2026.01.13
研究開発

韓国で、BRAF阻害剤「ビラフトビ®カプセル」の結腸・直腸がんに対する併用療法の追加承認を取得

  • BRAF遺伝子変異を有する治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がんの一次治療を対象と した試験結果に基づき、ビラフトビ、セツキシマブおよび化学療法の併用療法が韓国承認を取得
  • 国際共同第Ⅲ相試験でビラフトビ併用療法群は、主要評価項目で統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善が示された

 小野薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:滝野 十一、以下「当社」)は、韓国の現地法人である韓国小野薬品工業株式会社(所在地:韓国・ソウル特別市、以下「韓国小野」)が、BRAF阻害剤であるビラフトビ®(一般名:エンコラフェニブ)カプセル(以下「ビラフトビ」)について、1月9日に抗ヒトEGFRモノクローナル抗体であるセツキシマブとFOLFOXとの併用療法による、BRAF遺伝子変異を有する治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がん(mCRC)の一次治療に対する効能または効果の追加承認を韓国食品医薬品安全処(MFDS)から取得しましたので、お知らせします。

 今回の承認は、国際共同第Ⅲ相試験であるBREAKWATER試験(ONO-7702-03/C4221015)の結果に基づいています。本試験の無作為化第Ⅲ相パートでは、主要評価項目の1つである盲検下独立中央評価委員会(BICR)の評価による奏効率(ORR)において、ビラフトビ、セツキシマブおよびFOLFOX(5-FU/レボロイコボリン/オキサリプラチン)の併用療法(ビラフトビ併用療法群)は化学療法群*と比較して、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示しました(60.9% vs 40.0%;p=0.0008)。また、もう一つの主要評価項目であるBICRの評価による無増悪生存期間(PFS)において、ビラフトビ併用療法群は化学療法群と比較して、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある延長を示しました(PFS中央値:12.8カ月 vs 7.1カ月;ハザード比0.53;95%信頼区間:0.407 - 0.677;p<0.0001)。本試験におけるビラフトビ併用療法群の安全性プロファイルは、これまでに報告されている各薬剤のものと一貫しており、新たな安全性シグナルは認められませんでした。

 *:抗VEGFヒト化モノクローナル抗体であるベバシズマブの併用もしくは非併用の化学療法

BREAKWATER試験(ONO-7702-03/C4221015)について

 BREAKWATER試験は、BRAFV600E変異を有する治癒切除不能な進行・再発のmCRC患者を対象にビラフトビ、セツキシマブおよび化学療法(FOLFOX[5-FU/レボロイコボリン/オキサリプラチン]またはFOLFIRI[5-FU/レボロイコボリン/イリノテカン])の併用療法の有効性および安全性を化学療法と比較評価した国際共同無作為化非盲検第Ⅲ相試験です。
 本試験の無作為化第Ⅲ相パートでは、BRAFV600E変異を有する治癒切除不能な進行・再発のmCRCの一次治療として、ビラフトビ、セツキシマブおよびFOLFOXの併用療法の有効性および安全性を化学療法と比較評価しました。患者はビラフトビ300 mgを1日1回、セツキシマブを2週間に1回およびFOLFOXを2週間に1回、疾患の進行または安全性などの理由により投与ができないと判断されるまで投与を受けました。本試験の無作為化第Ⅲ相パートにおける主要評価項目は、BICRの評価によるORRおよびPFSです。副次評価項目は、全生存期間(OS)(主要な副次評価項目)、実施医療機関の評価によるORRおよびPFS等です。

結腸・直腸がん(CRC)について

 CRCは、原発性に結腸または直腸に発生する悪性腫瘍です。韓国では、CRCは2番目に多く、年間約2.9万人1)(全世界では約192.6万人2))が新たに診断され、死亡者数では年間約1.1万人1)(全世界では約90.4万人2))が報告され、3番目に多いがんです。
 韓国では、BRAFV600E遺伝子変異陽性は、CRC患者の4.7%(欧米では5-12%)に認められ、BRAFV600E変異のない場合と比べ予後が不良です3)。これまで、BRAF遺伝子変異を有するCRCの一次治療を適応として承認された薬剤はなく、アンメットニーズの高い領域で、ビラフトビが新たな治療選択肢となります。

  1. Globocan 2022: Colorectal Cancer, Korea republic, World Health Organization Available at:
    https://gco.iarc.who.int/media/globocan/factsheets/populations/410-korea-republic-of-fact-sheet.pdf
  2. Globocan 2022: Colorectal Cancer, World, World Health Organization Available at:
    https://gco.iarc.who.int/media/globocan/factsheets/populations/900-world-fact-sheet.pdf
  3. Lee Y, Lee S, Sung JS, et al. Clinical Application of Targeted Deep Sequencing in Metastatic Colorectal Cancer Patients: Actionable Genomic Alteration in K-MASTER Project. Cancer Res Treat. 2021;53(1):123-130. doi:10.4143/crt.2020.559

ビラフトビについて

 ビラフトビは低分子BRAF阻害剤です。BRAFは、MAPKシグナル伝達経路(RAS-RAF-MEK-ERK)における重要なプロテインキナーゼであり、この経路が、増殖、分化、生存および血管新生を含むいくつかの重要な細胞活性を調節することが示されています。この経路におけるタンパク質の不適切な活性化は、悪性黒色腫、甲状腺がんおよびCRCを含む多くのがんにおいて生じることが報告されており、ビラフトビはこの経路の重要な酵素を標的としています。
 韓国では、2021年8月にビラフトビは、セツキシマブとの2剤併用療法で、「治療歴を有するBRAFV600E変異を有する成人の進行・再発の結腸・直腸癌」に対する効能または効果で承認されています。

小野薬品工業株式会社とPfizer社の提携について

 当社は、2017年5月にArray BioPharma Inc.(2019年7月よりPfizer Inc.の子会社)とBRAF阻害剤のビラフトビ(エンコラフェニブ)およびMEK阻害剤のメクトビ(ビニメチニブ)に関するライセンス契約を締結し、日本および韓国で両製剤を開発および商業化する権利を取得しました。

韓国小野薬品工業株式会社(韓国小野)について

 韓国小野は、2013年12月に設立された小野薬品工業株式会社の100%出資の現地法人です。韓国小野は、韓国での自販体制を構築し、2015年から抗PD-1抗体/抗悪性腫瘍剤、オプジーボ等の自社販売を行っています。韓国の患者さんにアンメット・メディカルニーズを満たすさらなる革新的な医薬品を一日も早くお届けできるよう、新規医薬品の開発、販売に取り組んでいます。