2021.03.23
研究開発

関節機能改善剤「ジョイクル®関節注30mg」の「変形性関節症(膝関節、股関節)」の効能又は効果に係る国内製造販売承認取得に関するお知らせ

 小野薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区、以下「小野薬品」)及び生化学工業株式会社(本社:東京都千代田区、以下「生化学工業」)は、本日、生化学工業が関節機能改善剤「ジョイクル®関節注30mg」(一般名:ジクロフェナクエタルヒアルロン酸ナトリウム、開発コード:ONO-5704/SI-613、以下「ジョイクル」)について、「変形性関節症(膝関節、股関節)」の効能又は効果で国内製造販売承認を厚生労働省より取得しましたので、お知らせします。

 今回の承認は、国内で実施した3つの第Ⅲ相臨床試験(*1)の結果に基づくものです。変形性膝関節症患者を対象とした検証的試験において、ONO-5704/SI-613群は、主要評価項目である初回投与後12週間(4週間ごとに3回投与)の膝の痛みの評価指標(WOMACスコア、100mm VASスケール)でプラセボ(偽薬)群と比較して統計学的に有意な改善効果を示しました。また、安全性については、臨床上、顕在化した問題は認められませんでした。

 ジョイクルは、生化学工業独自の薬剤結合技術を用いてヒアルロン酸にジクロフェナク(抗炎症薬)を化学結合した薬剤であり、加水分解によりジクロフェナクを遊離します。関節腔内への4週間に1回の投与により、変形性関節症(膝関節、股関節)の症状を改善することが期待されます。また、注射剤として関節腔内に直接投与するため、ジクロフェナクの全身曝露量が少なく、全身性の副作用のリスクが低いと考えています。なお、関節機能改善剤において、変形性股関節症の適応を持つ国内初の医薬品となります。

 小野薬品及び生化学工業は、変形性関節症(膝関節、股関節)における新たな治療の選択肢を提供することで、患者さんの生活の質の向上に貢献することを目指してまいります。

 ジョイクルは、生化学工業が製造販売を行い、小野薬品が販売を担います。発売時期については、薬価基準収載後にお知らせいたします。なお、本件による小野薬品及び生化学工業の2021年3月期連結業績予想の変更はありません。

(*1)①変形性膝関節症を対象とした検証的試験
   ②変形性関節症(4部位:肩関節、肘関節、股関節、足関節)を対象とした臨床試験
   ③変形性関節症(5部位:膝関節、肩関節、肘関節、股関節、足関節)を対象とした安全性評価を主目的とする長期投与試験

ジョイクルの概要

製品名 ジョイクル🄬関節注30mg
一般名 ジクロフェナクエタルヒアルロン酸ナトリウム
効能又は効果 変形性関節症(膝関節、股関節)
用法及び用量 通常、成人1回1シリンジ(ジクロフェナクエタルヒアルロン酸ナトリウムとして1回30mg)を4週間ごとに関節腔内に投与する。
製造販売元 生化学工業株式会社
販売元 小野薬品工業株式会社
製造販売承認日 2021年3月23日

変形性関節症について

 変形性膝関節症は加齢などの要因により、また変形性股関節症は先天的な要因などにより、関節の軟骨が傷つき炎症を起こすことで痛みが生じる疾患であり、いずれも罹患すると生活の質の低下につながります。国内での有症状患者数は、変形性膝関節症が約780万人と推計されており、特に女性に多く、70歳台女性の約70%が罹患していると言われています(*2)。また、変形性股関節症については、X線診断上の有病率は1.0~4.3%と報告されており、男性は0~2.0%、女性は2.0~7.5%の有病率となっています(*3)

(*2)Yoshimura N et al. J Bone Miner Metab 2009;27:620-8.
(*3)変形性股関節症診療ガイドライン2016. 改訂第2版. 東京: 株式会社南江堂; 2016: 10-13.