デジタル・IT

デジタル・ITによる企業変革の取り組み

経済産業省の認定制度に基づいて「DX認定事業者」に認定

当社は、事業環境が大きく変化するなかで、デジタル・ITを活用することによって、ダイナミック・ケイパビリティの高い企業を目指しています。そのためには、社内外のデータ活用環境と独自の視点によるデータ分析能力、最新テクノロジーに支えられた柔軟なIT基盤が必要となります。IT基盤の整備によって、社内外のデータを活用し、ビジネス上の課題や新しい機会を適時的確に検知・判断し、ビジネス変革の構想に反映・実装しています。これらは全社横断的に行われ、グローバルスペシャリティファーマを目指すすべての価値創造の基盤となるものです。
こういった考えのもと、昨年8月に構築したデータ活用基盤「OASIS」をはじめ、セキュリティなどの各種IT基盤の整備・増強を推進した結果、2023年1月1日に経済産業省が定めるDX認定制度に基づき、「DX認定事業者」に認定されました。今後も、企業変革につながる活動を幅広く展開していきます。

DX推進戦略

「人」の活力を高め生産性と創造性を向上

当社は、DXを技術ではなく、「人の体験」を中心に捉えています。企業理念を実現し当社らしい挑戦を加速させるためには、患者さんとご家族だけでなく、医療従事者、社員、そして多様なパートナーに価値を届けることが重要です。DXにおいても「人」の活力を高め、企業の生産性と創造性を向上することを目的としています。
これまでに磨き上げてきた効率的な運用のバリューチェーン型の組織を維持したまま、価値を届ける相手、つまり人間を軸にした横展開のDX推進に取り組みます。DXはデジタルによってビジネス変革を実現するものであり、当社が対象とするのは、既存事業から新規事業まで、さらに業務効率化から新しいビジネスモデルまで、非常に幅広いものになる予定です。
また、DX戦略遂行にあたっては意思決定の速さが一つの重要な要素になります。そこで当社では、従来のDX投資にかかる予算とは別に、速く小さく試すための予算確保に苦慮しないよう、あらかじめDX関連で用途を制限しない予算(チャレンジ予算)を確保し、主に調査や技術の試用などに活用しています。

IT基盤の整備

全体最適の実現を重視した活用

IT基盤はビジネスを効率的に行い、デジタルトランスフォーメーションにおいては整合性のとれた最新データを供給する役割を担っています。必要性に応じた個別最適ではなく、全体最適を実現できるIT基盤整備が重要と考え、世の中で広く使われているシステム・サービスを極力カスタマイズせず活用しています。
これによってシステム・サービスの柔軟性が保たれ、常に最適で最新のシステム・サービスを取り込むことを可能とするとともに、他社との協業への対応もしやすく、ビジネス変革につながります。

DX人財の育成

人財育成プログラムを策定し3つのレイヤーで研修を開催

DX人財の育成はDX活動の根幹を担います。当社は外部の力を借りて単発で大きく変革するのではなく、日常的に変革し続ける企業を目指しています。そのためには、経営陣から現場の最前線まで、一人ひとりが必要に応じて変革を指向し、遂行できるようにならなければなりません。
そこで、DX推進プロセスや実行のために必要なDX人財を明確化したうえで、外部活用するべき人財と社内で育成するべき人財を検討し、社内における人財育成プログラムを策定しました。DXを企画・牽引する人財、プロジェクトに参加して活躍できる人財、DXの教養を有する社員という3つのレイヤーで研修を実施したところ、すべてのレイヤーで定員が即座に満員になり、想定していた枠を拡大して追加募集をするなど、社員から好評を博しています。

データ活用の状況

強固なデータガバナンス体制を確立

4年前から始まったリアルワールドデータ(RWD)の活用は、社内全体に広がっています。簡単な解析は各本部がツールを用いて実施し、詳細な解析は統計解析の専門家がプログラミングで行うことで、速度と品質を両立し、今やRWDは研究開発から営業まで日常的に活用しています。一例を挙げると、厚生労働省によって2019年4月に導入された費用対効果評価制度において、RWDなどを用いて評価された結果、慢性心不全治療薬「コララン」は費用対効果に優れていると判断されました。また、膵がんのデータベース研究について社外発表を行っており、その他の多数の研究についても今後、発表を目指す方針です。
統合データ利活用基盤として構築した「OASIS」は2022年8月から稼働しており、各部門が保有しているデータならびに商用RWD、オープンデータを横断的に一つのプラットフォーム上で分析できます。OASISによってデータを一元的に管理することができるようになり、これまで以上に強固なデータガバナンス体制が実現しました。また、OASISは改正個人情報保護法で定義されている仮名加工情報に対応できるプラットフォームであり、個人情報を保護しつつ高度なAI分析が行え、新しいエビデンス創出に貢献しています。

デジタル活用の行動指針

私たちは、企業理念を実現するための指針として「行動原則」や「コード・オブ・コンダクト」を定めています。
デジタルの活用においては、デジタルの特性を踏まえてこれらの指針を再解釈し、次に掲げる意識のもと、変革を進めてまいります。

ビジョン実現への挑戦
医薬品ビジネスに携わるものとしての矜持を持ち、デジタルを駆使してONO Teamの力を結集し、困難な局面も切り拓いてビジョン実現への挑戦を加速させます。

すべての「人」の体験価値向上
患者さんとそのご家族・医療従事者・ONO Team、当社に関わるすべての「人」を中心とし、体験価値向上によるウェルビーイングの実現を目指します。

継続的な変革
デジタルの活用によりダイナミック・ケイパビリティを高め、学び、試すことを楽しみながら、全社的・日常的な変革を起こし続けます。

オープンな交流
社内・社外での多様な交流を促し、会社の枠を超えた変革のためのエコシステムを築きます。