2021.06.03
研究開発

ブリストル マイヤーズ スクイブ、欧州委員会より、切除不能な悪性胸膜中皮腫のファーストライン治療薬として、オプジーボとヤーボイの併用療法の承認を取得

 本資料は、小野薬品工業と戦略的提携契約を締結しているブリストル マイヤーズ スクイブが2021年6月2日(米国現地時間)に発表した英語原文のプレスリリースを和文抄訳として提供するものです。和文抄訳の内容につきましては、英語原文が優先されます。
 英語原文のプレスリリースは、ブリストル マイヤーズ スクイブのウェブサイト(https://www.bms.com/media/press-releases.html )をご参照ください。


Bristol Myers Squibb

本資料は、ブリストル マイヤーズ スクイブが2021年6月2日に発表しましたプレスリリースの和文抄訳であり、内容につきましては英語原文が優先されます。

ブリストル マイヤーズ スクイブ、欧州委員会より、切除不能な悪性胸膜中皮腫のファーストライン治療薬として、オプジーボとヤーボイの併用療法の承認を取得

  • 承認は、オプジーボとヤーボイの併用療法が、標準化学療法と比較して、同患者集団を対象に、有意に全生存期間の延長を示した免疫療法薬の第Ⅲ相CheckMate -743試験での初めての肯定的な試験結果に基づいています。
  • オプジーボとヤーボイの併用療法は、生存期間の改善を示し、悪性胸膜中皮腫患者にとって15年ぶりに承認された新しい治療選択肢です。
  • オプジーボとヤーボイをベースとした併用療法は、欧州連合において、悪性胸膜中皮腫、非小細胞肺がん、悪性黒色腫、腎細胞がんの4つの進行がんの適応で承認されたことになります。

 (ニュージャージー州プリンストン、2021年6月2日)-ブリストル マイヤーズ スクイブ(NYSE:BMY/本社:米国ニューヨーク/CEO:ジョバンニ・カフォリオ)は、本日、欧州委員会(EC)が、切除不能な悪性胸膜中皮腫(MPM)の成人患者のファーストライン治療薬として、オプジーボ(一般名:ニボルマブ)とヤーボイ(一般名:イピリムマブ)の併用療法を承認したことを発表しました。ECの決定は、ファーストラインのMPMを対象とした最初で唯一の免疫療法薬の第Ⅲ相CheckMate -743試験の肯定的な結果に基づいています。本試験では、オプジーボとヤーボイの併用療法が、化学療法(ペメトレキセドとシスプラチンまたはカルボプラチンの併用療法)と比較して、全無作為化患者で良好な全生存期間(OS)の延長を示し、主要評価項目を達成しました。ファーストラインのMPM治療におけるオプジーボとヤーボイの併用療法の安全性プロファイルは、設定された有害事象管理プロトコルによって管理可能であり、他のがん腫における併用療法のこれまでの試験のものと一貫していました。
 オランダがん研究所およびライデン大学、胸部腫瘍科のPaul Baas(M.D.、Ph.D.)は、次のように述べています。「長年、悪性中皮腫の治療における進展は限定的なものでありましたが、CheckMate -743試験では、ニボルマブとイピリムマブの併用療法を受けた患者さんで重要な臨床ベネフィットが示されました。欧州委員会がこの免疫療法薬の2剤併用療法を承認したことで、患者さんと医師は、この困難な疾患の管理において、生存期間の有意な改善を示した新しい治療選択肢を利用できるようになります。」
 ECの決定により、欧州連合(EU)の27加盟国およびアイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェーにおいて、ファーストラインの切除不能なMPMに対するオプジーボとヤーボイの併用療法の使用が認められます。EUに加え、同併用療法は、米国を含む6カ国で承認されており、世界の保健当局によりさらなる申請に対する審査が進められています。
 欧州対肺がん女性連合(Women Against Lung Cancer in Europe)理事のStefania Valloneは、次のように述べています。「悪性胸膜中皮腫は、診断された患者さんとそのご家族に大変な苦痛をもたらします。欧州では、中皮腫の発症率が世界で最も高く、全土に大きな影響が及んでいます。中皮腫は、アスベストの曝露から数十年後に見つかる場合が多く、患者さんは、長年にわたりほとんど治療選択肢がないまま、この悪性度の高いがんに直面してきました。患者さんとそのご家族に延命の希望をもたらす可能性のある新しい治療法が承認され、うれしく思っています。欧州全国で一日も早くご使用いただけることを願っています。」
 ブリストル マイヤーズ スクイブの胸部がん領域開発担当バイスプレジデントであるAbderrahim Oukessou(M.D.)は、次のように述べています。「欧州委員会によるオプジーボとヤーボイの併用療法の承認は、悪性胸膜中皮腫患者さんのアンメットニーズに対処するための重大な一歩です。CheckMate -743試験において、この免疫療法薬の2剤併用療法は、標準治療と比較して臨床的に意義のある生存期間の改善を示し、2年生存率は、オプジーボとヤーボイの併用療法群で41%であったのに対し、化学療法群ではわずか27%でした。当社は、CheckMate -743試験にご参加いただき、免疫療法薬による初めての治療選択肢をEUの悪性胸膜中皮腫患者さんにお届けする上で、欠くことのできないご貢献いただきました患者さんおよび治験担当医師の皆様に感謝の意を表明します。」

CheckMate -743試験の有効性および安全性の結果

 CheckMate -743試験の結果は、以下の通りです。

  • OS(主要評価項目):オプジーボとヤーボイの併用療法は、死亡リスクを26%低減しました[ハザード比(HR)0.74、96.6%信頼区間(CI):0.60 - 0.91;p=0.002]。OSの中央値は、オプジーボとヤーボイの併用療法群で18.1カ月、プラチナ製剤による標準化学療法群で14.1カ月でした。
  • 奏効率(ORR):オプジーボとヤーボイの併用療法群で40%(95% CI:34.1 - 45.4)、化学療法群で43%(95% CI:37.1 - 48.5)であり、同程度でした。
  • 奏効期間(DOR):オプジーボとヤーボイの併用療法群で11.0カ月(95% CI:8.1 - 16.5)、化学療法群6.7カ月(95% CI:5.3 - 7.1)でした。オプジーボとヤーボイの併用療法群の奏効患者のうち、2年時点で奏効が継続していた患者の割合は32%でした(化学療法群の奏効患者では8%)。
  • 無増悪生存期間(PFS):患者が病勢進行または死亡せず生存した期間の中央値は、オプジーボとヤーボイの併用療法群で6.8カ月、化学療法群で7.2カ月でした(HR 1.00、95% CI:0.82 - 1.21)。
  • 安全性:オプジーボとヤーボイの併用療法群の10%以上の患者に発現した副作用は、疲労(43%)、下痢(31%)、発疹(30%)、筋骨格痛(27%)、悪心(24%)、食欲減退(24%)、そう痒症(21%)、便秘(19%)、甲状腺機能低下症(13%)でした。

CheckMate -743試験について

 CheckMate -743試験は、未治療のMPM患者(605例)を対象に、オプジーボとヤーボイの併用療法を、化学療法(ペメトレキセドとシスプラチンまたはカルボプラチンの併用療法)と比較評価した多施設無作為化非盲検第Ⅲ相臨床試験です。間質性肺疾患、活動性自己免疫疾患、全身免疫抑制療法を要する疾患または活動性脳転移を有する患者は、本試験から除外されました。本試験では、患者303例がオプジーボ3 mg/kgを2週間間隔およびヤーボイ1 mg/kgを6週間間隔で投与する群に、患者302例がシスプラチン75 mg/m2またはカルボプラチンAUC 5とペメトレキセド500 mg/m2の併用療法を21日間を1サイクルとして6サイクル投与する群に無作為に割り付けられました。投与は、両群において病勢進行または忍容できない毒性が認められるまで継続されました。オプジーボとヤーボイの併用療法群の投与期間は、最長24カ月間でした。本試験の主要評価項目は、全無作為化患者における全生存期間(OS)でした。その他の有効性評価項目は、Modified RECISTに基づき盲検下独立中央評価委員会(BICR)の評価による無増悪生存期間(PFS)、奏効率(ORR)および奏効期間(DOR)でした。探索的評価項目は、安全性、薬物動態、免疫原性および患者報告アウトカムでした。

悪性胸膜中皮腫について

 悪性胸膜中皮腫(MPM)は、悪性度の高い希少がんであり、肺を覆う膜から発生します。発症の主な原因はアスベストの曝露です。早期発見が難しく、診断された時には、多くの患者ですでに進行または転移が認められます。一般的に予後は不良であり、未治療の進行または転移性MPM患者の生存期間の中央値は12-14カ月で、5年生存率は約10%です。

ブリストル マイヤーズ スクイブ:がん患者さんのためのより良い未来を目指して

 ブリストル マイヤーズ スクイブは、「サイエンスを通じて、患者さんの人生に違いをもたらす」というビジョンを掲げています。がん研究で私たちが目指すのは、より良い健やかな日々をもたらす医薬品を患者さんにお届けすること、そして、がんの治癒を可能にすることです。私たちはこれまでも、さまざまながん腫において生存期間を改善してきました。その実績を足掛かりに、ブリストル マイヤーズ スクイブの研究者は、患者さん一人ひとりに合わせた個別化医療の新たな地平を拓くとともに、革新的なデジタルプラットフォームによって得たデータをインサイトに変え、研究の着眼点を明らかにしています。卓越した科学的知見、最先端の技術および創薬プラットフォームにより、私たちは、あらゆる角度からがん治療にアプローチします。がんは、患者さんの人生のさまざまな場面に深刻な影響を及ぼします。ブリストル マイヤーズ スクイブは、診断からサバイバーシップまで、がん治療のすべての側面に違いをもたらすべく尽力しています。がん治療のリーダーである私たちは、がんと闘うすべての人々の力となり、より良い未来を築くべく取り組んでいます。

オプジーボについて

 オプジーボは、身体の免疫系を利用して抗腫瘍免疫応答を再活性化するPD-1免疫チェックポイント阻害薬です。がんを攻撃するために身体の免疫系を利用するオプジーボは、複数のがん腫において重要な治療選択肢となっています。
 業界をリードするオプジーボのグローバル開発プログラムは、ブリストル マイヤーズ スクイブのがん免疫療法における科学的知見に基づいており、さまざまながん腫を対象に、第Ⅲ相試験を含む全段階において広範な臨床試験が実施されています。今日に至るまで、オプジーボの臨床試験プログラムには、35,000人以上の患者さんが参加しています。オプジーボの臨床試験は、治療におけるバイオマーカーの役割、特に、一連のPD-L1の発現状況においてオプジーボが患者さんにどのようなベネフィットをもたらすかについて理解を深めることに役立っています。
 オプジーボは、2014年7月に承認を取得した世界初のPD-1免疫チェックポイント阻害薬となり、現在、米国、欧州、日本および中国を含む65カ国以上で承認されています。2015年10月、ブリストル マイヤーズ スクイブは、オプジーボとヤーボイの併用療法において転移性悪性黒色腫の適応でがん免疫療法薬の併用療法として初めて承認を取得し、現在、米国と欧州を含む50カ国以上で承認されています。

ヤーボイについて

 ヤーボイは細胞傷害性Tリンパ球抗原-4(CLTA-4)に結合する遺伝子組み換えヒトモノクローナル抗体です。CTLA-4は、T細胞の活性化を抑制する調節因子です。ヤーボイはCTLA-4と結合し、CTLA-4とそのリガンドであるCD80/CD86との相互作用を阻害します。CTLA-4が阻害されると、腫瘍浸潤エフェクターT細胞の活性化と増殖など、T細胞の活性化と増殖が促されることが明らかになっています。また、CTLA-4のシグナル伝達が阻害されると、制御性T細胞の機能が低下し、抗腫瘍免疫応答を含むT細胞の反応性が全体的に向上する可能性があります。2011年3月25日、米国食品医薬品局(FDA)は、切除不能または転移性悪性黒色腫患者の治療薬として、ヤーボイ3 mg/kg単剤療法を承認しました。現在、ヤーボイは切除不能または転移性悪性黒色腫患者の治療薬として50カ国以上で承認されています。ヤーボイに関しては、複数のがん腫で、幅広い開発プログラムが進められています。

オプジーボとヤーボイの適応症および安全性情報について

 米国でのオプジーボとヤーボイの適応症および安全性情報については、原文リリースをご参照ください。

ブリストル マイヤーズ スクイブと小野薬品工業の提携について

 2011年、ブリストル マイヤーズ スクイブは、小野薬品工業と締結した提携契約により、当時、小野薬品工業がすべての権利を保有していた北米以外の地域のうち、日本、韓国、台湾を除く世界各国におけるオプジーボの開発・商業化に関する権利を獲得しました。2014年7月23日、ブリストル マイヤーズ スクイブと小野薬品工業は、この戦略的提携契約をさらに拡張し、日本、韓国、台湾のがん患者さん向けに複数の免疫療法薬を単剤療法および併用療法として共同開発・商業化することを合意しました。

ブリストル マイヤーズ スクイブについて

 ブリストル マイヤーズ スクイブは、深刻な病気を抱える患者さんを助けるための革新的な医薬品を開発し、提供することを使命とするグローバルなバイオファーマ製薬企業です。ブリストル マイヤーズ スクイブに関する詳細については、BMS.com をご覧くださるか、LinkedInTwitterYouTubeFacebook およびInstagram をご覧ください。
 セルジーン社およびジュノ・セラピューティクス社は、ブリストル マイヤーズ スクイブの100%子会社です。米国以外のいくつかの国では、現地法の規定により、セルジーン社およびジュノ・セラピューティクス社は「Celgene, a Bristol Myers Squibb company」および「Juno Therapeutics, a Bristol Myers Squibb company」と称されています。

将来予測等に関する記述の注意事項

 本プレスリリースは、特に医薬品の研究、開発および商業化について、1995年民間有価証券訴訟改正法の趣旨の範疇に含まれる「将来予測に関する記述」を含んでいます。歴史的事実ではないすべての記述は、将来予測であるか、将来予測であると見なされるものです。そうした将来予測に関する記述は過去の実績ならびに将来の業績、目標、計画および目的に関する現在の予想および予測に基づくものであり、今後数年間で予測が困難あるいは当社の支配下にない遅延、転換または変更を来たす内的または外的要因を含む内在的リスク、仮定および不確実性を伴い、将来の業績、目標、計画および目的が、本文書で記述または示唆されている内容と大きく異なる結果となる可能性があります。これらのリスク、仮定、不確実性およびその他の要因には、特に、欧州各国における価格設定および保険償還に関する交渉に起因して、本プレスリリースに記載された追加の適応症でのオプジーボ(一般名:ニボルマブ)とヤーボイ(一般名:イピリムマブ)の併用療法の商業化が遅延または制限される可能性、そのような併用療法の本プレスリリースに記載された追加の適応症の承認の継続が検証試験における臨床的有用性の証明および記載を条件とする可能性、そのような併用療法の本プレスリリースに記載された追加の適応症が商業的に成功するかどうかは不明であるという点が含まれます。将来予測に関するいかなる記述も保証されるものではありません。本プレスリリースの将来予測に関する記述は、ブリストル マイヤーズ スクイブの事業と市場に影響を与える多くのリスクおよび不確定要素、特にブリストル マイヤーズ スクイブの2020年12月31日に終了した事業年度通期報告書(Form 10-K)、その後の四半期報告書(Form 10-Q)および当期報告書(Form 8-K)など、当社が証券取引委員会に提出した報告書にリスク要因として記されている不確定要素と共に評価されるべきです。本プレスリリースに記載された将来予測等に関する記述は、本プレスリリースの発表日時点での予測であり、準拠法で特段の定めのない限り、ブリストル マイヤーズ スクイブは、新たな知見、今後の出来事等に因るか否かを問わず、一切の将来予測等に関する記述について、公に更新または修正する義務を負うものではありません。