欧州医薬品委員会よりDeciphera社の腱滑膜巨細胞腫(TGCT)治療薬ROMVIMZA™(vimseltinib)に関する肯定的見解を受ける
- 欧州医薬品委員会が腱滑膜巨細胞腫(TGCT)治療薬としてvimseltinibの承認を推奨
- vimseltinibが承認されれば、TGCT治療薬としてEUにおいて販売承認を受ける最初で唯一の治療薬となる
小野薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:滝野 十一、以下「当社」)は、本日、欧州医薬品委員会(CHMP)が、当社完全子会社のDeciphera社が開発中のキナーゼ阻害剤であるvimseltinibについて、臨床的に重要な身体機能の低下を伴い、外科的治療による効果が期待できない、もしくは外科的治療によって耐え難い病状や障害が生じる可能性のある腱滑膜巨細胞腫(TGCT)の成人患者の治療薬としての承認を推奨したことを発表しました。
CHMPの肯定的な見解は、販売承認に関する科学的な根拠に基づく推奨であり、欧州連合(EU)において医薬品の承認権限を持つ欧州委員会(EC)が、vimseltinibに関するDecipheraの販売承認申請(MAA)について承認の決定を下す前の最終段階の一つです。本決定は、2026年3月期第2四半期中に行われる見込みです。
Deciphera社の社長である宇田川 良太は次のように述べています。「現在TGCT治療薬として承認されている薬剤がないEUにおいて、CHMPからの肯定的な見解が示されたことは患者さんとTGCT治療に携わる医療関係者にとって重要な節目となるものであり、vimseltinibにとってもEUでの規制当局による承認に一歩近づくものです。
私たちは、vimseltinibに対するCHMPの肯定的な見解を足がかりとして、今後、世界中の新たな治療選択肢を必要とするTGCT患者さんにこの薬剤をお届けできることを楽しみにしています。」
CHMPの肯定的な見解は、抗CSF1/CSF1受容体(CSF1R)療法による治療歴がなく(イマチニブまたはニロチニブによる治療は許容)、手術不適応のTGCT患者を対象にvimseltinibの有効性および安全性をプラセボと比較評価する無作為化二重盲検プラセボ対照の第Ⅲ相MOTION試験において、vimseltinibは、プラセボと比較して、intent-to-treat(ITT)集団における固形がんの治療効果判定のためのガイドライン(RECIST v1.1)を用いた盲検独立放射線評価委員会(BIRR)の評価による25週時の客観的奏功率(ORR)で、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示しました(ROMVIMZA群40% vs プラセボ群0%、p<0.0001)。主要評価項目の結果は、プラセボ群と比較してvimseltinib群において25週時で観察された可動域、患者報告による身体機能および疼痛について統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示した結果に支持されています。Vimseltinibの安全性プロファイルは管理可能であり、第Ⅰ/Ⅱ相試験でこれまでに報告されたものと一貫していました。
Vimseltinibについて
Vimseltinibは、コロニー刺激因子1受容体(CSF1R)を選択的にかつ強力に阻害するよう設計された経口投与可能なスイッチコントロールキナーゼ阻害剤です。VimseltinibはDeciphera社独自のスイッチコントロールキナーゼ阻害剤プラットフォームを活用して創製されています。ROMVIMZA™は、外科的切除により機能制限の悪化または重篤な病状を引き起こす可能性があるTGCTの成人患者に対する治療薬として米国で承認されたキナーゼ阻害剤です。
腱滑膜巨細胞腫(TGCT)について
TGCTは、コロニー刺激因子1(CSF1)遺伝子の転座によって、CSF1の過剰発現とCSF1R陽性炎症細胞の病変への集積により引き起こされる希小疾患で、関節の内側または近位に発生する希な非悪性腫瘍です。TGCTは悪性ではありませんが、増殖して周囲の組織や構造に損傷を与え、関節の痛み、腫れ、身体機能の低下、可動域の制限などを引き起こすことがあります。標準治療は手術による腫瘍切除ですが、特にびまん型のTGCTではこれらの腫瘍が再発する傾向があります。治療を行わなかった場合、または腫瘍が継続的に再発すると、影響を受けた関節および周囲の組織に損傷と変性が生じ、重大な障害を引き起こすことがあります。一部の患者では、外科的切除は機能制限の悪化または重篤な病状を引き起こす可能性があり、また、全身治療の選択肢は限られており、TGCTに対する新たな治療選択肢が必要とされています。
Deciphera Pharmaceuticals LLCについて
(2024年6月11日に、Deciphera社は小野薬品工業株式会社の完全子会社となりました。)
Deciphera社は、がん患者の生活を改善するための新薬の開発、商業化に注力しています。Deciphera社独自のスイッチコントロールキナーゼ阻害剤プラットフォームとキナーゼ生物学の専門知識を活用して、革新的な医薬品の幅広いポートフォリオを開発しています。
Deciphera社は臨床試験段階のプラットフォームから複数の製品候補の開発を進めており、その中でスイッチコントロール阻害薬であるQINLOCK®は、米国、欧州連合および複数の国々でimatinibを含む3つ以上のキナーゼ阻害薬で治療を受けた消化管間質腫瘍(GIST)の、成人患者の治療薬として承認されています。ROMVIMZA(vimseltinib)は、外科的切除により機能制限の悪化または重篤な病状を引き起こす可能性があるTGCTの成人患者に対する治療薬として米国で承認されたキナーゼ阻害剤です。
詳細については、www.deciphera.com をご覧いただくか、LinkedIn および X(@Deciphera)でフォローしてください。
将来の見通しに関する記述についての注意事項
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