2022.05.18
研究開発

OPDIVO®点滴静注、台湾においてカボザンチニブとの併用による未治療の進行腎細胞がんに対する効能又は効果の追加承認を取得

 小野薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:相良 暁、以下、当社)は、台湾の現地法人である台灣小野藥品工業股份有限公司(以下、台湾小野)が、ヒト型抗ヒトPD-1モノクローナル抗体、OPDIVO®(一般名:ニボルマブ)点滴静注(以下、オプジーボ)について、2022年5月17日に、カボザンチニブとの併用による「未治療の進行腎細胞がん」に対する効能又は効果の追加承認を台湾食品薬物管理局(TFDA)から取得しましたので、お知らせします。

 今回の承認は、未治療の進行性又は転移性の腎細胞がん患者を対象にオプジーボとカボザンチニブの併用療法と、対照群であるスニチニブ単剤療法を比較評価した多施設国際共同無作為化非盲検第Ⅲ相CheckMate -9ER試験の結果に基づいています。本試験において、オプジーボとカボザンチニブの併用療法群は、対照群と比較して、最終解析で主要評価項目である盲検下独立中央判定委員会(BICR)の評価による無増悪生存期間(PFS)、および副次評価項目である全生存期間(OS)とBICRの評価による奏効率(ORR)のいずれにおいても有意かつ臨床的に意義のある改善を示しました。本試験におけるオプジーボとカボザンチニブの併用療法の安全性プロファイルは、各々の単剤投与でこれまでに報告されているものと一貫していました。

CheckMate -9ER試験について

 CheckMate -9ER試験は、未治療の進行性又は転移性の腎細胞がんを対象にオプジーボとカボザンチニブの併用療法とスニチニブ単剤療法を比較評価した多施設国際共同無作為化非盲検第Ⅲ相試験です。患者は併用療法群(オプジーボ 240 mg、2週間間隔で点滴静注とカボザンチニブ 40 mg、1日1回、経口投与)と対照群(スニチニブ 50 mg、1日1回、4週間経口投与後2週間休薬するサイクルの継続)に1:1で無作為に割り付けられ、病勢進行もしくは忍容できない毒性が認められるまで投与を継続しました。本試験の主要評価項目は、盲検下独立中央判定委員会(BICR)の評価による無増悪生存期間(PFS)でした。副次評価項目は、全生存期間(OS)およびBICRの評価による奏効率(ORR)でした。

腎細胞がんについて

 腎がんは、成人の腎実質に発生する悪性腫瘍の総称です。そのうち、腎細胞がんの患者数が最も多く、腎がんのほぼ90%を占めています1)。台湾における腎悪性腫瘍の年間発症者数は1,615人(内、腎細胞がんが1,530人)で、年間死亡者数は599人2)と推定されています。

  1. The epidemiology of renal cell carcinoma. Euro Urol. 2011;60;615-621.
  2. 中華民國 108 年(2019年) 癌症登記報告

オプジーボについて

 オプジーボは、programmed cell death-1(PD-1)とPD-1リガンドの経路を阻害することで身体の免疫系を利用して抗腫瘍免疫応答を再活性化するPD-1免疫チェックポイント阻害薬です。がんを攻撃するために身体の免疫系を利用するオプジーボは、日本で2014年7月に悪性黒色腫で承認を取得以降、複数のがん腫において重要な治療選択肢となっています。現在、日本、台湾、韓国、中国、米国およびEUを含む65カ国以上で承認されています。
 日本では、当社が2014年9月に「根治切除不能な悪性黒色腫」の治療薬として発売しました。その後、2015年12月に「切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」、2016年8月に「根治切除不能又は転移性の腎細胞癌」、2016年12月に「再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫」、2017年3月に「再発又は遠隔転移を有する頭頸部癌」、2017年9月に「がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の胃癌」、2018年8月に「がん化学療法後に増悪した切除不能な進行・再発の悪性胸膜中皮腫」、2020年2月に「がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する結腸・直腸癌」と「がん化学療法後に増悪した根治切除不能な進行・再発の食道癌」、2021年12月に「原発不明癌」、および2022年3月に「尿路上皮癌における術後補助療法」の効能又は効果の追加承認を取得しました。
 また、肝細胞がん、卵巣がん、膀胱がん、前立腺がん、膵がん等を対象とした臨床試験を実施中です。

小野薬品工業株式会社とブリストル マイヤーズ スクイブの提携について

 2011年、当社は、ブリストル マイヤーズ スクイブ(BMS)と締結した提携契約により、当時、当社がオプジーボに関するすべての権利を保有していた北米以外の地域のうち、日本、韓国、台湾を除く世界各国におけるオプジーボの開発・商業化に関する権利を供与しました。2014年7月、当社とBMSは、この戦略的提携契約をさらに拡張し、日本、韓国、台湾のがん患者さん向けに複数の免疫療法薬を単独療法および併用療法として共同開発・商業化することを合意しました。

台灣小野藥品工業股份有限公司について

 台灣小野藥品工業股份有限公司(所在地:台湾・台北市、台湾小野)は、2014年12月に設立された小野薬品工業株式会社の100%出資の現地法人です。台湾小野は、台湾での自社販売体制を構築し、2016年から抗PD-1抗体/抗悪性腫瘍剤、オプジーボを自社販売しています。また、台湾の患者さんにアンメット・メディカルニーズを満たすさらなる革新的な新製品を一日も早くお届けするように取り組んでいます。