⼩野薬品と⽶国 Vertex Pharmaceuticals 社「Povetacicept」の⽇本、韓国での開発・商業化に関する独占ライセンス契約を締結
- 小野薬品とVertex社は日本、韓国での開発・商業化に関する独占ライセンス契約を締結
- PovetaciceptはIgA腎症、原発性膜性腎症を含む複数の重篤なB細胞介在性疾患の治療薬として開発中
- Povetaciceptは遺伝子組換え融合タンパク質であり、BAFFおよびAPRILに対するデュアル拮抗薬
小野薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:滝野十一、以下、「小野薬品」)と、Vertex Pharmaceuticals Incorporated(本社:米国、マサチューセッツ州 ボストン、最高経営責任者: Reshma Kewalramani, M.D.、以下「Vertex社」)は、2025年6月20日、Vertex社が開発中のpovetaciceptについて、日本、韓国で独占的に開発および商業化するライセンス契約を締結しましたので、お知らせします。
Povetaciceptは、遺伝子組換え融合タンパク質であり、IgA腎症治療においてベストインクラスのポテンシャルを有するBAFF(B cell activating factor)およびAPRIL(a proliferation inducing ligand)に対するデュアル拮抗薬です。Povetaciceptは、IgA腎症、原発性膜性腎症を含む複数の重篤なB細胞介在性疾患の治療薬として開発が進められています。
本契約の締結により、小野薬品は、Vertex社に対し、契約一時金を支払うとともに、開発の進捗および売上高に応じたマイルストン、並びに売上高に応じた段階的な料率のロイヤルティを支払います。小野薬品は、これまでの開発ノウハウを基に、日本、韓国におけるpovetaciceptの臨床開発の実施および製造販売承認取得を担います。また、承認取得後は、小野薬品は当該地域でのpovetaciceptの販売を単独で担います。本契約には、IgA腎症および原発性膜性腎症を含み、開発の進捗に応じてその他適応症も追加されます。
小野薬品の代表取締役社長である滝野十一は、次のように述べています。「Vertex社は、重篤な疾患に対する革新的な治療薬の開発において素晴らしい実績を有しております。今回の戦略的提携により、小野薬品の重点領域である免疫領域での開発後期段階のパイプラインを強化することができます。我々は、日本、韓国のIgA腎症およびその他の自己免疫疾患の患者さんに新たな治療選択肢を提供し、その価値最大化に向けて、Vertex社と提携できることを楽しみにしています。」
Vertex社の最高経営責任者であるReshma Kewalramaniは、次のように述べています。「小野薬品は、日本と韓国において確立されたプレゼンスと腎臓病領域における高い専門性を有するリーディング企業であり、日本、韓国の何千人もの患者さんにpovetaciceptを届けることを目指すVertexにとって理想的なパートナーです。我々は、小野薬品と提携できることを非常に嬉しく思うとともに、povetaciceptが IgA腎症、原発性膜性腎症およびその他の重篤なB細胞介在性疾患に対するベストインクラスの治療薬となるよう、同社との緊密な提携を進めていけることを楽しみにしています。」
Povetaciceptについて
Povetaciceptは、遺伝子組換え融合タンパク質であり、BAFF(B cell activating factor)およびAPRIL(a proliferation inducing ligand)に対するデュアル拮抗薬です。BAFFおよびAPRILは、B細胞、T細胞および自然免疫細胞の活性化、分化および生存において機能し、複数の自己免疫疾患の発症に重要な役割を果たしています。Povetaciceptは遺伝子改変TACI(transmembrane activator and CAML interactor)ドメインからなり、非臨床試験において、他のBAFF阻害薬および/またはAPRIL阻害薬の単剤投与と比較して高い結合親和性および優れた効果を示し、IgA腎症および原発性膜性腎症患者を対象とした臨床試験において、ベストインクラスの有効性を示す可能性が示されています。また、povetaciceptは他の自己免疫性腎疾患および自己免疫性血球減少症を含む複数の重篤なB細胞介在性疾患の治療薬としても開発中です。
IgA腎症について
IgA腎症は、重篤で進行性、かつ生命を脅かすB細胞介在性慢性腎臓病であり、原発性(特発性)糸球体腎炎の最も一般的な原因であり、米国、欧州で約30万人が罹患しています。日本では約3.3万人と推定されています。IgA腎症は、免疫グロブリンとガラクトース欠損型糖鎖異常IgA1(Gd-IgA1)からなる免疫複合体が腎糸球体メサンギウムに沈着することで発症し、腎障害と線維化を引き起こします。最大72%のIgA腎症患者は20年以内に末期腎不全に進行します。IgA腎症の根本原因を特異的に標的とする承認された治療法はありません。
原発性膜性腎症について
原発性膜性腎症は、重篤で進行性、かつ生命を脅かすB細胞介在性慢性腎臓病であり、世界中で罹患者がいますが、米国、欧州では約15万人が診断されています。日本では約0.6万人と推定されています。原発性膜性腎症は、腎臓を構成するタンパク質に対する自己抗体などを含む異常な免疫反応が起きることで生じる稀な糸球体疾患です。自己抗体は、特に糸球体で損傷と炎症を引き起こし、老廃物や水分を適切に濾過する腎機能を減弱し、最終的に進行性の腎機能低下を引き起こします。原発性膜性腎症の根本原因を特異的に標的とする承認された治療法はありません。
小野薬品について
小野薬品工業株式会社は、「病気と苦痛に対する人間の闘いのために」という企業理念のもと、革新的な医薬品を提供することで世界中の患者さんに貢献し続けることを目指しています。がん、免疫、神経などを重点領域と定め、アカデミアやバイオベンチャーと積極的な創薬提携を行うことでアンメットメディカルニーズに応える画期的な医薬品の創製に挑戦しています。グループ会社であるDeciphera Pharmaceuticalsを通じて、米国および欧州での臨床開発と販売活動を加速させ、多くの患者さんに当社グループ製品をお届けできるようグローバル事業展開を推進していきます。詳細については https://www.ono-pharma.com/ja をご覧ください。
Vertex社について
Vertex社は、重篤な疾患に対する革新的な医薬品を創出するための科学的イノベーションに投資するグローバルバイオテクノロジー企業です。Vertex社は、嚢胞性線維症、鎌状赤血球症、輸血依存性ベータサラセミア、急性痛に対する複数の承認薬剤を有しており、これら疾患に対する臨床開発や研究プログラムを推進し続けています。また、Vertex社は、ヒト生物学的な原因について深い洞察が得られている他の重篤な疾患(神経障害性疼痛、APOL1介在性腎疾患、IgA腎症、原発性膜性腎症、常染色体優性多発性嚢胞腎、1型糖尿病、筋強直性ジストロフィー1型など)において幅広いモダリティを対象とした強固な開発パイプラインを有しています。
Vertex社は1989年に設立され、ボストンにグローバル本社を、ロンドンに国際本部を有しています。さらに、北米、欧州、オーストラリア、中南米および中東に研究開発拠点および営業拠点を有しています。Vertex社は、サイエンス誌の「Top Employers list」に15年連続でランクインし、フォーチュン誌の「100 Best Companies to Work For」にも選出されるなど、業界トップクラスの働きがいのある企業として高い評価を得ています。Vertex社に関する最新情報やVertex社のイノベーションの歴史を更に知りたい方は、www.vrtx.com をご覧いただくか、LinkedIn、Facebook、Instagram、YouTubeおよびXをフォローしてください。