2021.06.04
研究開発

ブリストル マイヤーズ スクイブ、切除不能な進行または転移性食道扁平上皮がんにおいて、オプジーボと化学療法の併用療法およびオプジーボとヤーボイの併用療法が、化学療法と比較して、有意に全生存期間を改善したCheckMate -648試験のデータを発表

 本資料は、小野薬品工業と戦略的提携契約を締結しているブリストル マイヤーズ スクイブが2021年6月3日(米国現地時間)に発表した英語原文のプレスリリースを和文抄訳として提供するものです。和文抄訳の内容につきましては、英語原文が優先されます。
 英語原文のプレスリリースは、ブリストル マイヤーズ スクイブのウェブサイト(https://www.bms.com/media/press-releases.html )をご参照ください。


Bristol Myers Squibb

本資料は、ブリストル マイヤーズ スクイブが2021年6月3日に発表しましたプレスリリースの和文抄訳であり、内容につきましては英語原文が優先されます。

ブリストル マイヤーズ スクイブ、切除不能な進行または転移性食道扁平上皮がんにおいて、オプジーボと化学療法の併用療法およびオプジーボとヤーボイの併用療法が、化学療法と比較して、有意に全生存期間を改善したCheckMate -648試験のデータを発表

  • オプジーボは、その両併用療法群で、化学療法群と比較して、PD-L1陽性患者および全無作為化患者集団の両方において、有意な全生存期間のベネフィットを示しました。
  • CheckMate -648試験は、オプジーボが上部消化器がん患者において有意なベネフィットを示した3つ目のグローバル試験です。
  • データは、2021年米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会にて口頭発表されます。

 (ニュージャージー州プリンストン、2021年6月3日)-ブリストル マイヤーズ スクイブ(NYSE:BMY/本社:米国ニューヨーク/CEO:ジョバンニ・カフォリオ)は、本日、オプジーボ(一般名:ニボルマブ)による2種類の併用療法(オプジーボと化学療法の併用療法およびオプジーボとヤーボイ(一般名:イピリムマブ)の併用療法)が、化学療法と比較して、PD-L1発現率が1%以上の切除不能な進行または転移性食道扁平上皮がん(ESCC)患者および全無作為化患者集団であらかじめ計画された中間解析において、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある全生存期間(OS)のベネフィットを示した第Ⅲ相CheckMate -648試験の結果を発表しました。オプジーボとヤーボイの併用療法は、この設定において、化学療法と比較して良好な生存ベネフィットを示した初めての免疫療法薬の2剤併用療法です。データは、2021年米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会にて、2021年6月5日(土)、午後1時45分~4時45分(米国東部夏時間)、口頭セッションで発表されるほか、公式プレスプログラムで取り上げられます。
 オプジーボと化学療法の併用療法に関して、主要評価項目であるPD-L1陽性患者でのOSの中央値は、同併用療法群で15.4カ月、化学療法群では9.1カ月でした [ハザード比(HR)0.54、99.5%信頼区間(CI):0.37 - 0.80、p<0.0001]。副次評価項目である全無作為化患者集団でのOSの中央値は、同併用療法群で13.2カ月、化学療法群で10.7カ月でした(HR 0.74、99.1% CI:0.58 - 0.96、p=0.0021)。PD-L1陽性患者では、同併用療法群で統計学的に有意な無増悪生存期間(PFS)のベネフィットも認められ、盲検下独立中央評価委員会(BICR)の評価によるPFSの中央値は、同併用療法群で6.9カ月、化学療法群で4.4カ月でした(HR 0.65、98.5% CI:0.46 - 0.92、p=0.0023)。
 オプジーボとヤーボイの併用療法に関して、主要評価項目であるPD-L1陽性患者でのOSの中央値は、同併用療法群で13.7カ月、化学療法群で9.1カ月でした(HR 0.64、98.6% CI:0.46 - 0.90、p=0.001)。副次評価項目である全無作為化患者集団でのOSの中央値は、同併用療法群で12.8カ月、化学療法群で10.7カ月でした(HR 0.78、98.2% CI:0.62 - 0.98、p=0.011)。オプジーボとヤーボイの併用療法は、もう一つの主要評価項目であるPD-L1陽性患者でのBICRの評価によるPFSを達成しませんでした(同併用療法群4.0カ月 vs 化学療法群4.4カ月;HR 1.02、98.5% CI:0.73 - 1.43、p=0.8958)。
 オプジーボと化学療法の併用療法およびオプジーボとヤーボイの併用療法の安全性プロファイルは、他のがん腫でこれまでに報告されたものと一貫していました。グレード3~4の薬剤に関連する有害事象が、オプジーボと化学療法の併用療法群の47%、オプジーボとヤーボイの併用療法群の32%、化学療法群の36%で発現しました。PD-L1発現率が1%以上の患者における安全性プロファイルは、全無作為化患者におけるデータと一貫していました。
 ロイヤル・マーズデンNHS財団トラストの腫瘍内科コンサルタントであるIan Chau(M.D.)は、次のように述べています。「化学療法による治療の場合、進行食道扁平上皮がん患者さんの生存期間の中央値は10カ月ほどであり、現在の標準治療を上回る治療選択肢が必要とされているのは明らかです。ASCOで発表されたデータでは、ニボルマブによる2種類の併用療法が、両方とも化学療法と比較して生存期間で有意な改善を示し、新たな治療選択肢となる可能性が示されました。」
 PD-L1陽性患者でのBICRの評価による奏効期間(DOR)の中央値は、オプジーボと化学療法の併用療法群で8.4カ月、オプジーボとヤーボイの併用療法群で11.8カ月、化学療法群で5.7カ月であり、全無作為化患者集団では、オプジーボと化学療法の併用療法群で8.2カ月、オプジーボとヤーボイの併用療法群で11.1カ月、化学療法群で7.1カ月でした。 オプジーボと化学療法の併用療法は、奏効率(ORR)でも臨床的に意義のある改善を示しました。PD-L1陽性患者でのBICRの評価によるORRは、オプジーボと化学療法の併用療法群で53%、オプジーボとヤーボイの併用療法群で35%、化学療法群で20%であり、全無作為化患者集団では、オプジーボと化学療法の併用療法群で47%、オプジーボとヤーボイの併用療法群で28%、化学療法群で27%でした。
 CheckMate -648試験は、進行ESCCにおいて、免疫療法薬と化学療法の併用療法および免疫療法薬2剤による併用療法の両方を評価した初めてのグローバル第Ⅲ相試験です。 ブリストル マイヤーズ スクイブの消化器がん領域開発責任者であるIan M. Waxman(M.D.)は、次のように述べています。「これらのデータにより、後期ラインの転移性から早期ステージがんに至るまで、上部消化器がんにおけるオプジーボの臨床的ベネフィットを裏付けるエビデンスがさらに強化されました。オプジーボは、腫瘍の組織型および部位にかかわらず、複数の上部消化器がんのファーストライン治療において良好な有効性を示したことになります。」

CheckMate -648試験について

 CheckMate -648試験は、切除不能な進行または転移性食道扁平上皮がん患者を対象に、オプジーボとヤーボイの併用療法およびオプジーボとフルオロウラシルおよびシスプラチンの併用療法をフルオロウラシルとシスプラチンの併用療法と比較評価した無作為化第Ⅲ相臨床試験です。
 本試験の主要評価項目は、オプジーボによる2つの併用療法を化学療法と比較したPD-L1発現率が1%以上の患者における全生存期間(OS)および盲検下独立中央評価委員会(BICR)の評価による無増悪生存期間(PFS)です。副次評価項目は、全無作為化患者集団におけるOSおよびBICRの評価によるPFSです。
 オプジーボと化学療法の併用療法群(321例)には、4週間を1サイクルとして、オプジーボ240mgを第1日目と第15日目に、フルオロウラシル800 mg/m²/dayを第1日目から第5日目まで(5日間)、シスプラチン80 mg/m²を第1日目に投与しました。オプジーボの投与は、病勢進行または忍容できない毒性が認められるまで、最長24カ月間にわたり継続されました。化学療法の投与は、病勢進行または忍容できない毒性が認められるまで継続されました。
 オプジーボとヤーボイの併用療法群(325例)には、オプジーボ3 mg/kgを2週間間隔およびヤーボイ1 mg/kgを6週間間隔で、病勢進行または忍容できない毒性が認められるまで、最長24カ月間にわたり投与しました。

食道がんについて

 食道がんは世界で8番目に多く、がんによる死因で6番目に多いがんであり、2020年には約604,000人が新たに診断され、544,000人以上が亡くなられています。食道がんの最も一般的な組織型は扁平上皮がん(ESCC)と腺がんの2つで、ESCCは食道がんの約90%、腺がんは10%を占めています。しかしながら、食道がんの組織型は地域によって異なります。ESCCの患者はアジアに集中しており、2020年には世界の患者の約80%がアジアで発生しました。多くの場合、食道がんは進行期に診断され、飲食などの患者の日常生活に影響を与えます。ESCCが食道の上部から中部で最も多く発生するのに対し、腺がんは、食道の粘液分泌腺の細胞から始まり、食道の下部で最も多く認められます。

ブリストル マイヤーズ スクイブ:がん患者さんのためのより良い未来を目指して

 ブリストル マイヤーズ スクイブは、「サイエンスを通じて、患者さんの人生に違いをもたらす」というビジョンを掲げています。がん研究で私たちが目指すのは、より良い健やかな日々をもたらす医薬品を患者さんにお届けすること、そして、がんの治癒を可能にすることです。私たちはこれまでも、さまざまながん腫において生存期間を改善してきました。その実績を足掛かりに、ブリストル マイヤーズ スクイブの研究者は、患者さん一人ひとりに合わせた個別化医療の新たな地平を拓くとともに、革新的なデジタルプラットフォームによって得たデータをインサイトに変え、研究の着眼点を明らかにしています。卓越した科学的知見、最先端の技術および創薬プラットフォームにより、私たちは、あらゆる角度からがん治療にアプローチします。がんは、患者さんの人生のさまざまな場面に深刻な影響を及ぼします。ブリストル マイヤーズ スクイブは、診断からサバイバーシップまで、がん治療のすべての側面に違いをもたらすべく尽力しています。がん治療のリーダーである私たちは、がんと闘うすべての人々の力となり、より良い未来を築くべく取り組んでいます。

オプジーボについて

 オプジーボは、身体の免疫系を利用して抗腫瘍免疫応答を再活性化するPD-1免疫チェックポイント阻害薬です。がんを攻撃するために身体の免疫系を利用するオプジーボは、複数のがん腫において重要な治療選択肢となっています。
 業界をリードするオプジーボのグローバル開発プログラムは、ブリストル マイヤーズ スクイブのがん免疫療法における科学的知見に基づいており、さまざまながん腫を対象に、第Ⅲ相試験を含む全段階において広範な臨床試験が実施されています。今日に至るまで、オプジーボの臨床試験プログラムには、35,000人以上の患者さんが参加しています。オプジーボの臨床試験は、治療におけるバイオマーカーの役割、特に、一連のPD-L1の発現状況においてオプジーボが患者さんにどのようなベネフィットをもたらすかについて理解を深めることに役立っています。
 オプジーボは、2014年7月に承認を取得した世界初のPD-1免疫チェックポイント阻害薬となり、現在、米国、欧州、日本および中国を含む65カ国以上で承認されています。2015年10月、ブリストル マイヤーズ スクイブは、オプジーボとヤーボイの併用療法において転移性悪性黒色腫の適応でがん免疫療法薬の併用療法として初めて承認を取得し、現在、米国と欧州を含む50カ国以上で承認されています。

ヤーボイについて

 ヤーボイは、細胞傷害性Tリンパ球抗原-4(CTLA-4)に結合する遺伝子組み換えヒトモノクローナル抗体です。CTLA-4は、T細胞の活性化を抑制する調節因子です。ヤーボイは、CTLA-4と結合し、CTLA-4とそのリガンドであるCD80/CD86との相互作用を阻害します。CTLA-4が阻害されると、腫瘍浸潤エフェクターT細胞などの、T細胞の活性化と増殖が促されることが明らかになっています。また、CTLA-4のシグナル伝達が阻害されると、制御性T細胞の機能が低下し、抗腫瘍免疫応答を含むT細胞の反応性が全体的に向上する可能性があります。2011年3月25日、米国食品医薬品局(FDA)は切除不能または転移性悪性黒色腫を適応としてヤーボイ3mg/kg単剤療法を承認しました。現在、ヤーボイは切除不能または転移性悪性黒色腫の治療薬として、50カ国以上で承認されています。ヤーボイに関しては、複数のがん腫で、幅広い開発プログラムが進められています。

オプジーボとヤーボイの適応症および安全性情報について

 米国でのオプジーボとヤーボイの適応症および安全性情報については、原文リリースをご参照ください。

ブリストル マイヤーズ スクイブと小野薬品工業の提携について

 2011年、ブリストル マイヤーズ スクイブは、小野薬品工業と締結した提携契約により、当時、小野薬品工業がすべての権利を保有していた北米以外の地域のうち、日本、韓国、台湾を除く世界各国におけるオプジーボの開発・商業化に関する権利を獲得しました。2014年7月23日、ブリストル マイヤーズ スクイブと小野薬品工業は、この戦略的提携契約をさらに拡張し、日本、韓国、台湾のがん患者さん向けに複数の免疫療法薬を単剤療法および併用療法として共同開発・商業化することを合意しました。

ブリストル マイヤーズ スクイブについて

 ブリストル マイヤーズ スクイブは、深刻な病気を抱える患者さんを助けるための革新的な医薬品を開発し、提供することを使命とするグローバルなバイオファーマ製薬企業です。ブリストル マイヤーズ スクイブに関する詳細については、BMS.com をご覧くださるか、LinkedInTwitterYouTubeFacebook およびInstagram をご覧ください。
 セルジーン社およびジュノ・セラピューティクス社は、ブリストル マイヤーズ スクイブの100%子会社です。米国以外のいくつかの国では、現地法の規定により、セルジーン社およびジュノ・セラピューティクス社は「Celgene, a Bristol Myers Squibb company」および「Juno Therapeutics, a Bristol Myers Squibb company」と称されています。

将来予測等に関する記述の注意事項

 本プレスリリースは、特に医薬品の研究、開発および商業化について、1995年民間有価証券訴訟改正法の趣旨の範疇に含まれる「将来予測に関する記述」を含んでいます。歴史的事実ではないすべての記述は、将来予測であるか、将来予測であると見なされるものです。そうした将来予測に関する記述は過去の実績ならびに将来の業績、目標、計画および目的に関する現在の予想および予測に基づくものであり、今後数年間で予測が困難あるいは当社の支配下にない遅延、転換または変更を来たす内的または外的要因を含む内在的リスク、仮定および不確実性を伴い、将来の業績、目標、計画および目的が、本文書で記述または示唆されている内容と大きく異なる結果となる可能性があります。これらのリスク、仮定、不確実性およびその他の要因には、特に、将来の試験結果がこれまでの試験結果と一致する可能性、オプジーボと化学療法の併用療法またはオプジーボとヤーボイの併用療法が本プレスリリースに記載された追加の適応症の承認を現在想定している時期に受けられないまたは全く受けられない可能性、また承認された場合でも、オプジーボと化学療法の併用療法またはオプジーボとヤーボイの併用療法が本プレスリリースに記載された追加の適応症で商業的に成功するかどうかは不明であるという点が含まれています。将来予測に関するいかなる記述も保証されるものではありません。本プレスリリースの将来予測に関する記述は、ブリストル マイヤーズ スクイブの事業と市場に影響を与える多くのリスクおよび不確定要素、特にブリストル マイヤーズ スクイブの2020年12月31日に終了した事業年度通期報告書(Form 10-K)、その後の四半期報告書(Form 10-Q)および当期報告書(Form 8-K)など、当社が証券取引委員会に提出した報告書にリスク要因として記されている不確定要素と共に評価されるべきです。本プレスリリースに記載された将来予測等に関する記述は、本プレスリリースの発表日時点での予測であり、準拠法で特段の定めのない限り、ブリストル マイヤーズ スクイブは、新たな知見、今後の出来事等に因るか否かを問わず、一切の将来予測等に関する記述について、公に更新または修正する義務を負うものではありません。