2021.09.14
研究開発

オプジーボとヤーボイの併用療法が、化学療法と比較して、第Ⅲ相CheckMate -743試験における切除不能な悪性胸膜中皮腫のファーストライン治療で、3年時点で持続的な全生存期間の改善を示す

 本資料は、小野薬品工業と戦略的提携契約を締結しているブリストル マイヤーズ スクイブが2021年9月13日(米国現地時間)に発表した英語原文のプレスリリースを和文抄訳として提供するものです。和文抄訳の内容につきましては、英語原文が優先されます。
 英語原文のプレスリリースは、ブリストル マイヤーズ スクイブのウェブサイト(https://www.bms.com/media/press-releases.html )をご参照ください。


Bristol Myers Squibb

本資料は、ブリストル マイヤーズ スクイブが2021年9月13日に発表しましたプレスリリースの和文抄訳であり、内容につきましては英語原文が優先されます。

オプジーボとヤーボイの併用療法が、化学療法と比較して、第Ⅲ相CheckMate -743試験における切除不能な悪性胸膜中皮腫のファーストライン治療で、3年時点で持続的な全生存期間の改善を示す

  • CheckMate -743試験は、切除不能な悪性胸膜中皮腫患者を対象とした免疫療法薬によるファーストライン治療で生存期間の改善を示した唯一の第Ⅲ相試験であり、現時点で3年以上にわたり改善が持続しています。
  • データは、2021年欧州臨床腫瘍学会バーチャル総会のプロファード・ペーパー・セッションで発表されます。
  • 悪性胸膜中皮腫は、3年以上の追跡調査でオプジーボとヤーボイの併用療法が持続的で良好な生存ベネフィットを示した4つ目のがん腫です。

 (ニュージャージー州プリンストン、2021年9月13日)-ブリストル マイヤーズ スクイブ(NYSE:BMY/本社:米国ニューヨーク/CEO:ジョバンニ・カフォリオ)は、本日、切除不能な悪性胸膜中皮腫(MPM)患者のファーストライン治療において、組織型にかかわらず、オプジーボ(一般名:ニボルマブ)とヤーボイ(一般名:イピリムマブ)の併用療法が、プラチナ製剤ベースの標準化学療法と比較して、持続的な生存ベネフィットを示したCheckMate -743試験の3年間のデータを発表しました。
 最短3年(35.5カ月)間の追跡調査における結果は以下のとおりでした:

  • 3年生存率は、オプジーボとヤーボイの併用療法群で23%、化学療法群で15%でした。
  • 免疫療法薬の2剤併用療法群は、引き続き死亡リスクを低減し [ハザード比(HR)0.73;95% 信頼区間(CI):0.61 - 0.87)]、化学療法群と比較して、本試験の主要評価項目である全生存期間(OS)の中央値を改善しました(併用療法群18.1カ月 vs 化学療法群14.1カ月)。

 オプジーボとヤーボイの併用療法の安全性プロファイルは、ファーストラインのMPMでこれまでに報告されたものと一貫しており、新たな安全性シグナルは認められませんでした。これらのデータは、2021年欧州臨床腫瘍学会(ESMO)バーチャル総会にて、2021年9月17日、午後1時40分(中央ヨーロッパ夏時間)/午前7時40分(東部夏時間)に発表されます(抄録番号#LBA65)。
 スイス・ローザンヌにあるローザンヌ大学病院の胸部腫瘍科科長およびメディカル・オンコロジー・サービスヘッドのSolange Peters(M.D.、Ph.D.)は、次のように述べています。「悪性胸膜中皮腫患者さんは一般的に予後不良で、5年生存率は約10%です。これまで治療選択肢の限られていたこの悪性度の高いがん腫において、今回、ニボルマブとイピリムマブの併用療法が患者さんの生存期間を延長する可能性だけでなく、化学療法と比較して、このベネフィットが3年時点で持続していたことが示されました。これらの結果は、同併用療法によるアウトカムの持続性をさらに証明しています。」
 3年間の追跡調査およびプロトコルに基づく無治療の約1年後の時点で、オプジーボとヤーボイの併用療法群では、化学療法群と比較して、より多くの患者で奏効が持続していました。また、組織型にかかわらず、免疫療法薬の2剤併用療法群でより長期の奏効期間(DOR)の改善が示されました:

  • 3年時点で、オプジーボとヤーボイの併用療法に奏効した患者の28%で奏効が持続していたのに対し、化学療法群では0%でした。
  • DORの中央値は、免疫療法薬の2剤併用療法群で11.6カ月、化学療法群で6.7カ月でした。
  • 奏効率(ORR)は、併用療法群と化学療法群で同等でした(併用療法群39.6% vs 化学療法群44.0%)。

 ブリストル マイヤーズ スクイブの胸部がん領域、バイスプレジデント兼開発担当であるAbderrahim Oukessou(M.D.)は、次のように述べています。「CheckMate -743試験の結果は、医師による悪性胸膜中皮腫の治療法に変化をもたらしてきました。この疾患には、オプジーボとヤーボイの併用療法が承認されるまで、全身療法の新しい選択肢が15年近くありませんでした。非小細胞肺がんにおける4年時点での持続的な全生存期間の改善など、複数のがん腫にわたり、免疫療法薬の2剤併用療法による持続的な生存ベネフィットのさらなるエビデンスが得られています。今回、同併用療法は、同じく胸部がんである悪性胸膜中皮腫において全生存期間の長期改善を示し、深刻な疾患を有する患者さんの生存期間を延長しました。」
 オプジーボとヤーボイの併用療法は、切除不能なMPMのファーストライン治療薬として、米国、欧州連合、日本、中国を含む世界の14の保健当局から承認を取得しています。現在、世界の保健当局により、さらなる申請の審査が進められています。
 オプジーボとヤーボイを含む併用療法によるOSの有意な改善は、現在までに、悪性胸膜中皮腫、非小細胞肺がん、転移性悪性黒色腫、進行腎細胞がんおよび食道扁平上皮がんの5つのがん腫を対象とした6件の第Ⅲ相試験で示されています。

CheckMate -743試験について

 CheckMate -743試験は、未治療の切除不能な悪性胸膜中皮腫患者(605例)を対象に、オプジーボとヤーボイの併用療法を、化学療法(ペメトレキセドとシスプラチンまたはカルボプラチンの併用療法)と比較評価した多施設無作為化非盲検第Ⅲ相臨床試験です。本試験では、患者303例がオプジーボ3 mg/kgを2週間間隔およびヤーボイ1 mg/kgを6週間間隔で投与する群に、患者302例がシスプラチン75 mg/m2またはカルボプラチンAUC 5とペメトレキセド500 mg/m2の併用療法を21日間を1サイクルとして6サイクル投与する群に無作為に割り付けられました。投与は、両群において病勢進行または忍容できない毒性が認められるまで継続されました。オプジーボとヤーボイの併用療法群の投与期間は、最長24カ月間でした。本試験の主要評価項目は、全無作為化患者における全生存期間(OS)でした。その他の有効性評価項目は、Modified RECISTに基づき盲検下独立中央評価委員会(BICR)の評価による無増悪生存期間(PFS)、奏効率(ORR)および奏効期間(DOR)でした。探索的評価項目は、安全性、薬物動態、免疫原性および患者報告アウトカムでした。

悪性胸膜中皮腫について

 悪性胸膜中皮腫は、悪性度の高い希少がんであり、肺を覆う膜から発生します。発症の主な原因はアスベストの曝露です。早期発見が難しく、診断された時には、多くの患者ですでに進行または転移が認められます。一般的に予後は不良であり、未治療の進行または転移性悪性胸膜中皮腫患者の生存期間の中央値は12-14カ月で、5年生存率は約10%です。

ブリストル マイヤーズ スクイブ:がん患者さんのためのより良い未来を目指して

 ブリストル マイヤーズ スクイブは、「サイエンスを通じて、患者さんの人生に違いをもたらす」というビジョンを掲げています。がん研究で私たちが目指すのは、より良い健やかな日々をもたらす医薬品を患者さんにお届けすること、そして、がんの治癒を可能にすることです。私たちはこれまでも、さまざまながん腫において生存期間を改善してきました。その実績を足掛かりに、ブリストル マイヤーズ スクイブの研究者は、患者さん一人ひとりに合わせた個別化医療の新たな地平を拓くとともに、革新的なデジタルプラットフォームによって得たデータをインサイトに変え、研究の着眼点を明らかにしています。卓越した科学的知見、最先端の技術および創薬プラットフォームにより、私たちは、あらゆる角度からがん治療にアプローチします。がんは、患者さんの人生のさまざまな場面に深刻な影響を及ぼします。ブリストル マイヤーズ スクイブは、診断からサバイバーシップまで、がん治療のすべての側面に違いをもたらすべく尽力しています。がん治療のリーダーである私たちは、がんと闘うすべての人々の力となり、より良い未来を築くべく取り組んでいます。

オプジーボについて

 オプジーボは、身体の免疫系を利用して抗腫瘍免疫応答を再活性化するPD-1免疫チェックポイント阻害薬です。がんを攻撃するために身体の免疫系を利用するオプジーボは、複数のがん腫において重要な治療選択肢となっています。
 業界をリードするオプジーボのグローバル開発プログラムは、ブリストル マイヤーズ スクイブのがん免疫療法における科学的知見に基づいており、さまざまながん腫を対象に、第Ⅲ相試験を含む全段階において広範な臨床試験が実施されています。今日に至るまで、オプジーボの臨床試験プログラムには、35,000人以上の患者さんが参加しています。オプジーボの臨床試験は、治療におけるバイオマーカーの役割、特に、一連のPD-L1の発現状況においてオプジーボが患者さんにどのようなベネフィットをもたらすかについて理解を深めることに役立っています。
 オプジーボは、2014年7月に承認を取得した世界初のPD-1免疫チェックポイント阻害薬となり、現在、米国、欧州、日本および中国を含む65カ国以上で承認されています。2015年10月、ブリストル マイヤーズ スクイブは、オプジーボとヤーボイの併用療法において転移性悪性黒色腫の適応でがん免疫療法薬の併用療法として初めて承認を取得し、現在、米国と欧州を含む50カ国以上で承認されています。

ヤーボイについて

 ヤーボイは細胞傷害性Tリンパ球抗原-4(CLTA-4)に結合する遺伝子組み換えヒトモノクローナル抗体です。CTLA-4は、T細胞の活性化を抑制する調節因子です。ヤーボイはCTLA-4と結合し、CTLA-4とそのリガンドであるCD80/CD86との相互作用を阻害します。CTLA-4が阻害されると、腫瘍浸潤エフェクターT細胞の活性化と増殖など、T細胞の活性化と増殖が促されることが明らかになっています。また、CTLA-4のシグナル伝達が阻害されると、制御性T細胞の機能が低下し、抗腫瘍免疫応答を含むT細胞の反応性が全体的に向上する可能性があります。2011年3月25日、米国食品医薬品局(FDA)は、切除不能または転移性悪性黒色腫患者の治療薬として、ヤーボイ3mg/kg単剤療法を承認しました。現在、ヤーボイは切除不能または転移性悪性黒色腫患者の治療薬として50カ国以上で承認されています。ヤーボイに関しては、複数のがん腫で、幅広い開発プログラムが進められています。

オプジーボおよびヤーボイの適応症および安全性情報について

 米国でのオプジーボおよびヤーボイの適応症および安全性情報については、原文リリースをご参照ください。

ブリストル マイヤーズ スクイブと小野薬品工業の提携について

 2011年、ブリストル マイヤーズ スクイブは、小野薬品工業と締結した提携契約により、当時、小野薬品工業がすべての権利を保有していた北米以外の地域のうち、日本、韓国、台湾を除く世界各国におけるオプジーボの開発・商業化に関する権利を獲得しました。2014年7月23日、ブリストル マイヤーズ スクイブと小野薬品工業は、この戦略的提携契約をさらに拡張し、日本、韓国、台湾のがん患者さん向けに複数の免疫療法薬を単剤療法および併用療法として共同開発・商業化することを合意しました。

ブリストル マイヤーズ スクイブについて

 ブリストル マイヤーズ スクイブは、深刻な病気を抱える患者さんを助けるための革新的な医薬品を開発し、提供することを使命とするグローバルなバイオファーマ製薬企業です。ブリストル マイヤーズ スクイブに関する詳細については、BMS.com をご覧くださるか、LinkedInTwitterYouTubeFacebook およびInstagram をご覧ください。
 セルジーン社およびジュノ・セラピューティクス社は、ブリストル マイヤーズ スクイブの100%子会社です。米国以外のいくつかの国では、現地法の規定により、セルジーン社およびジュノ・セラピューティクス社は「Celgene, a Bristol Myers Squibb company」および「Juno Therapeutics, a Bristol Myers Squibb company」と称されています。

将来予測等に関する記述の注意事項

 本プレスリリースは、特に医薬品の研究、開発および商業化について、1995年民間有価証券訴訟改正法の趣旨の範疇に含まれる「将来予測に関する記述」を含んでいます。歴史的事実ではないすべての記述は、将来予測であるか、将来予測であると見なされるものです。そうした将来予測に関する記述は過去の実績ならびに将来の業績、目標、計画および目的に関する現在の予想および予測に基づくものであり、今後数年間で予測が困難あるいは当社の支配下にない遅延、転換または変更を来たす内的または外的要因を含む内在的リスク、仮定および不確実性を伴い、将来の業績、目標、計画および目的が、本文書で記述または示唆されている内容と大きく異なる結果となる可能性があります。これらのリスク、仮定、不確実性およびその他の要因には、特に、将来の市販後の試験結果が本試験の結果と一致する可能性、オプジーボとヤーボイの併用療法が本プレスリリースに記載された追加の適応症で商業的に成功する可能性、販売承認が得られた場合にその使用が著しく制限される可能性、およびそのような併用療法のそのような追加の適応症の承認の継続が追加の検証試験における臨床的有用性の証明および記載を条件とする可能性が含まれています。将来予測に関するいかなる記述も保証されるものではありません。本プレスリリースの将来予測に関する記述は、ブリストル マイヤーズ スクイブの事業と市場に影響を与える多くのリスクおよび不確定要素、特にブリストル マイヤーズ スクイブの2020年12月31日に終了した事業年度通期報告書(Form 10-K)、その後の四半期報告書(Form 10-Q)および当期報告書(Form 8-K)など、当社が証券取引委員会に提出した報告書にリスク要因として記されている不確定要素と共に評価されるべきです。本プレスリリースに記載された将来予測等に関する記述は、本プレスリリースの発表日時点での予測であり、準拠法で特段の定めのない限り、ブリストル マイヤーズ スクイブは、新たな知見、今後の出来事等に因るか否かを問わず、一切の将来予測等に関する記述について、公に更新または修正する義務を負うものではありません。