2022.01.17
ライセンス

スイスNeurimmune社と神経変性疾患領域で新たな創薬提携契約を締結

 小野薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:相良 暁、以下、当社)は、本日、Neurimmune AG社(スイス、チューリヒ、最高執行責任者:Roger M Nitsch、以下、Neurimmune社)と、Neurimmune社独自の抗体創出アプローチであるReverse Translational Medicine™(以下、RTM™)技術を活用し、神経変性疾患領域における新たな創薬標的に対する抗体医薬品の創製を目的とした創薬提携契約を締結しましたので、お知らせします。

 当社とNeurimmune社は、2017年11月に同領域での創薬提携契約を締結し、RTM™技術を活用してヒトモノクローナル抗体の創製に取り組んでいます。
 今回の創薬提携は、新たな創薬標的に対するヒトモノクローナル抗体の創製を目的としています。当社は創製される抗体医薬品を全世界で独占的に開発、商業化する権利を保有します。また、当社は契約一時金をNeurimmune社に支払うとともに、提携期間中の研究資金、研究開発の進捗に応じたマイルストン、および上市後の売上高に応じたロイヤルティを支払います。

 当社の取締役 専務執行役員 研究本部長である滝野十一は、「当社は、これまでの創薬プロジェクトを通じ、Neurimmune社の抗体創出技術であるRTM™を優れた技術として高く評価しています。今回の新たな提携を通じて、当社の中枢神経系疾患ポートフォリオを拡充し、神経変性疾患の患者さんに革新的な医薬品をお届けできるように取り組んでいきます。」と述べています。

 Neurimmune社の最高科学責任者であるJan Grimmは、「我々は、革新的な医薬品の創製に取り組んでいる小野薬品とのパートナーシップを拡大できることを非常にうれしく思っています。この新たな提携により、我々のRTM™技術を駆使して神経変性疾患領域における革新的な医薬品の創製を目指します。」と述べています。

Reverse Translational Medicine™(RTM™)技術について

 RTM™技術は、Neurimmune社独自の高速スクリーニング法です。これは、老化プロセスにおける健常高齢者など特定の集団が保有する病原性タンパク質に対する免疫応答機構を応用しています。本技術により、ヒト白血球細胞より得られた遺伝子情報を活用し、選択的な高親和性の候補抗体を取得することができます。Neurimmune社のヒトモノクローナル抗体は、人類が進化の過程で獲得した免疫機構に由来する抗体であり、ヒトの体内で最適化されていることから、ヒトでの卓越した有効性と安全性を提供できると考えられています。

Neurimmune社について

 Neurimmune社は、ヒト免疫記憶を革新的な抗体治療に変換するバイオ医薬品企業です。Neurimmune社は、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、前頭側頭型認知症、レビー小体型認知症、ATTR心筋症等の中枢神経系やその他のタンパク質凝集疾患の新薬候補を開発しています。Neurimmune社は、アルツハイマー病患者の脳内のアミロイド ベータを除去するヒトモノクローナル抗体であるアデュカヌマブを発見し、Biogen社にライセンス供与しました。Neurimmune社は、RTM™技術により、ALSに対する抗miSOD1抗体 AP-101およびATTR心筋症に対する抗ATTR抗体 NI006 も発見し、現在、これらの臨床試験が行われています。Neurimmune社は、前臨床開発においてさらに3つの抗体プログラムを有しており、最近では低分子プログラムやヒト抗体遺伝子のベクター発現に関するプログラムにより、治療法スペクトラムを拡大しています。Neurimmune社の詳細については、 https://www.neurimmune.com/ をご覧ください。