2022.12.23
研究開発

オプジーボ®と化学療法の併用による術後補助療法で胃がんまたは食道胃接合部がんを対象とした第Ⅲ相臨床試験の結果を発表

 小野薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:相良 暁)は、本日、ヒト型抗ヒトPD-1モノクローナル抗体、オプジーボ®(一般名:ニボルマブ)点滴静注(以下、オプジーボ)について、治癒切除後の病理的分類Ⅲ期(pStage Ⅲ)の胃がんまたは食道胃接合部がん患者を対象としたオプジーボと化学療法の併用による術後補助療法をプラセボと化学療法の併用による術後補助療法と評価した第Ⅲ相臨床試験であるATTRACTION-5試験(ONO-4538-38)の最終解析において、主要評価項目である独立画像判定委員会(IRRC)の評価による無再発生存期間(RFS)の有意な延長が示されなかったことをお知らせします。

ATTRACTION-5試験(ONO-4538-38)について

 ATTRACTION-5試験は、日本、韓国、台湾および中国で治癒切除後のpStage Ⅲの胃がんまたは食道胃接合部がん患者を対象にオプジーボと化学療法(テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム:S-1単独投与を最長1年間、もしくはオキサリプラチンとカペシタビンの併用療法:CapeOXを最長6カ月間)の併用による術後補助療法を、プラセボと化学療法(S-1単独投与もしくはCapeOX)の併用による術後補助療法と比較評価した多施設共同無作為化二重盲検第Ⅲ相臨床試験です。本試験では、オプジーボ 360 mgまたはプラセボを3週間間隔で最長1年間、化学療法と併用投与しました。主要評価項目は、IRRCの評価によるRFSです。副次評価項目は、実施医療機関の医師判定に基づくRFSおよび全生存期間(OS)です。

胃がんについて

 胃がんは、日本では年間約13.8万人 1)(世界全体で約108.9万人 2))が新たに診断されています。胃がんによる死亡者数は、日本では年間約4.6万人1) (全世界で約76.9万人 2))と推定されており、日本ではいずれも肺がんに次いで2番目に多いがん腫です。pStage Ⅲの胃がん患者さんにおいては、術後の再発率が特に高く、本疾患の患者さんに新しい治療選択肢が必要とされています 3 ) , 4 )

オプジーボについて

 オプジーボは、programmed death-1(PD-1)とPD-1リガンドの経路を阻害することで身体の免疫系を利用して抗腫瘍免疫応答を再活性化するPD-1 免疫チェックポイント阻害薬です。がんを攻撃するために身体の免疫系を利用するオプジーボは、日本で2014年7月に悪性黒色腫で承認を取得以降、複数のがん腫において重要な治療選択肢となっています。現在、日本、韓国、台湾、中国、米国およびEUを含む65カ国以上で承認されています。
 日本では、当社が2014年9月に「根治切除不能な悪性黒色腫」の治療薬として発売しました。その後、2015年12月に「切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」、2016年8月に「根治切除不能又は転移性の腎細胞癌」、2016年12月に「再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫」、2017年3月に「再発又は遠隔転移を有する頭頸部癌」、2017年9月に「がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の胃癌」、2018年8月に「がん化学療法後に増悪した切除不能な進行・再発の悪性胸膜中皮腫」、2020年2月に「がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する結腸・直腸癌」と「がん化学療法後に増悪した根治切除不能な進行・再発の食道癌」、2021年12月に「原発不明癌」、および2022年3月に「尿路上皮癌における術後補助療法」の効能又は効果の追加承認を取得しました。
 また、肝細胞がん、卵巣がん、膀胱がん、前立腺がん等を対象とした臨床試験も実施中です。

小野薬品工業株式会社とブリストル マイヤーズ スクイブの提携について

 2011年、小野薬品は、ブリストル マイヤーズ スクイブ(BMS)と締結した提携契約により、当時、小野薬品がオプジーボに関するすべての権利を保有していた北米以外の地域のうち、日本、韓国、台湾を除く世界各国におけるオプジーボの開発・商業化に関する権利を供与しました。2014年7月、小野薬品とBMSは、この戦略的提携契約をさらに拡張し、日本、韓国、台湾のがん患者さん向けに複数の免疫療法薬を単剤療法および併用療法として共同開発・商業化することを合意しました。