリアル・カレッジ・ロンドン、キングス・カレッジ・ロンドンの英国内の6つの大学から構成され、世界有数の優れた研究資源へのアクセスと緊密な連携を実現し、世界をリードする認知症研究者を集結させることで認知症患者にとってより良い治療選択肢を提供することを目指しています。