オプジーボ®点滴静注、根治切除不能な進行・再発の上皮系皮膚悪性腫瘍に対する効能又は効果の追加に係る国内製造販売承認事項一部変更承認申請
小野薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:相良 暁)は、本日、ヒト型抗ヒトPD-1モノクローナル抗体「オプジーボ®(一般名:ニボルマブ)点滴静注」(以下、オプジーボ)について、根治切除不能な進行・再発の上皮系皮膚悪性腫瘍に対する効能又は効果の追加に係る国内製造販売承認事項一部変更承認申請を行いましたので、お知らせします。
今回の承認申請は、慶應義塾大学病院主導の下、上皮系皮膚悪性腫瘍を対象にオプジーボを評価した医師主導治験(NMSC-PD1試験:KCTR-D014)の第Ⅱ相臨床試験の結果に基づいています。
上皮系皮膚悪性腫瘍は、上皮系腫瘍として系統別分類される皮膚がんの総称であり、有棘細胞がん、基底細胞がん、乳房外パジェット病、皮膚付属器がん(汗腺がん、脂腺がん、毛包がんなど)などが含まれます 1), 2)。
上皮系皮膚悪性腫瘍の患者数は25,000~38,315人と推定されており 3), 4)、90%以上の患者さんは手術療法を中心とした局所治療による根治が期待されます 5), 6)。一方、根治切除不能な進行・再発の上皮系皮膚悪性腫瘍の国内の患者数は年間933人と報告されており 7)、その予後は不良です。国内で根治切除不能な進行・再発の上皮系皮膚悪性腫瘍に対する標準治療は未だ確立されていないため、薬剤の開発が切望されています。
なお、オプジーボは、厚生労働省より、2023年5月23日に根治切除不能な進行・再発の上皮系皮膚悪性腫瘍を効能又は効果とする希少疾病用医薬品の指定を受け、優先審査の対象となっています。
参考文献:
- 日本皮膚悪性腫瘍学会編.皮膚悪性腫瘍取扱い規約 第2版.2010年8月.
- 国立研究開発法人国立がん研究センター希少がんセンター「さまざまな希少がんの解説 皮膚腫瘍」.2014年4月28日(2022年12月13日更新)
https://www.ncc.go.jp/jp/rcc/about/skin_tumor/index.html - 厚生労働省,令和2年患者調査.2023.
- 株式会社JMDC. P-Market患者数分析(2021年8月~2022年7月).
- 公益社団法人日本皮膚科学会/一般社団法人日本皮膚悪性腫瘍学会.科学的根拠に基づく皮膚悪性腫瘍ガイドライン第3版.2022.
- 日本皮膚科学会.皮膚悪性腫瘍ガイドライン第2版.2015.
- Fujisawa Y, et al. J Dermatol Sci. 2018 Dec;92(3):230-6.
NMSC-PD1試験について
本試験は、上皮系皮膚悪性腫瘍を対象に、オプジーボの有効性および安全性を検討することを目的とした医師主導による多施設共同非盲検非対照第Ⅱ相臨床試験です。患者はオプジーボ 480 mgを4週間間隔で投与を受けました。本試験の主要評価項目は、奏効率(中央判定)です。副次評価項目は、奏効率(医師判定)、病勢制御率、全生存期間、無増悪生存期間等です。
オプジーボについて
オプジーボは、programmed death-1(PD-1)とPD-1リガンドの経路を阻害することで身体の免疫系を利用して抗腫瘍免疫応答を再活性化するPD-1免疫チェックポイント阻害薬です。がんを攻撃するために身体の免疫系を利用するオプジーボは、日本で2014年7月に悪性黒色腫で承認を取得以降、複数のがん腫において重要な治療選択肢となっています。現在、日本、韓国、台湾、中国、米国およびEUを含む65カ国以上で承認されています。
日本では、当社が2014年9月に「根治切除不能な悪性黒色腫」の治療薬として発売しました。その後、2015年12月に「切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」、2016年8月に「根治切除不能又は転移性の腎細胞癌」、2016年12月に「再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫」、2017年3 月に「再発又は遠隔転移を有する頭頸部癌」、2017年9月に「がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の胃癌」、2018年8月に「がん化学療法後に増悪した切除不能な進行・再発の悪性胸膜中皮腫」、2020年2月に「がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する結腸・直腸癌」と「がん化学療法後に増悪した根治切除不能な進行・再発の食道癌」、2021年12月に「原発不明癌」、および2022年3月に「尿路上皮癌における術後補助療法」の効能又は効果の追加承認を取得しました。
また、肝細胞がん、卵巣がん、前立腺がん等を対象とした臨床試験も実施中です。
小野薬品工業株式会社とブリストル マイヤーズ スクイブの提携について
2011年、当社は、ブリストル マイヤーズ スクイブ(BMS)と締結した提携契約により、当時、小野薬品がオプジーボに関するすべての権利を保有していた北米以外の地域のうち、日本、韓国、台湾を除く世界各国におけるオプジーボの開発・商業化に関する権利を供与しました。2014年7月、当社とBMSは、この戦略的提携契約をさらに拡張し、日本、韓国、台湾のがん患者さん向けに複数の免疫療法薬を単剤療法および併用療法として共同開発・商業化することを合意しました。