2021.06.30
研究開発

ブリストル マイヤーズ スクイブ、欧州委員会より化学療法後のミスマッチ修復機構欠損または高頻度マイクロサテライト不安定性の進行大腸がんの治療薬として、オプジーボとヤーボイの併用療法の承認を取得

 本資料は、小野薬品工業と戦略的提携契約を締結しているブリストル マイヤーズ スクイブが2021年6月29日(米国現地時間)に発表した英語原文のプレスリリースを和文抄訳として提供するものです。和文抄訳の内容につきましては、英語原文が優先されます。
 英語原文のプレスリリースは、ブリストル マイヤーズ スクイブのウェブサイト(https://www.bms.com/media/press-releases.html )をご参照ください。


Bristol Myers Squibb

本資料は、ブリストル マイヤーズ スクイブが2021年6月29日に発表しましたプレスリリースの和文抄訳であり、内容につきましては英語原文が優先されます。

ブリストル マイヤーズ スクイブ、欧州委員会より化学療法後のミスマッチ修復機構欠損または高頻度マイクロサテライト不安定性の進行大腸がんの治療薬として、オプジーボとヤーボイの併用療法の承認を取得

  • この承認は、3分の2近くの患者がオプジーボとヤーボイの併用療法に奏効し、持続的な奏効を示した第Ⅱ相CheckMate -142試験の結果に基づいています。
  • オプジーボとヤーボイの併用療法は、欧州連合において、大腸がんで承認された最初の免疫療法薬の2剤併用療法になります。
  • オプジーボとヤーボイをベースとした併用療法は、欧州連合において5つの異なる種類の進行がん(悪性胸膜中皮腫、非小細胞肺がん、悪性黒色腫、腎細胞がんおよび大腸がん)の適応で承認されたことになります。

 (ニュージャージー州プリンストン、2021年6月29日)-ブリストル マイヤーズ スクイブ(NYSE:BMY/本社:米国ニューヨーク/CEO:ジョバンニ・カフォリオ)は、欧州委員会(EC)が、フルオロピリミジンを含む併用化学療法後のミスマッチ修復機構欠損(dMMR)または高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)の進行大腸がん(mCRC)の成人患者の治療薬として、オプジーボ(一般名:ニボルマブ)とヤーボイ(一般名:イピリムマブ)の併用療法を承認したことを発表しました。ECの決定は、オプジーボとヤーボイの併用療法が、フルオロピリミジン、オキサリプラチンおよびイリノテカンによる治療を受けたMSI-HまたはdMMRのmCRC患者で臨床的に意義のある奏効率(ORR)の改善を示した第Ⅱ相CheckMate -142試験のデータに基づいています。オプジーボとヤーボイの併用療法の安全性プロファイルは、他のがん腫における併用療法でこれまでに報告されている試験のものと一貫していました。
 ブリストル マイヤーズ スクイブの消化器がん領域、開発責任者であるIan M. Waxman(M.D.)は、次のように述べています。「進行大腸がんは、予後不良な悪性度の高いがんで、標準的な化学療法を上回るさらなる治療選択肢が患者さんには必要とされています。この承認により、EUにおいてミスマッチ修復欠損症または高頻度マイクロサテライト不安定性の進行大腸がん患者さんは、最初の免疫療法薬の2剤併用療法を受けることができるようになります。この合理的な併用療法を推進するために、ステークホルダーの皆様と協力してまいります。」
 オプジーボとヤーボイの併用療法は、EUで最初に承認された消化器がんに対する免疫療法薬の2剤併用療法による治療選択肢になります。この併用療法は、非小細胞肺がんおよび腎細胞がんについてもEUで承認されています。 この販売承認により、すべてのEU加盟国、ノルウェー、アイスランドおよびリヒテンシュタインで、オプジーボとヤーボイの併用療法が認められることになります。
 オプジーボとヤーボイの併用療法は、2018年7月、フルオロピリミジン、オキサリプラチンおよびイリノテカンによる治療後に病勢進行したMSI-HまたはdMMRのmCRCの成人および小児(12歳以上)患者の治療薬として、米国食品医薬品局(FDA)により承認 されました。オプジーボとヤーボイの併用療法は、日本においても、2020年9月、がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発のMSI-Hを有する結腸・直腸がんの治療薬として、厚生労働省(MHLW)により承認されました。

CheckMate -142試験の有効性および安全性の結果

 最短46.9カ月の追跡調査でのCheckMate -142試験の結果は次のとおりです。

  • ORR:本試験では、オプジーボとヤーボイの併用療法群の奏効率は64.7%(95%信頼区間:55.4 -73.2)であり、完全奏効率は12.6%でした。
  • DOR:オプジーボとヤーボイの併用療法群では奏効期間の中央値は未達でした(1.4、58.0カ月以上)。
  • 安全性:オプジーボとヤーボイの併用療法群で10%以上に認められた副作用は、倦怠感(58%)、下痢(41%)、筋骨格痛(39%)、発疹(38%)、そう痒症(35%)、悪心(30%)、咳嗽(29%)、発熱(29%)、腹痛(22%)、関節痛(22%)、食欲減退(22%)、上気道感染症(21%)、嘔吐(21%)、頭痛(19%)、呼吸困難(19%)、甲状腺機能低下症(18%)、便秘(18%)、浮腫(末梢浮腫を含む)(16%)、浮動性めまい(14%)、甲状腺機能亢進症 (12%)、皮膚乾燥(11%)、高血圧(10%)でした。 副作用の大半は、軽度から中等症(グレード1または2)でした。

CheckMate -142試験について

 CheckMate -142試験には、フルオロピリミジン、オキサリプラチンおよびイリノテカンによる治療中または治療後に病勢進行したミスマッチ修復機構欠損(dMMR)または高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)の進行大腸がん(mCRC)患者を対象に、オプジーボとヤーボイの併用療法を評価した多施設共同非無作為化非盲検コホートが含まれました。
 同併用療法コホートの患者には、オプジーボ3 mg/kgとヤーボイ1 mg/kgを3週間間隔で計4回投与し、その後オプジーボ3 mg/kgを単剤療法として2週間間隔で投与しました。投与は、病勢進行、死亡または忍容できない毒性が認められるまで継続されました。有効性の評価項目には、固形がんの治療効果判定のためのガイドライン(RECIST 1.1)の基準に基づく盲検下独立中央評価委員会の評価による奏効率(ORR)および奏効期間(DOR)が含まれました。

dMMRまたはMSI-Hの大腸がんについて

 大腸がん(CRC)は、身体の消化器系の一部である結腸または直腸に発生するがんです。CRCは世界で3番目に多いがん腫であり、2020年には、約1,931,000人が新たに診断され、男女を合わせたがんによる死亡原因の第2位になると推定されています。
 ミスマッチ修復機構欠損(dMMR)は、DNA複製時のミスマッチエラーを修復するプロテインが欠損または機能していない場合に生じ、高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)の腫瘍が発生する原因となります。進行CRC患者の約5%において、dMMRまたはMSI-Hの腫瘍が認められます。これらのバイオマーカーを有する進行CRC患者は、従来の化学療法でベネフィットを得られない場合が多く、一般的に予後不良です。

ブリストル マイヤーズ スクイブ:がん患者さんのためのより良い未来を目指して

 ブリストル マイヤーズ スクイブは、「サイエンスを通じて、患者さんの人生に違いをもたらす」というビジョンを掲げています。がん研究で私たちが目指すのは、より良い健やかな日々をもたらす医薬品を患者さんにお届けすること、そして、がんの治癒を可能にすることです。私たちはこれまでも、さまざまながん腫において生存期間を改善してきました。その実績を足掛かりに、ブリストル マイヤーズ スクイブの研究者は、患者さん一人ひとりに合わせた個別化医療の新たな地平を拓くとともに、革新的なデジタルプラットフォームによって得たデータをインサイトに変え、研究の着眼点を明らかにしています。卓越した科学的知見、最先端の技術および創薬プラットフォームにより、私たちは、あらゆる角度からがん治療にアプローチします。がんは、患者さんの人生のさまざまな場面に深刻な影響を及ぼします。ブリストル マイヤーズ スクイブは、診断からサバイバーシップまで、がん治療のすべての側面に違いをもたらすべく尽力しています。がん治療のリーダーである私たちは、がんと闘うすべての人々の力となり、より良い未来を築くべく取り組んでいます。

オプジーボについて

 オプジーボは、身体の免疫系を利用して抗腫瘍免疫応答を再活性化するPD-1免疫チェックポイント阻害薬です。がんを攻撃するために身体の免疫系を利用するオプジーボは、複数のがん腫において重要な治療選択肢となっています。
 業界をリードするオプジーボのグローバル開発プログラムは、ブリストル マイヤーズ スクイブのがん免疫療法における科学的知見に基づいており、さまざまながん腫を対象に、第Ⅲ相試験を含む全段階において広範な臨床試験が実施されています。今日に至るまで、オプジーボの臨床試験プログラムには、35,000人以上の患者さんが参加しています。オプジーボの臨床試験は、治療におけるバイオマーカーの役割、特に、一連のPD-L1の発現状況においてオプジーボが患者さんにどのようなベネフィットをもたらすかについて理解を深めることに役立っています。
 オプジーボは、2014年7月に承認を取得した世界初のPD-1免疫チェックポイント阻害薬となり、現在、米国、欧州、日本および中国を含む65カ国以上で承認されています。2015年10月、ブリストル マイヤーズ スクイブは、オプジーボとヤーボイの併用療法において転移性悪性黒色腫の適応でがん免疫療法薬の併用療法として初めて承認を取得し、現在、米国と欧州を含む50カ国以上で承認されています。

ヤーボイについて

 ヤーボイは細胞傷害性Tリンパ球抗原-4(CLTA-4)に結合する遺伝子組み換えヒトモノクローナル抗体です。CTLA-4は、T細胞の活性化を抑制する調節因子です。ヤーボイはCTLA-4と結合し、CTLA-4とそのリガンドであるCD80/CD86との相互作用を阻害します。CTLA-4が阻害されると、腫瘍浸潤エフェクターT細胞の活性化と増殖など、T細胞の活性化と増殖が促されることが明らかになっています。また、CTLA-4のシグナル伝達が阻害されると、制御性T細胞の機能が低下し、抗腫瘍免疫応答を含むT細胞の反応性が全体的に向上する可能性があります。2011年3月25日、米国食品医薬品局(FDA)は、切除不能または転移性悪性黒色腫患者の治療薬として、ヤーボイ3mg/kg単剤療法を承認しました。現在、ヤーボイは切除不能または転移性悪性黒色腫患者の治療薬として50カ国以上で承認されています。ヤーボイに関しては、複数のがん腫で、幅広い開発プログラムが進められています。

オプジーボとヤーボイの適応症および安全性情報について

 米国でのオプジーボとヤーボイの適応症および安全性情報については、原文リリースをご参照ください。

ブリストル マイヤーズ スクイブと小野薬品工業の提携について

 2011年、ブリストル マイヤーズ スクイブは、小野薬品工業と締結した提携契約により、当時、小野薬品工業がすべての権利を保有していた北米以外の地域のうち、日本、韓国、台湾を除く世界各国におけるオプジーボの開発・商業化に関する権利を獲得しました。2014年7月23日、ブリストル マイヤーズ スクイブと小野薬品工業は、この戦略的提携契約をさらに拡張し、日本、韓国、台湾のがん患者さん向けに複数の免疫療法薬を単剤療法および併用療法として共同開発・商業化することを合意しました。

ブリストル マイヤーズ スクイブについて

 ブリストル マイヤーズ スクイブは、深刻な病気を抱える患者さんを助けるための革新的な医薬品を開発し、提供することを使命とするグローバルなバイオファーマ製薬企業です。ブリストル マイヤーズ スクイブに関する詳細については、BMS.com をご覧くださるか、LinkedInTwitterYouTubeFacebook およびInstagram をご覧ください。
 セルジーン社およびジュノ・セラピューティクス社は、ブリストル マイヤーズ スクイブの100%子会社です。米国以外のいくつかの国では、現地法の規定により、セルジーン社およびジュノ・セラピューティクス社は「Celgene, a Bristol Myers Squibb company」および「Juno Therapeutics, a Bristol Myers Squibb company」と称されています。

将来予測等に関する記述の注意事項

 本プレスリリースは、特に医薬品の研究、開発および商業化について、1995年民間有価証券訴訟改正法の趣旨の範疇に含まれる「将来予測に関する記述」を含んでいます。歴史的事実ではないすべての記述は、将来予測であるか、将来予測であると見なされるものです。そうした将来予測に関する記述は過去の実績ならびに将来の業績、目標、計画および目的に関する現在の予想および予測に基づくものであり、今後数年間で予測が困難あるいは当社の支配下にない遅延、転換または変更を来たす内的または外的要因を含む内在的リスク、仮定および不確実性を伴い、将来の業績、目標、計画および目的が、本文書で記述または示唆されている内容と大きく異なる結果となる可能性があります。これらのリスク、仮定、不確実性およびその他の要因には、特に、CHMPの見解がECに対する強制力を有しないという点、オプジーボとヤーボイの併用療法が本プレスリリースに記載された追加の適応症の承認を現在想定している時期に受けられないまたは全く受けられない可能性、また承認された場合でも、そのような併用療法が本プレスリリースに記載された追加の適応症で商業的に成功するかどうかは不明であるという点が含まれています。将来予測に関するいかなる記述も保証されるものではありません。本プレスリリースの将来予測に関する記述は、ブリストル マイヤーズ スクイブの事業と市場に影響を与える多くのリスクおよび不確定要素、特にブリストル マイヤーズ スクイブの2020年12月31日に終了した事業年度通期報告書(Form 10-K)、その後の四半期報告書(Form 10-Q)および当期報告書(Form 8-K)など、当社が証券取引委員会に提出した報告書にリスク要因として記されている不確定要素と共に評価されるべきです。本プレスリリースに記載された将来予測等に関する記述は、本プレスリリースの発表日時点での予測であり、準拠法で特段の定めのない限り、ブリストル マイヤーズ スクイブは、新たな知見、今後の出来事等に因るか否かを問わず、一切の将来予測等に関する記述について、公に更新または修正する義務を負うものではありません。