2023.12.18
研究開発

オプジーボ®点滴静注、根治切除不能な尿路上皮癌に対する効能又は効果の追加に係る国内製造販売承認事項一部変更承認申請

 小野薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:相良 暁)は、本日、ヒト型抗ヒトPD-1モノクローナル抗体「オプジーボ®(一般名:ニボルマブ)点滴静注」(以下、オプジーボ)について、根治切除不能な尿路上皮癌に対する効能又は効果の追加に係る国内製造販売承認事項一部変更承認申請を行いましたので、お知らせします。

 今回の承認申請は、未治療の切除不能又は転移性尿路上皮がんを対象とした国際共同第Ⅲ相試験であるCheckMate -901試験(CA209-901/ONO-4538-56)の副試験の結果に基づいています。本試験において、オプジーボとシスプラチンを含む化学療法の併用療法と、それに続くオプジーボ単剤療法は、標準治療であるシスプラチンを含む化学療法と比較して、主要評価項目である全生存期間(OS)および盲検下独立中央評価委員会(BICR)の評価による無増悪生存期間(PFS)で統計学的に有意な延長を示しました。本試験におけるオプジーボとシスプラチンを含む化学療法の併用療法と、それに続くオプジーボ単剤療法の安全性プロファイルは、オプジーボと化学療法の併用療法でこれまでに報告されているものと一貫しており、新たな安全性シグナルは認められませんでした。

 尿路上皮癌の適応症に関しては、2022年3月にオプジーボ単剤療法で「尿路上皮癌における術後補助療法」の効能又は効果で承認されています。

CheckMate -901試験(CA209-901/ONO-4538-56)について

 CheckMate -901試験は、未治療の切除不能または転移性尿路上皮がん患者を対象に、オプジーボとヤーボイの併用療法(主試験)またはオプジーボとシスプラチンを含む化学療法の併用療法(副試験)と、それに続くオプジーボ単剤療法を標準治療である化学療法単独と比較評価した無作為化非盲検第Ⅲ相臨床試験です。
 CheckMate -901試験の副試験では、シスプラチンを含む化学療法に適格な患者が、オプジーボ360 mgとシスプラチンを含む化学療法の併用療法を3週間間隔で投与し、その後オプジーボ単剤療法で480 mgを4週間間隔で投与する群、または化学療法単独群に1:1の割合で無作為に割り付けられました。投与は、病勢進行または死亡に至るまで、最長2年間にわたり継続されました。本試験の主要評価項目はOSおよびPFSであり、今回の結果は同評価項目の最終有効性解析に基づくものです。
 なお、オプジーボとヤーボイの併用療法を標準治療である化学療法と比較評価するための主試験が進行中です。

尿路上皮がんについて

 尿路上皮がんは腎盂、尿管、膀胱および尿道に発生する腫瘍で、そのほとんどが膀胱がんです。病理組織学的には膀胱がんの90%以上を尿路上皮がん(移行上皮がん)が占めています1)。日本では、年間約3.7万人2)(全世界では約57.3万人3))が新たに膀胱がんと診断され、年間約1.1万人2)(全世界では約21.3万人3))の死亡が報告されています。未治療の切除不能又は転移性尿路上皮がんに対する標準治療はシスプラチンを含む化学療法です4)が、OSの延長効果が十分でなく、新たな治療選択肢が必要とされています。

参考文献:

  1. Lynch CF, Cohen MB. Urinary System. Cancer. 1995;75:316-29.
  2. Globocan 2020: Bladder Cancer, Japan, World Health Organization. Available at:
    https://gco.iarc.fr/today/data/factsheets/populations/392-japan-fact-sheets.pdf
  3. Globocan 2020: Bladder Cancer, World, World Health Organization. Available at:
    https://gco.iarc.fr/today/data/factsheets/populations/900-world-fact-sheets.pdf
  4. 日本泌尿器科学会編 膀胱癌診療ガイドライン 2019 年版 医学図書出版株式会社

オプジーボについて

 オプジーボは、programmed death-1(PD-1)とPD-1リガンドの経路を阻害することで身体の免疫系を利用して抗腫瘍免疫応答を再活性化するPD-1免疫チェックポイント阻害薬です。がんを攻撃するために身体の免疫系を利用するオプジーボは、日本で2014年7月に悪性黒色腫で承認を取得以降、複数のがん腫において重要な治療選択肢となっています。現在、日本、韓国、台湾、米国およびEUを含む65カ国以上で承認されています。
 日本では、当社が2014年9月に「根治切除不能な悪性黒色腫」の治療薬として発売しました。その後、2015年12月に「切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」、2016年8月に「根治切除不能又は転移性の腎細胞癌」、2016年12月に「再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫」、2017年3 月に「再発又は遠隔転移を有する頭頸部癌」、2017年9月に「がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の胃癌」、2018年8月に「がん化学療法後に増悪した切除不能な進行・再発の悪性胸膜中皮腫」、2020年2月に「がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する結腸・直腸癌」と「がん化学療法後に増悪した根治切除不能な進行・再発の食道癌」、2021年12月に「原発不明癌」、および2022年3月に「尿路上皮癌における術後補助療法」の効能又は効果の追加承認を取得しました。
 また、上皮系皮膚悪性腫瘍について、効能又は効果の追加の承認申請をしており、肝細胞がん、卵巣がん等を対象とした臨床試験も実施中です。

小野薬品工業株式会社とブリストル マイヤーズ スクイブの提携について

 2011年、当社は、ブリストル マイヤーズ スクイブ(BMS)と締結した提携契約により、当時、小野薬品がオプジーボに関するすべての権利を保有していた北米以外の地域のうち、日本、韓国、台湾を除く世界各国におけるオプジーボの開発・商業化に関する権利を供与しました。2014年7月、当社とBMSは、この戦略的提携契約をさらに拡張し、日本、韓国、台湾のがん患者さん向けに複数の免疫療法薬を単剤療法および併用療法として共同開発・商業化することを合意しました。