2025.10.09
研究開発

ONO-4578(EP4拮抗薬)、胃がんを対象とした第Ⅱ相臨床試験で、オプジーボおよび化学療法との併用療法により主要評価項目を達成

  • ONO-4578(EP4拮抗薬)は、オプジーボおよび化学療法との併用療法によりプラセボ併用群と比較して主要評価項目である無増悪生存期間を有意に延長
  • 第Ⅱ相臨床試験は、HER2陰性で化学療法未治療の治癒切除不能な進行または再発の胃がん(食道胃接合部がんを含む)を対象に日本、韓国、台湾にて実施

 小野薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:滝野 十一、以下「当社」)は、本日、EP4拮抗薬ONO-4578が、HER2陰性で化学療法未治療の治癒切除不能な進行または再発の胃がん(食道胃接合部がんを含む)を対象にした第Ⅱ相臨床試験( ONO-4578-08試験 )の最終解析において、標準治療の一つである抗PD-1抗体オプジーボ、化学療法との併用療法で、主要評価項目を達成したことをお知らせします。
 本試験において、ONO-4578併用群はプラセボ併用群と比較して、統計学的に有意な無増悪生存期間(PFS)の延長を示しました。また、本試験において安全性上の新たな懸念は認められませんでした。本試験の結果は、今後の学会にて公表する予定です。

ONO-4578-08試験について

 ONO-4578-08試験は、HER2陰性で化学療法未治療の治癒切除不能な進行・再発の胃がんまたは食道胃接合部がんを対象に日本、韓国および台湾で実施された多施設共同無作為化第Ⅱ相臨床試験です。ONO-4578とオプジーボおよび化学療法(S-1+オキサリプラチンまたはカペシタビン+オキサリプラチン)の併用療法群をプラセボとオプジーボおよび化学療法の併用療法群と比較評価しました。本試験では、ONO-4578 40 mgを1日1回、オプジーボ 360 mgを3週間間隔で化学療法と併用投与し、病勢進行または許容できない毒性が発現するまで継続投与しました。本試験の主要評価項目は、PFSです。

胃がんについて

 胃がんは、日本では年間約12.6万人 1)(世界全体で約96.8万人 2))が新たに診断されています。胃がんによる死亡者数は、日本では年間約4.3万人 1)(全世界で約66.0万人 2))と推定されており、日本では、新規患者数および死亡者数が、いずれも結腸・直腸がん、肺がんに次いで3番目に多いがん腫です。HER2陰性の治癒切除不能な進行・再発の胃がんに対する一次化学療法の標準治療は抗PD-1抗体と化学療法の併用療法が承認されていますが、依然として治癒が困難であり、本疾患の患者さんに新しい治療選択肢が必要とされています。

ONO-4578について

 ONO-4578は、当社が創製したプロスタグランディンE2(PGE2)受容体の一つであるEP4受容体に対する経口投与可能な選択的拮抗薬です。がん細胞から産生されるPGE2は、種々の免疫細胞に発現するEP4受容体を介して、がんを排除する免疫の働きを抑制しています 3)~5)。ONO-4578は、EP4受容体を介したPGE2の作用を抑制し、がんを排除する免疫応答を回復することで抗腫瘍効果を発揮することが期待されます 6)。三次治療以降の治癒切除不能な進行または再発の胃がん(食道胃接合部がんを含む)を対象とした第Ⅰ相試験において、ONO-4578およびオプジーボの併用療法は、抗腫瘍効果および管理可能な安全性プロファイルを示しました 7)。当社は、現在、結腸・直腸がんを対象とした国際共同第Ⅱ相試験をはじめとする複数のONO-4578の臨床試験を実施中です。

参考文献:

  1. Globocan 2022: Stomach Cancer, Japan, World Health Organization Available at:
    https://gco.iarc.who.int/media/globocan/factsheets/populations/392-japan-fact-sheet.pdf
  2. Globocan 2022: Stomach Cancer, World, World Health Organization Available at:
    https://gco.iarc.who.int/media/globocan/factsheets/populations/900-world-fact-sheet.pdf
  3. Obermajer N, et al. Transplant Res. 2012;1:15.
  4. Ylöstalo JH, et al. Stem Cells. 2012;30:2283-96.
  5. Okano M, et al. Immunology. 2006;118:343-52.
  6. Kotani T, et al. Cancer Res. 2020;80:16_Supplement 4443.
  7. Kawazoe A, et al. Cancer Sci. 2025;116:2523-36.