2026.03.26
研究開発

小野薬品、進行性の消化管間質腫瘍(GIST)に対する治療薬「ripretinib(DCC-2618)」の国内での承認申請

  • がん化学療法後に増悪した消化管間質腫瘍に対する国内製造販売承認申請
  • 海外臨床試験で主要評価項目の「無増悪生存期間」をプラセボと比較して有意に延長
  • 既に欧米など海外で承認され、日本でもドラッグロス解消に関する政府検討会議で医療上の必要性が高い医薬品と判断

 小野薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:滝野 十一、以下「当社」)は、本日、Deciphera Pharmaceuticals, Inc.(以下「Deciphera社」)が創製した「ripretinib(DCC-2618)」(以下「ripretinib」)について、「がん化学療法後に増悪した消化管間質腫瘍」に対する効能または効果に係る国内製造販売承認申請を行いましたので、お知らせします。

 今回の承認申請は、イマチニブを含む3種類以上のキナーゼ阻害剤による治療歴のある進行性の消化管間質腫瘍(以下「GIST」)患者を対象にripretinibの有効性をプラセボと比較した海外第Ⅲ相試験(DCC-2618-03-001[INVICTUS]試験、以下「INVICTUS試験」)の結果に基づいています。Ripretinib群はプラセボ群と比較して主要評価項目の無増悪生存期間(以下「PFS」)を有意に延長しました。

 当社の開発本部長である岡本達也は「GISTは世界的に希少疾患とされ、Deciphera社が創製したripretinibは、既に欧米など海外の40を超える国と地域で承認されています。Ripretinibの国内承認申請は、日本のGIST患者さんにとって大きな前進となります。今後も、患者さんの治療ニーズ、社会の期待に応えるべく、革新的な医薬品の開発と提供に努めてまいります」と述べています。

 Deciphera社の社長である宇田川良太は「このたびの承認申請により、日本の進行性GIST患者さんへの新たな治療選択肢の提供にまた一歩近づきました。今回の申請が、日本でGIST治療におけるドラッグロス解消の一助になることを期待しています。GISTは希少ながんのため、疾患情報や現状の治療選択肢は限られており、患者さんの不安もより大きいものと推察します。Ripretinib を進行性のGISTで苦しむ日本の患者さんに1日でも早くお届けできるよう、引き続きグループ会社一体となって取り組みます」と述べています。

INVICTUS試験について

 欧米を含む海外12カ国で実施されたプラセボを対照とした海外第Ⅲ相二重盲検無作為化比較試験であり、イマチニブを含む3種類以上のキナーゼ阻害剤による治療歴を有する進行性のGIST患者129例を対象として、ripretinibの有効性および安全性を評価しました。この試験では、患者をripretinib 150mgまたはプラセボを1日1回投与する群に2:1の比率で無作為に割り付けました。Ripretinibはプラセボと比較して主要評価項目の盲検独立中央判定によるPFSを有意に延長しました(ripretinib群のPFS中央値6.3カ月、プラセボ群のPFS中央値1.0カ月、PFSのハザード比0.15、p<0.0001)1)

消化管間質腫瘍(GIST)について

 GISTは消化管の筋層から発生し、粘膜を下から押し上げるように腫瘤を生じる間葉系腫瘍です。発症率は年間で人口10万人あたり1~2例と稀で、日本の罹患者数は2016~2018年の3年間で計4,475例(約1,492例/年、粗罹患率:10万人当たり1.18例)とされています2)。多くのGIST患者の発症には、KIT(KIT proto-oncogene receptor tyrosine kinase)やPDGFRα(Platelet-derived growth factor receptor α)の変異が関与していることが分かっています。
 切除不能、転移、再発のGISTに対しては、日本ではイマチニブ、スニチニブ、レゴラフェニブおよびピミテスピブの4剤が承認されており、日本のGIST診療ガイドラインでは、それぞれ一次治療、二次治療、三次治療および四次治療として推奨されています3)

Ripretinibについて

 Ripretinibは、Deciphera社が創製した、経口投与可能なチロシンキナーゼ阻害薬です。Ripretinibは、GISTに関与するKITのエクソン9、11、13、14、17および18における一次および二次変異を阻害します。さらに、ripretinibは一部のGISTに認められるエクソン18 D842V変異を含むPDGFRαのエクソン12、14および18における一次変異も阻害します。イマチニブを含む3種類以上のキナーゼ阻害剤による治療後の進行性のGISTに対するripretinibの有用性はINVICTUS試験において示されています。Ripretinibは2020年に米国においてQINLOCK®の製品名で上市され、2026年3月現在、欧米を含む40以上の国または地域で進行性のGISTに対する治療薬として承認されています。
 日本では、ripretinibは2026年3月19日に厚生労働省より「がん化学療法後に増悪した消化管間質腫瘍」の効能または効果で希少疾病用医薬品に指定されています。
 また、ripretinibは、日本におけるドラッグロス解消に向けた国による取り組みに基づいた「第67回医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で、医療上の必要性が高い医薬品と判断されています。

Deciphera社について

 当社のグループ会社であるDeciphera社は、がん、神経および自己免疫疾患の患者さんの生活に希望をもたらすことができる新薬の創薬、開発、商業化に注力しています。Deciphera社独自のスイッチコントロールキナーゼ阻害剤プラットフォームとキナーゼ生物学の専門知識を活用して、革新的な医薬品開発のための幅広いポートフォリオを保有しています。Deciphera社は臨床試験段階にあるポートフォリオにおいて複数の製品候補の開発を進めており、その中でQINLOCK®(ripretinib)は、イマチニブを含む3種類以上のキナーゼ阻害剤による治療歴のある進行性の消化管間質腫瘍(GIST)の成人患者の治療薬として、米国や欧州連合を含む多数の国々で承認されています。
 ROMVIMZA®(vimseltinib)は、米国では、外科的切除により機能制限の悪化または重篤な病状が生じる可能性がある腱滑膜巨細胞腫(TGCT)の成人患者に対する治療薬として承認されています。また、欧州連合では、臨床的に重要な身体機能の低下を伴い、外科的治療による効果が期待できない、または外科的治療により耐え難い病状や障害が生じる可能性のあるTGCTの成人患者の治療薬として承認されています。
 詳細については、www.deciphera.com をご覧いただくか、LinkedIn および X(@Deciphera)でフォローしてください。

参考文献:

  1. Blay JY, Serrano C, Heinrich MC, et al. Ripretinib in patients with advanced gastrointestinal stromal tumours (INVICTUS): a double-blind, randomised, placebo-controlled, phase 3 trial. Lancet Oncol. 2020;21:923-34.
  2. 公益財団法人がん研究振興財団. がんの統計2025 -CANCER STATISTICS IN JAPAN-2025. Available from: https://ganjoho.jp/public/qa_links/report/statistics/2025_jp.html
  3. 日本癌治療学会編. GIST診療ガイドライン2022年4月改訂第4版. 金原出版株式会社. Available from: http://www.jsco-cpg.jp/gist/