ONO-1110(内因性カンナビノイド制御剤)、5つの第2相臨床試験で結果が出揃う
- 帯状疱疹後神経痛、線維筋痛症およびハンナ型間質性膀胱炎を対象とした各第2相臨床試験で、疼痛スコア改善を示唆する有効性シグナルを確認。次の臨床試験を計画中
- うつ病および社交不安症の試験では有効性シグナルは認められず、今後の開発は行わない予定
- 安全性については、5試験すべてで良好な安全性プロファイルを確認
小野薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長COO:滝野 十一、以下「当社」)は、本日、内因性カンナビノイド制御作用を有するONO-1110について、帯状疱疹後神経痛(PHN)、線維筋痛症(FM)、ハンナ型間質性膀胱炎(HIC)、うつ病(MDD)および社交不安症(SAD)を対象に実施した各第2相臨床試験のうち、PHN、FMおよびHICを対象とした各試験で、ONO-1110の有効性シグナルを確認したことをお知らせします。
PHN、FMおよびHICをそれぞれ対象としたONO-1110-04試験、ONO-1110-05試験およびONO-1110-06試験において主要評価項目を達成しなかったものの、事前に規定した層別解析および探索的な事後解析において疼痛スコア(NRS)の改善を示唆するONO-1110の有効性シグナルが認められました。また、5試験すべてにおいてONO-1110の良好な安全性プロファイルが示されました。
PHN、FMおよびHICについては、今回の試験結果に基づき、次の臨床試験を計画しています。MDDおよびSADについては有効性シグナルが認められず、今後の開発は行わない予定です。
なお、各試験の詳細な結果に関しては、今後、学会などで発表する予定です。
ONO-1110について
ONO-1110は、当社が創製した経口投与可能な内因性カンナビノイド制御剤です。内因性カンナビノイドは生体内で産生される物質であり、疼痛や情動など中枢神経系における様々な生理機能の調節に重要な役割を果たすことが知られています1)。
ONO-1110は、疼痛伝達などの神経活動に応じて産生される内因性カンナビノイドを制御することで痛みをコントロールし1)-4)、また、体内にもともと備わっている機構を制御することから、副作用を回避しつつ鎮痛作用を発揮できる、新たな慢性疼痛治療薬となることが期待されています。
ONO-1110-04試験について
ONO-1110-04試験は、日本で実施されたPHNを対象とした多施設共同プラセボ対照無作為化第2相臨床試験です(目標患者数:140名)。本試験の目的は、プラセボを対照にONO-1110の有効性、安全性、忍容性および薬物動態を評価することです。本試験では、ONO-1110あるいはプラセボを1日1回8週間経口投与しました。
ONO-1110-05試験について
ONO-1110-05試験は、日本で実施されたFMを対象とした多施設共同プラセボ対照無作為化第2相臨床試験です(目標患者数:160名)。本試験の目的は、プラセボを対照にONO-1110の有効性、安全性、忍容性および薬物動態を評価することです。本試験では、ONO-1110あるいはプラセボを1日1回8週間経口投与しました。
ONO-1110-06試験について
ONO-1110-06試験は、日本で実施されたHICを対象とした多施設共同プラセボ対照無作為化第2相臨床試験です(目標患者数:50名)。本試験の目的は、プラセボを対照にONO-1110の有効性、安全性、忍容性および薬物動態を評価することです。本試験では、ONO-1110あるいはプラセボを1日1回12週間経口投与しました。
帯状疱疹後神経痛(PHN)について
PHNは帯状疱疹の合併症の一つであり、水痘・帯状疱疹ウイルスによる神経障害を原因とする神経障害性疼痛です。PHNは、持続的な痛みや突発的に電気が走るような鋭い痛みを特徴とし、しばしばアロディニア(通常では痛みを感じない刺激でも痛みを感じてしまう状態)も伴います5)。これらの症状は患者さんに大きな苦痛をもたらし、生活の質の低下に繋がることが知られています6)。現在の治療は症状の緩和を目的とした薬物療法が中心ですが、副作用の影響により十分な治療を受けることができない場合があり、安全性と有効性を兼ね備えた新たな治療薬の開発が望まれています7)。
線維筋痛症(FM)について
FMは身体の広範な部位に生じる原因不明の慢性疼痛と全身性のこわばりを主徴候とし、随伴症状として多彩な身体、神経・精神症状を伴う疾患です8)。全身の慢性的な強い痛みや疲労感により睡眠や日常生活動作が大きく損なわれ、生活の質の低下に繋がることが知られています9)。現在の治療薬では十分な症状緩和が得られず、中枢性の副作用が発現する課題があることから、新しい作用機序を持つ治療薬が望まれています10)。
ハンナ型間質性膀胱炎(HIC)について
「間質性膀胱炎・膀胱痛症候群」は、「膀胱に関連する慢性の骨盤部の疼痛、圧迫感または不快感があり、尿意亢進や頻尿などの下部尿路症状を伴い、混同しうる疾患がない状態」とされ、そのうちハンナ病変のあるものがHICとされます11)。原因は不明で、頻尿や膀胱痛による苦痛から生活の質の低下を招きます。現時点において、有効性ならびに安全性の高い経口治療薬は存在していないため、新たな治療薬が望まれています。
参考文献:
- Palazzo E, et al. Pharmaceuticals (Basel). 2010;3:2661-73.
- Petrosino S, et al. Neuropharmacology. 2007;52:415-22.
- Olango WM, et al. Br J Pharmacol. 2012;165:2549-60.
- Hashimotodani Y, et al. J Neurosci. 2011;31:3104-9.
- 日本ペインクリニック学会治療指針検討委員会.ペインクリニック治療指針改訂第6版.真興交易(株)医書出版部,2019.
- Johnson RW, et al. N Engl J Med. 2014;371:1526-33.
- Clarivate Plc: https://clarivate.com/life-sciences-healthcare/report/algopn0002-2024-biopharma-postherpetic-neuralgia-treatment-algorithms-claims-data-analysis-us-2024/
- 慢性疼痛診療ガイドライン作成ワーキンググループ.慢性疼痛診療ガイドライン.真興交易(株)医書出版部,2021.
- 線維筋痛症診療ガイドライン作成グループ.線維筋痛症診療ガイドライン.日本医事新報社,2017.
- Clarivate Plc: https://clarivate.com/life-sciences-healthcare/report/unnecg0027-2024-biopharma-fibromyalgia-unmet-need-unmet-need-fibromyalgia-us-eu/
- 日本間質性膀胱炎研究会/日本泌尿器科学会編集.間質性膀胱炎・膀胱痛症候群診療ガイドライン.リッチヒルメディカル,2019.