2021.01.28
研究開発

オプジーボ®(一般名:ニボルマブ)点滴静注 再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫に対する小児の用法及び用量の追加に係る承認申請

 小野薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:相良暁)は、本日、ヒト型抗ヒト PD-1モノクローナル抗体、オプジーボ®(一般名:ニボルマブ)点滴静注(以下、オプジーボ)について、再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫に対する小児の用法及び用量の追加に係る製造販売承認事項一部変更承認申請を行いましたので、お知らせします。

 今回の承認申請は、国立がん研究センター中央病院で実施された小児期およびAYA(Adolescent and young adult、思春期・若年成人)世代のがん患者のうち、標準的な治療(2種類以上の化学療法後)に抵抗性の難治悪性固形腫瘍とホジキンリンパ腫(悪性リンパ腫)を対象とした医師主導治験(NCCH1606、試験略称:PENGUIN)の結果に基づいています。

 ホジキンリンパ腫はリンパ細網系から生じた細胞の限局性又は播種性の悪性腫瘍であり、 国内での年間発症患者数は約1,720人、小児における年間発症患者数は約70人と推定されています。小児ホジキンリンパ腫では、初回治療として化学療法等が行われます。再発または治療抵抗性が認められた場合には、更に化学療法やブレンツキジマブ ベドチン等による治療が行われます。しかし、小児における再発または難治性のホジキンリンパ腫の予後は悪いことから、新たな治療選択肢が望まれており、今回の承認申請により、オプジーボが新たな治療選択肢の一つになるものと期待しています。

PENGUIN 試験について

 本試験は、小児期およびAYA世代のがん患者のうち、標準的な治療(2種類以上の化学療法後)に抵抗性の難治悪性固形腫瘍とホジキンリンパ腫を対象に、オプジーボの安全性、薬物動態および探索的な有効性の評価を目的として国立がん研究センター中央病院で実施された医師主導治験第Ⅰ相臨床試験です。また、ホジキンリンパ腫は成人の臨床試験でオプジーボの高い有効性が確認され、小児においても同様の有効性が期待できることより、本試験の対象に加えられていました。主要アウトカム評価項目は、用量制限毒性相当の有害事象の発生割合です。副次アウトカム評価項目は、全生存期間、無増悪生存期間、奏効率等でした。

オプジーボについて

 オプジーボは、programmed death-1(PD-1)とPD-1リガンドの経路を阻害することで身体の免疫系を利用して抗腫瘍免疫応答を再活性化するPD-1 免疫チェックポイント阻害薬です。がんを攻撃するために身体の免疫系を利用するオプジーボは、日本で2014年7月に悪性黒色腫で承認を取得以降、複数のがん腫において重要な治療選択肢となっています。現在、日本、韓国、台湾、中国、米国およびEUを含む65カ国以上で承認されています。
 日本では、2014年9月に根治切除不能な悪性黒色腫の治療薬として発売され、その後、2015年12月に切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん、2016年8月に根治切除不能又は転移性の腎細胞がん、2016年12月に再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫、2017年3月に再発又は遠隔転移を有する頭頸部がん、2017年9月にがん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の胃がん、2018年8月にがん化学療法後に増悪した切除不能な進行・再発の悪性胸膜中皮腫、および2020年2月にがん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する結腸・直腸がんおよびがん化学療法後に増悪した根治切除不能な進行・再発の食道がんの承認を取得しました。
 また、食道胃接合部がん、肝細胞がん、膠芽腫、尿路上皮がん、卵巣がん、膀胱がん、膵がん、胆道がん、前立腺がんなどを対象とした臨床試験も実施中です。

小野薬品工業株式会社とブリストル マイヤーズ スクイブの提携について

 2011年、小野薬品は、ブリストル マイヤーズ スクイブと締結した提携契約により、当時、小野薬品がオプジーボに関するすべての権利を保有していた北米以外の地域のうち、日本、韓国、台湾を除く世界各国におけるオプジーボの開発・商業化に関する権利を供与しました。2014年7月、小野薬品とブリストル マイヤーズ スクイブは、この戦略的提携契約をさらに拡張し、日本、韓国、台湾のがん患者さん向けに複数の免疫療法薬を単剤療法および併用療法として共同開発・商業化することを合意しました。