2023.10.12
研究開発

オプジーボの臨床試験結果の論文を平易な言葉を用いて分かり易く要約したプレーン・ランゲージ・サマリーの日本語翻訳がFuture Oncologyに掲載

-患者さんを初め一般の方々に対し、プレーン・ランゲージ・サマリーの日本語翻訳のサポートを開始-

 小野薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:相良 暁)とブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:スティーブ・スギノ)は、抗PD-1抗体「オプジーボ®(一般名:ニボルマブ)点滴静注」について、がん研究やがん治療に関する科学的知見を掲載する科学雑誌である Future Oncology に掲載されている以下の臨床試験結果(英語)3件に関するPlain Language Summary of Publication(平易な言葉を用いて分かり易く要約されたもの、以下「PLS」)の日本語翻訳が、同誌に掲載されましたので、お知らせします。

  1. CheckMate 816試験結果の要約:非小細胞肺がん患者さんを対象に手術前の治療としてニボルマブと化学療法との併用療法を検討した臨床試験1
  2. CheckMate 649試験結果の要約:未治療で、進行性または転移性の胃・食道がん患者さんを対象に、ニボルマブと化学療法の併用療法と化学療法単独とを比較した臨床試験2
  3. ニボルマブによる筋層浸潤性尿路上皮がんの治療(CheckMate 274試験)3

 PLSは、科学者や医療従事者といった専門家だけでなく、臨床試験に参加された患者さんやご家族の方など、より幅広い一般の方々が理解しやすいように臨床試験結果などの論文を平易な言葉で要約したものです。PLSを受け入れる国際ジャーナルの増加に伴い、近年、世界的にPLSの出版数は増加しています。小野薬品とブリストル・マイヤーズ スクイブは、各々第Ⅲ相臨床試験結果のPLSに関して、日本人の一般の方々にも内容を理解していただけるよう日本語翻訳の作成のサポートを開始しました。

 近畿大学病院特任教授、Global Research Alliance Center センター長 光冨 徹哉先生(CheckMate 816試験PLS 共著者)は次のように述べています。「臨床試験の結果を報告する医学的な論文は専門的で、治験に参加された患者さんなど一般の方々が理解するのは非常に難しいものです。患者さんには、分かり易い言葉で書かれた日本語訳のPLSを読んでいただくことで、治療法の長短をよくご理解頂いた上で治療を積極的に選択していただけることを期待しています。また、日本語訳のPLSは、患者さんへの説明資料として、今後、医療現場での活用も期待できます。」

 公益財団法人がん研究会有明病院 病院長補佐兼消化器化学療法科 部長 山口 研成先生(CheckMate 649試験PLS 共著者)は、次のように述べています。「製薬会社が透明性をもって臨床試験の結果を分かり易い形式で公開することは、大変意義があることです。使用されている図も分かり易くまとまっており、患者さんが参考するだけではなく、医療従事者も活用できる内容だと考えています。また、胃がん領域では「患者さんのための胃がん治療ガイドライン」が2023年3月に19年ぶりに改訂されました。今後、PLSやガイドラインに対する認知・理解が向上し、患者さんが治療選択をする際の一助になることを期待しています。」

 新潟大学大学院医歯学総合研究科 腎泌尿器病態学分野・分子腫瘍学分野 教授 冨田 善彦先生(CheckMate 274 PLS 共著者)は次のように述べています。「自身の患っている病気について知りたい患者さんにとって、専門用語が多く使われた英語の医学論文は、日本語を母国語とるする日本人の患者さんには読みづらいものです。これは、日本医療におけるアンメットニーズの一つと言っても間違いでは無いと思います。PLSの日本語訳の作成が、今後広がれば、患者さん本位の安全で安心できる医療を提供することにつながると考えています。患者さん本人だけでなく、ご家族の方も大変心配、不安になることと思いますが、このPLSの日本語訳が患者さんとそのご家族の方にとって、臨床試験結果を理解する助けとなることを期待しています。」

 なお、小野薬品とブリストル・マイヤーズ スクイブは、今回Future Oncologyに掲載された3件のオプジーボに関する臨床試験結果をはじめとして、今後、国際ジャーナルに掲載された主要な第Ⅲ相臨床試験のPLSについて、日本語翻訳のサポートを行っていきます。

小野薬品工業株式会社とブリストル マイヤーズ スクイブの提携について

 2011年、小野薬品は、ブリストル マイヤーズ スクイブ(BMS)と締結した提携契約により、当時、小野薬品がオプジーボに関するすべての権利を保有していた北米以外の地域のうち、日本、韓国、台湾を除く世界各国におけるオプジーボの開発・商業化に関する権利を供与しました。2014年7月、小野薬品とBMSは、この戦略的提携契約をさらに拡張し、日本、韓国、台湾のがん患者さん向けに複数の免疫療法薬を単剤療法および併用療法として共同開発・商業化することを合意しました。

参考文献

  1. Forde P, Plain language summary of the CheckMate 816 study results: nivolumab plus chemotherapy given before surgery for non–small-cell lung cancer. Future Oncology
    https://www.futuremedicine.com/doi/10.2217/fon-2023-0007
  2. Janjigian Y, A plain language summary of the CheckMate 649 study: nivolumab in combination with chemotherapy compared to chemotherapy alone for untreated advanced or metastatic cancer of the stomach or esophagus. Future Oncology
    https://www.futuremedicine.com/doi/10.2217/fon-2022-1149
  3. Bajorin DF, Treatment of muscle-invasive urothelial cancer with nivolumab (CheckMate 274 study): a plain language summary. Future Oncology
    https://www.futuremedicine.com/doi/10.2217/fon-2022-1294