2021.04.19
研究開発

米国食品医薬品局が、PD-L1発現率にかかわらず、進行または転移性胃がん、胃食道接合部がんおよび食道腺がん患者の治療薬として、化学療法との併用療法でオプジーボ®を承認

 本資料は、小野薬品工業と戦略的提携契約を締結しているブリストル マイヤーズ スクイブが2021年4月16日(米国現地時間)に発表した英語原文のプレスリリースを和文抄訳として提供するものです。和文抄訳の内容につきましては、英語原文が優先されます。
 英語原文のプレスリリースは、ブリストル マイヤーズ スクイブのウェブサイト(https://www.bms.com/media/press-releases.html )をご参照ください。


Bristol Myers Squibb

本資料は、ブリストル マイヤーズ スクイブが2021年4月16日に発表しましたプレスリリースの和文抄訳であり、内容につきましては英語原文が優先されます。

米国食品医薬品局が、PD-L1発現率にかかわらず、進行または転移性胃がん、胃食道接合部がんおよび食道腺がん患者の治療薬として、化学療法との併用療法でオプジーボ®を承認

  • オプジーボは、化学療法との併用療法で、この患者集団を対象とした臨床試験において、化学療法と比較して、良好な全生存期間の延長を示した初めてで唯一の免疫療法薬です 1

 (ニュージャージー州プリンストン、2021年4月16日)-ブリストル マイヤーズ スクイブ(NYSE:BMY/本社:米国ニューヨーク/CEO:ジョバンニ・カフォリオ)は、本日、フルオロピリミジン系薬剤およびプラチナ系薬剤を含む化学療法との併用療法で、オプジーボ(一般名:ニボルマブ)(点滴静注)が、PD-L1発現率にかかわらず、進行または転移性胃がん、胃食道接合部がんおよび食道腺がん患者の治療薬として、米国食品医薬品局(FDA)に承認されたことを発表しました 1。本承認は、オプジーボとmFOLFOX6(ロイコボリン、フルオロウラシルおよびオキサリプラチン)またはCapeOX(カペシタビンおよびオキサリプラチン)の併用療法を、化学療法(mFOLFOX6またはCapeOX)と比較評価した第Ⅲ相CheckMate -649試験の結果に基づいています 1,2
 この患者集団での試験において、オプジーボと化学療法の併用療法は、化学療法と比較して、全生存期間(OS)に対して全無作為化患者(HR 0.80;95% CI:0.71 - 0.90;P=0.0002)およびPD-L1 combined positive score (CPS)≥5の患者(HR 0.71;95% CI:0.61 - 0.83;P<0.0001)の両方において、良好な延長を示しました 1。全患者の探索的解析における1年生存率は、オプジーボと化学療法の併用療法群で55%、化学療法群で48%でした 2。また、併用療法群は、化学療法群と比較して、無増悪生存期間(PFS)で病勢進行または死亡のリスクを有意に低減しました(PD-L1 CPS ≥ 5:PFS HR 0.68;95% CI:0.58 - 0.79;P<0.0001) 1
 CheckMate -649試験の治験責任医師であり、メモリアル・スローン・ケタリングがんセンター、消化器がんのチーフであるYelena Y. Janjigian(M.D.)は、次のように述べています 2。「CheckMate -649試験において、オプジーボと化学療法の併用療法は、転移性胃がん、胃食道接合部がんおよび食道腺がん患者さんの生存期間を有意に改善し、死亡リスクを20%低減しました 1。さらに、1年生存率は55%でした。これらは重要な結果であり、オプジーボによる同併用療法が生存期間を延長し得る治療選択肢を一刻も早く必要としているこの患者集団の標準治療となり得ることを裏付けています 1,3,4。」
 オプジーボの「警告および注意」には、次の事象が含まれています:重篤かつ致死的な免疫介在性肺臓炎、免疫介在性大腸炎、免疫介在性肝炎、免疫介在性肝毒性、免疫介在性内分泌障害、免疫介在性腎炎および免疫介在性腎機能障害、免疫介在性皮膚関連副作用、その他の免疫介在性副作用、Infusion reaction、同種造血幹細胞移植(HSCT)の合併症、胎児毒性、および多発性骨髄腫患者におけるサリドマイド類似体とデキサメタゾンの併用療法にオプジーボを追加投与した際(比較対照試験以外では推奨されません)の死亡率の増加 1。詳細は「重要な安全性情報」の項目および以下の「CheckMate -649試験における安全性プロファイルの抜粋」をご参照ください。
 ブリストル マイヤーズ スクイブのがん・免疫疾患・心血管疾患担当の米国責任者兼ゼネラルマネジャーのAdam Lenkowskyは、次のように述べています。「私たちは、革新的な医薬品を患者さんに届けるべく尽力しています。これまで、胃食道領域の転移性腺がんと診断された患者さんにとってほとんど進展がありませんでした 5,6,7,8。CheckMate -649試験で示されたように、オプジーボは、化学療法との併用で、化学療法と比較して、ファーストラインの転移性胃がん、胃食道接合部がんおよび食道腺がんにおいて、良好な全生存期間の延長を示した初めてで唯一の免疫療法薬です 1,3,4。本日の承認は、これらの患者さんに対し、生存期間の延長という希望をもたらす可能性があります 1。」
 今回の申請は、一刻も早く安全かつ有効な治療を患者さんにお届けすることを目的とするFDAのリアルタイムオンコロジーレビュー(RTOR)パイロットプログラムの下で審査されました 9。この審査は、カナダ、オーストラリア、スイスおよびブラジルの保健当局による同時審査が可能であるFDAのProject Orbisイニシアチブの下でも実施されました。

CheckMate -649試験について

 CheckMate -649試験は、未治療の進行または転移性胃がん、胃食道接合部がんおよび食道腺がんの患者を対象とした多施設無作為化非盲検第Ⅲ相臨床試験です 1,2。本試験において、ヒト上皮成長因子受容体2(HER-2)陽性、または未治療の中枢神経系転移を有する患者は除外されました 1。本試験では、患者はオプジーボと化学療法の併用療法群(PD-L1 CPS ≥ 5:473例;全無作為化患者:789例)または化学療法群(PD-L1 CPS ≥ 5:482例;全無作為化患者:792例)に、無作為に割り付けられました 1。患者は、次のいずれかの投与を受けました:オプジーボ240mgとmFOLFOX6(フルオロウラシル、ロイコボリンおよびオキサリプラチン)の併用療法を2週間間隔、またはmFOLFOX6のみを2週間間隔、もしくは、オプジーボ360mgとCapeOX(カペシタビンおよびオキサリプラチン)の併用療法を3週間間隔、またはCapeOXのみを3週間間隔で投与 1。投与は、病勢進行もしくは忍容できない毒性が認められるまで、最長2年間にわたり継続されました 1。主要評価項目は、PD-L1 CPS ≥ 5の患者におけるOSおよび盲検下独立中央評価委員会(BICR)の評価によるPFSでした 1。副次評価項目は、PD-L1 CPS ≥ 1および全無作為化患者におけるOSおよびPFS、ならびにPD-L1 CPS ≥ 1および ≥ 5の患者と全無作為化患者におけるBICRの評価による奏効率(ORR)でした 1,2
胃がん、胃食道接合部がんおよび食道腺がん患者に対して、FDAが承認したオプジーボ(点滴静注)の用法用量は次のとおりです:オプジーボ360 mg(30分間かけて点滴静注)とフルオロピリミジン系薬剤およびプラチナ系薬剤を含む化学療法を3週間間隔で投与、またはオプジーボ240 mg(30分間かけて点滴静注)とフルオロピリミジン系薬剤およびプラチナ系薬剤を含む化学療法を2週間間隔で投与。投与は、病勢進行または忍容できない毒性が認められるまで、最長2年間にわたり継続します 1

CheckMate -649試験における安全性プロファイルの抜粋

 副作用により、患者の44%がオプジーボおよび/または化学療法の投与を中止し、患者の76%が1回以上投与を見送りました 1。重篤な副作用が、オプジーボと化学療法の併用療法群の52%で発現しました 1。オプジーボと化学療法の併用療法群の2%以上で頻繁に報告された重篤な副作用は、嘔吐(3.7%)、肺炎(3.6%)、貧血(3.6%)、発熱(2.8%)、下痢(2.7%)、発熱性好中球減少症(2.6%)、および肺臓炎(2.4%)でした 1。致死的な副作用が、オプジーボと化学療法の併用療法群の16例(2.0%)で発現しました 1。オプジーボと化学療法の併用療法群の20%以上で最も一般的に報告された副作用は、末梢神経障害(53%)、悪心(48%)、疲労(44%)、下痢(39%)嘔吐(31%)、食欲減退(29%)、腹痛(27%)、便秘(25%)および筋骨格痛(20%)でした 1

胃がん、胃食道接合部がんおよび食道腺がんについて

 胃がん、胃食道接合部がんおよび食道腺がんは、上部消化器がんに分類されます 10,11

  • 胃がんは、2021年、米国では約26,560人が罹患し、11,180人が死亡すると推定されています 11,12。胃がんのうち、約90~95%が腺がんです 11。現在、米国における転移性胃がんの5年相対生存率は6%です 13,14
  • 胃食道接合部(GEJ)は、食道下部と胃が接続する領域です 11。GEJの罹患率は増加傾向にあります 6,15。胃食道接合部から発生する腺がんの病態は、食道がんに類似しており、同様の治療が行われます 10
  • 食道がんは、食道の内層(粘膜)で発生し増殖する消化器がんのひとつです 10。米国では、2021年に約19,260人が新たに食道がんと診断され、15,530人が亡くなられると推定されています 16。食道がんの最も一般的な組織型は、扁平上皮がんと腺がんの2つです 16。米国における転移性食道がんの5年相対生存率は5%です 17,18

オプジーボの適応症および安全性情報について

 米国でのオプジーボの適応症および安全性情報については、原文リリースをご参照ください。

ブリストル マイヤーズ スクイブ:がん患者さんのためのより良い未来を目指して

 ブリストル マイヤーズ スクイブは、「サイエンスを通じて、患者さんの人生に違いをもたらす」というビジョンを掲げています。がん研究で私たちが目指すのは、より良い健やかな日々をもたらす医薬品を患者さんにお届けすること、そして、がんの治癒を可能にすることです。私たちはこれまでも、さまざまながん腫において生存期間を改善してきました。その実績を足掛かりに、ブリストル マイヤーズ スクイブの研究者は、患者さん一人ひとりに合わせた個別化医療の新たな地平を拓くとともに、革新的なデジタルプラットフォームによって得たデータをインサイトに変え、研究の着眼点を明らかにしています。卓越した科学的知見、最先端の技術および創薬プラットフォームにより、私たちは、あらゆる角度からがん治療にアプローチします。がんは、患者さんの人生のさまざまな場面に深刻な影響を及ぼします。ブリストル マイヤーズ スクイブは、診断からサバイバーシップまで、がん治療のすべての側面に違いをもたらすべく尽力しています。がん治療のリーダーである私たちは、がんと闘うすべての人々の力となり、より良い未来を築くべく取り組んでいます。

ブリストル マイヤーズ スクイブと小野薬品工業の提携について

 2011年、ブリストル マイヤーズ スクイブは、小野薬品工業と締結した提携契約により、当時、小野薬品工業がすべての権利を保有していた北米以外の地域のうち、日本、韓国、台湾を除く世界各国におけるオプジーボの開発・商業化に関する権利を獲得しました。2014年7月23日、ブリストル マイヤーズ スクイブと小野薬品工業は、この戦略的提携契約をさらに拡張し、日本、韓国、台湾のがん患者さん向けに複数の免疫療法薬を単剤療法および併用療法として共同開発・商業化することを合意しました。

ブリストル マイヤーズ スクイブについて

 ブリストル マイヤーズ スクイブは、深刻な病気を抱える患者さんを助けるための革新的な医薬品を開発し、提供することを使命とするグローバルなバイオファーマ製薬企業です。ブリストル マイヤーズ スクイブに関する詳細については、BMS.comをご覧くださるか、LinkedInTwitterYouTubeFacebookおよびInstagramをご覧ください。
 セルジーン社およびジュノ・セラピューティクス社は、ブリストル マイヤーズ スクイブの100%子会社です。米国以外の幾つかの国では、現地法の規定により、セルジーン社およびジュノ・セラピューティクス社は「Celgene, a Bristol Myers Squibb company」および「Juno Therapeutics, a Bristol Myers Squibb company」と称されています。

将来予測等に関する記述の注意事項

 本プレスリリースは、特に医薬品の研究、開発および商業化について、1995年民間有価証券訴訟改正法の趣旨の範疇に含まれる「将来予測に関する記述」を含んでいます。歴史的事実ではないすべての記述は、将来予測であるか、将来予測であると見なされるものです。そうした将来予測に関する記述は過去の実績ならびに将来の業績、目標、計画および目的に関する現在の予想および予測に基づくものであり、今後数年間で予測が困難あるいは当社の支配下にない遅延、転換または変更を来たす内的または外的要因を含む内在的リスク、仮定および不確実性を伴い、将来の業績、目標、計画および目的が、本文書で記述または示唆されている内容と大きく異なる結果となる可能性があります。これらのリスク、仮定、不確実性およびその他の要因には、特に、オプジーボと化学療法の併用療法が本プレスリリースに記載された追加の適応症で商業的に成功する可能性、および本プレスリリースに記載された追加の適応症でそのような併用療法の承認の継続が検証試験における臨床的有用性の証明および記載を条件とする可能性が含まれます。将来予測に関するいかなる記述も保証されるものではありません。本プレスリリースの将来予測に関する記述は、ブリストル マイヤーズ スクイブの事業と市場に影響を与える多くのリスクおよび不確定要素、特にブリストル マイヤーズ スクイブの2020年12月31日に終了した事業年度通期報告書(Form 10-K)、その後の四半期報告書(Form 10-Q)および当期報告書(Form 8-K)など、当社が証券取引委員会に提出した報告書にリスク要因として記されている不確定要素と共に評価されるべきです。本プレスリリースに記載された将来予測等に関する記述は、本プレスリリースの発表日時点での予測であり、準拠法で特段の定めのない限り、ブリストル マイヤーズ スクイブは、新たな知見、今後の出来事等に因るか否かを問わず、一切の将来予測等に関する記述について、公に更新または修正する義務を負うものではありません。

参考文献

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  9. U.S. Food & Drug Administration. Real-Time Oncology Review Pilot Program. https://www.fda.gov/about-fda/oncology-center-excellence/real-time-oncology-review-pilot-program. Updated October 7, 2020. Accessed March 5, 2021.
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  16. American Cancer Society. Key Statistics for Esophageal Cancer. https://www.cancer.org/cancer/esophagus-cancer/about/key-statistics.html. Updated January 12, 2021. Accessed March 5, 2021.
  17. SEER. Cancer Stat Facts: Esophageal Cancer. https://seer.cancer.gov/statfacts/html/esoph.html. Accessed March 5, 2021.
  18. American Cancer Society. Survival Rates for Esophageal Cancer. https://www.cancer.org/cancer/esophagus-cancer/detection-diagnosis-staging/survival-rates.html. Updated January 29, 2021. Accessed March 5, 2021.