2023.10.24
ライセンス

英国Turbine社とがん領域における治療標的の同定および検証に関する研究提携契約を締結

 小野薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:相良 暁、以下「当社」)は、本日、細胞シミュレーション技術を用いて医薬品の研究開発を支援するコンピューテーショナルバイオロジー企業であるTurbine社(英国、ロンドン、最高経営責任者兼共同設立者:Szabolcs Nagy)と、がん領域における新たな治療標的の同定および検証を目的とした研究提携契約を締結しましたので、お知らせします。

 本契約に基づき、Turbine社は同社のAI駆動型細胞シミュレーション技術であるSimulated Cell™ によりがん領域における新たな治療標的を見い出し、その作用機序の解明および動物モデルでの検証試験を実施します。当社は、Turbine社が同定した治療標的に対する医薬品候補を全世界で独占的に開発・商業化します。また、当社は契約一時金、研究費、Turbine社による標的同定および検証の進捗に応じたマイルストン、ならびに当社による医薬品の開発の進捗および売上高に応じたマイルストンをTurbine社に支払います。

 当社の取締役 専務執行役員 研究本部長である滝野 十一は、次のように述べています。「当社は、従来のアプローチでは見出すことのできない新規治療標的の同定を可能とするTurbine社のAI駆動型細胞シミュレーションプラットフォームを高く評価しています。Turbine社が提供する標的の作用機序やバイオマーカーに関する情報は当社の医薬品開発のスピードを加速させるのに役立ちます。今回の提携により、当社のがん領域の開発パイプラインを拡大し、患者さんの治療ニーズを満たし得る新たな治療選択肢をお届けできるよう取組んでまいります。」

 Turbine社の最高経営責任者兼共同設立者である Szabolcs Nagyは、次のように述べています。「小野薬品は免疫チェックポイント阻害剤であるオプジーボ®(一般名: ニボルマブ)を創製するなど、革新的ながん治療薬を開発してきた歴史を持っています。私たちの最先端の細胞シミュレーション技術によって新規の標的の発見が可能となり、小野薬品のパイプライン拡充に貢献できると考えています。Simulated Cells™ と独自の検証試験を組み合わせることで私たちのコンピュータ予測を実証するとともに、より予測精度の高いヒト細胞シミュレーションモデルの構築を推進する機会が得られたことをうれしく思います。」

Simulated Cell™ 技術について

 Turbine社のSimulated Cell™ 技術は、遺伝子とタンパク質のオミクス情報を基盤としたネットワークに、機械学習を活用して構築された仮想細胞を使ったシミュレーションプラットフォームです。この仮想細胞は、現在利用可能な実験モデルよりも患者の生物学的な特性をより良好に捉えることができ、遺伝学的な実験手法よりも薬物に類似した作用の検証が可能です。実験にて因果関係の仮説を検証し、得られたデータをフィードバックすることでモデルの予測能力はさらに向上します。シミュレーションの情報を活用することで、製薬企業の新薬の成功確率が高まり、また有効性が期待される患者に適切な薬剤を届けることができます。

Turbine社について

 Turbine社は、英国ロンドンに本拠を構え、ハンガリーのブダペストや英国ケンブリッジにオフィスを持つ企業で、2016年にKristof Szalay, PhD、Daniel Veres, MD PhD、Szabolcs NagyおよびIvan Fekete, MDによって設立されました。Turbine社のビジョンは、分子生物学と人工知能(AI)を組み合わせることによってがん治療薬の開発の限界を克服し、がん患者さんにベネフィットをもたらすことです。
 詳細は、www.turbine.ai をご参照いただくか、LinkedInにて Turbine をご覧ください。