2023.02.28
研究開発

「オプジーボ®点滴静注」、悪性中皮腫(悪性胸膜中皮腫を除く)に対する効能又は効果の追加に係る国内製造販売承認事項一部変更承認申請

 小野薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:相良 暁)は、本日、ヒト型抗ヒト PD-1モノクローナル抗体、オプジーボ®(一般名:ニボルマブ)点滴静注(以下、オプジーボ)について、悪性中皮腫(悪性胸膜中皮腫を除く)に対する効能又は効果の追加に係る国内製造販売承認事項一部変更承認申請を行いましたので、お知らせします。

 今回の承認申請は、兵庫医科大学病院主導の下、悪性中皮腫(悪性胸膜中皮腫を除く)を対象にオプジーボを評価した医師主導治験(VIOLA試験:HCM-002)の第Ⅱ相臨床試験の結果に基づいています。

 悪性中皮腫のうち、悪性胸膜中皮腫に対しては、国内で2018年8月にオプジーボ単剤療法、2021年5月にオプジーボとヤーボイ®(一般名:イピリムマブ)との併用療法が承認されています。一方で悪性胸膜中皮腫を除く悪性中皮腫に対して国内外で承認された薬剤はなく、標準治療が未だ確立されていないため、薬剤の開発が切望されています。

 なお、オプジーボは、厚生労働省より、2023年2月22日、悪性中皮腫(悪性胸膜中皮腫を除く)を効能又は効果とする希少疾病用医薬品の指定を受け、優先審査の対象となっています。

VIOLA試験について

 本試験は、化学療法既治療または未治療の悪性中皮腫(悪性胸膜中皮腫を除く)を対象に、オプジーボの有効性および安全性を検討することを目的とした医師主導による多施設共同非盲検非対照第Ⅱ相臨床試験です。患者はオプジーボ 240 mgを2週間間隔で投与を受けました。本試験の主要評価項目は、奏効率(中央判定)です。副次評価項目は、奏効率(医師判定)、病勢制御率、全生存期間、無増悪生存期間等です。

悪性中皮腫について

 悪性中皮腫は、胸腔、心嚢腔、腹腔および精巣鞘膜腔において体腔表面を覆う中皮やその下の結合組織の未分化な間葉細胞に由来する悪性腫瘍であり、発生部位によって悪性胸膜中皮腫、悪性心膜中皮腫、悪性腹膜中皮腫及び悪性精巣鞘膜中皮腫に分類される悪性腫瘍の総称です。
 悪性中皮腫の国内の罹患者数は年間2,283人1)と推計されており、国内の死亡者数は年間1,605人(2020年)2)と報告されています。悪性中皮腫の部位別の患者割合は、悪性胸膜中皮腫85.5%、悪性腹膜中皮腫13.2%、悪性心膜中皮腫0.8%、悪性精巣鞘膜中皮腫0.5%と報告されています3)。悪性中皮腫の生存期間の中央値と平均値は7.7カ月4)および8.6カ月5)、3年生存率と5年生存率はそれぞれ18.6%および9.9%6)と報告されており、予後の悪い疾患です。

参考文献:

オプジーボについて

 オプジーボは、programmed death-1(PD-1)と PD-1 リガンドの経路を阻害することで身体の免疫系を利用して抗腫瘍免疫応答を再活性化する PD-1 免疫チェックポイント阻害薬です。がんを攻撃するために身体の免疫系を利用するオプジーボは、日本で2014年7月に悪性黒色腫で承認を取得以降、複数のがん腫において重要な治療選択肢となっています。現在、日本、韓国、台湾、中国、米国およびEUを含む65カ国以上で承認されています。
 日本では、当社が2014年9月に「根治切除不能な悪性黒色腫」の治療薬として発売しました。その後、2015年12月に「切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」、2016年8月に「根治切除不能又は転移性の腎細胞癌」、2016年12月に「再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫」、2017年3 月に「再発又は遠隔転移を有する頭頸部癌」、2017年9月に「がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の胃癌」、2018年8月に「がん化学療法後に増悪した切除不能な進行・再発の悪性胸膜中皮腫」、2020年2月に「がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する結腸・直腸癌」と「がん化学療法後に増悪した根治切除不能な進行・再発の食道癌」、2021年12月に「原発不明癌」、および2022年3月に「尿路上皮癌における術後補助療法」の効能又は効果の追加承認を取得しました。
 また、肝細胞がん、卵巣がん、前立腺がん等を対象とした臨床試験も実施中です。

小野薬品工業株式会社とブリストル マイヤーズ スクイブの提携について

 2011年、小野薬品は、ブリストル マイヤーズ スクイブと締結した提携契約により、当時、小野薬品がオプジーボに関するすべての権利を保有していた北米以外の地域のうち、日本、韓国、台湾を除く世界各国におけるオプジーボの開発・商業化に関する権利を供与しました。2014年7月、小野薬品とブリストル マイヤーズ スクイブは、この戦略的提携契約をさらに拡張し、日本、韓国、台湾のがん患者さん向けに複数の免疫療法薬を単剤療法および併用療法として共同開発・商業化することを合意しました。